落語 (2)

桂文珍 大東京独演会

 

先週、数年ぶりに落語を聴きに行って来ました。

以前、友人夫妻に誘われ行ったのが6年前でした。この時は、大宮ソニックシティホールで開催された春風亭小朝と三遊亭円楽の新春特選名人会でした。
その後、三遊亭円楽は一昨年肺がんのため惜しまれつつ72歳の若さで亡くなりました。

ブログ:落語2018

 

今回は、よみうり大手町ホールで開演された桂文珍の大東京独演会でした。
前回と同じようにカミサンと友人夫妻4人で行って来ました。
桂文珍の寄席は初めてです。この大東京独演会は過去15回開催されていたそうです。例年はホームグラウンドの国立劇場で開催されていたようですが、今年は劇場改修のため今回はよみうりホールで行われました。

桂文珍は今年芸歴55周年を迎えるそうです。

数え年で喜寿を迎えてもなおデジタルやAIネタを取り入れた新作を生み出し、定評のある古典の数々にさらなる磨きをかける。常に時代への挑戦を続ける文珍ならではの落語会に期待が高まるばかりだ。
パンフレットから

開演当日配られた新聞大のパンフにはなんと61の演目が掲載されていました。

 

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大ベテランの落語家ともなれば、古典から新作までたくさんの演目があるんですね。
開演早々、この演目一覧がステージに掲げられました。そして今回は観客参加型の「リクエスト寄席」を実施しました。
私は初めて見る演目ばかりでしたが、観客席からは何人も手を挙げてリクエストされていました。毎年のように来られる落語好きな常連の方々が多いようです。

 

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今回は3作の演目が披露されました。
その中の一つに「落語記念日」という演目が印象として残りました。
この噺は、”落語そのものの良さ” を題材にしたもので、現代のIT化などと比較しながらの内容でした。
進化し続ける現代社会において、落語は絶滅危惧種という表現で物語が進んでいきますが、落語本来の面白さを改めて感じ納得するものがありました。

私たちの日常生活のほとんどは視覚でとらえるものが多いように思えます。
例えば、テレビやスマホ画面を見るだけでストレートに物事を判断しがちになります。
一方、落語の場合は噺家の表情や「間」の取り方を観察しながら視覚と聴覚で想像力を働かせ、自分なりのストーリーを作り出すことができます。
聴くだけで自由な発想や思考力が与えられ、そこにユーモアやジョークが加わることで面白さが倍増するのでしょう。
そういう意味で改めて落語の良さというものを教えられた演目でした。

 

最近ネット上で誹謗中傷の書き込みが社会問題になっています。
これは様々な要因があるかと思いますが、視覚だけで短絡的に判断してしまう傾向から悪口や根拠のない嘘を言って他人を傷つけるものです。
少しでも想像力や思考力があれば思いとどまることができるのではないかと感じます。

落語の最大の魅力はやはり笑いですね。
普段の生活の中で大笑いする機会はほとんどなくなってきました。テレビ番組でお笑い芸人が出演して大声を出したり、オーバーアクションする場面がありますが、どうも笑いにはつながりません。
しかし、この本格的な落語は全く違います。そこにはやはり「本物の芸」というものがあるように思えます。

そんなことで久しぶりに大笑いすることができました。
たまにはこうした「本物の芸」に接するのはいいことだなと思いました。絶対に絶滅危惧種になってはいけない芸能ですね。

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