日本被団協ノーベル平和賞受賞!
田中てるみさんの講演会
先日、地元市民センターにて「核廃絶の歩み」と題して、日本被団協の代表委員である田中てるみさんの講演会がありました。
昨年12月、オスロで開かれたノーベル賞授賞式でスピーチされた田中さんを覚えている人は大勢いると思います。
私たち夫婦も偶然でしたが、昨年12月に広島旅行に出かけた時、広島平和記念資料館でノーベル授賞式のライブ放映を観たことからとても強く印象に残っています。
被団協の代表委員である田中さんは受賞後、全国各地で講演依頼が多数あると思います。
田中さんは講演の中で埼玉に住んでいるとおっしゃられていました。そんなことから受賞後早々地元埼玉で講演してくださるのかな?と思いましたが、実は主催者が受賞前から事前に依頼していたことが、今回の講演会を開催するに至ったそうです。
田中さんは講演の冒頭、ノーベル平和賞授賞式で「もう一度繰り返します」という強い口調で語った文言から始まりました。
二度繰り返して話したスピーチは、世界に訴えたい強い気持ちのあらわれだとこの講演でも感じました。
「何十万という死者に対する補償は全くなく、日本政府は一貫して国家補償を拒み、放射線被害に限定した対策のみを今日まで続けています。原爆で亡くなった死者に対する償いは、日本政府は全くしていないという事実を知っていただきたい。
又、日本政府は、核兵器禁止条約でも日本は署名も批准もしていない。オブザーバー参加もしない。本当に残念です」
この内容が今の日本政府の実態をあらわしていると強く思いました。全く情けないことです。
唯一の被爆国である日本が ”なぜ禁止条約に批准しないのか?”
「それは、日本政府が自ら遂行した戦争によって招いた原爆被害を直視することなく、戦後一貫してアメリカの同盟国として、その ”核の傘” にすがることを選んでいる」と。
今の政府ではもはや難しいことを指摘していました。
こうした平和運動がまだまだ弱いこと、「選挙民が今の政府を変える議員を選ぶことが大事で、多数にならないと変わらない」点を強く語られていました。
昨年の総選挙で自公政権は少数与党になりました。こうした状況の中、野党が一致してやるようにしていかなければならないと話されていました。
講演の中で、「被団協がなぜもっと早い段階でノーベル平和賞を受賞できなかったのか?」という点に触れていました。
平和賞授賞の経緯についてお話され、1985年に一度平和賞候補になったそうですが、その年は「反核医者の会」が受賞されたそうです。
その後、1995年再度候補に挙がったが、受賞したのは「世界科学者連盟」だったと。更に2005年には「IAEA(国際原子力機関)」。そして、2017年には「ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)」が受賞。
このような一連の受賞についてお話があり、その中で「ロビー活動」のことが語られました。
ロビー活動?、初めて聞く言葉でした。
これは、こうした平和運動を国際機関に対して働きかける活動を指すものだそうです。今までこうした活動が弱かったのかもしれません。
又、ノーベル平和賞を授与するノルウェーは、NATOの一員として核抑止に頼っている国としていろいろな面での忖度が考えられるようです。
そんなことから、田中さんは「今回ノーベル平和賞を受賞するとは思っていなかった」と語っていました。代表委員の方々や被団協に関係する人たちも「まさか受賞するとは?」と驚いたそうです。そんな裏話が話されました。
質問コーナーでは、若い人が質問されました。
「核廃絶に向けてどのような運動をすればいいのでしょうか」
田中さんは
「答えはありません。若い人たちが考えて行動することが大事です。世の中のことや政治のことを考えて対話、話し合いをすることが大事です。今の若い世代の人たちは情報のやりとり(SNS)だけで済ませているため、対話しなくても話し合っていると錯覚している。自分たちで探して学習して考えて行動してください」
最後に田中さんはこのように話されていました。
「3回目の核兵器は使ってはならない。国民の大多数が動くことが大事です。核禁止だけではなく、核廃絶をしなければなりません。これからも廃絶に向けた努力を、その政府をつくらなければなりません」
とても素晴らしい講演を聞くことができました。
以前ブログ(広島旅行)で記した文言を思い出しました。
被団協の木戸事務局長が受賞後、記者に語った感想です。
日本政府は「核兵器のない世界を共有し、”唯一の戦争被爆国”」というけれど、枕ことばにすぎない。
今までの政府はこの言葉を呪文のように繰り返してきました。そして何か行動するかと思っても何もしない。まさに枕ことば(枕詞)にすぎません。
こうした言葉に惑わされることなく、行動に起こすことが最も大事で求められるものだと強く思います。
そういった政府を私たち国民がつくらなければならないと思います。