60歳からの現実(リアル) (40)

山仲間たちと共に大岳山と新年会

今年の漢字一字に込めて

 

毎年年末から年始にかけて恒例となっている山仲間たちと奥多摩に行って来ました。
会社時代からの登山仲間は全員定年退職して、今では継続雇用をはじめそれぞれが違う人生を歩んでいます。
そんな仲間たちは70歳を超えるメンバーも増え始めています。

今回も例年どおり奥多摩の山に登り、下山後は常宿にしている旅館「荒澤屋」で10人参加の新年会を開催しました。
初めのうちは下山後温泉に入り軽い食事をして日帰りしていたものでしたが、次第にオヤジたちの話が尽きなくなってきたことから一泊二日の日程で集うようになりました。

 

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奥多摩「大岳山」頂上から

このようなシニア仲間の集いというのは、男女問わず様々な趣味や同好会などをとおしてたくさんあると思います。そしてその時の話題になるのは趣味や同好の話が中心になるのは当然ですが、その他に親の介護や葬儀、自身の健康、孫の話などが増えてきます。
こうした交流は親交を深め合うという意味でも価値のあるものですが、将来への悲観や愚痴の言い合いは避けたいものです。

登山仲間たちとの同好倶楽部は10年以上になります。
「よくここまで続いたな~」という感想が今回の交流会でも話題になりました。登山やハイキングでも一人よりも複数で和気あいあいと楽しめることが長く続いた理由なんでしょう。

更にもう一つ大きな理由があります。
それは、登山中の天候不順によって ”進むか?後退するか?の判断” を議論したり、時には意見が割れたこともありました。そうしたことで仲間の絆が培われてきたように思えます。
一言で言えば「苦楽を共にする仲間たち」だったことなんでしょう。
楽しかった思い出話よりも、あの時は苦しかった、厳しかった、判断を迫られたといった話の方が案外盛り上がったりします。

今回の新年会では会長から「今年の漢字一文字を一人づつ発表してくれ」という提案がありました。
一般的には、今年こそはという思いや願いが込められた漢字になります。
仲間から挙げられた一文字は、

「挑」~初めての事や新しい仕事に挑む・挑戦・チャレンジ。
「楽」~何事も楽しくやろう。後退的・悲観的な気持ちではうまくいかない。
「未」~今後、未来、前途を見据えた思いで過ごそう。
「演」~初めての事や新しい事に対し自身で演じていこう。
「常」~昨年はチャレンジした年だったが、今年は日常を見つめ新たな発見を。
「健」~体力維持、健康な身体があってこそ。

昨年定年退職し継続雇用となった一人を除いて平均年齢70歳になる仲間たちです。
この年代になればどちらかというと、安定や静かな老後、孫の世話をしながら穏やかな日々を望むといった一字になるかもしれませんが、やっぱりこの仲間たちは違うなという思いでした。
それは、これからもまだまだチャレンジしていく気持ちが旺盛だなというものでした。
そこには、「もう歳だから・・・」という諦めの気持ちが一切ないということです。

 

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スペイン自転車一人旅の仲間

 

山仲間のメンバーの一人に72歳の方がいます。
皆からはいつも「団長」と呼ばれ親しまれリーダー的な存在の人です。
その方は昨年、スペインとフランスを中心に38日間一人旅してきて、今回の新年会でその報告がありました。
この旅の報告で最も驚いたことは、スペインに自身の自転車を持ち込み、かの有名な巡礼の道720kmを10日間かけて走破してきたことでした。
本人の話によれば以前から温めてきたプランだったそうです。そのプランのスタートは半年前から着手し、渡航手配や各種準備をはじめ体力増強・維持のためのトレーニングもこなしてきたと話していました。

70歳を超えて、それも海外で自転車一人旅! 誰もが想像を絶する冒険と思ってもおかしくないのではないでしょうか。
いろいろな想定外の土産話はありましたが、そのチャレンジ精神には教えられるものがありました。
彼の印象的な言葉の一つに

毎日70~100km自転車をこいで観光地やその風景を観るゆとりはなかった。自分で決めたプランは何としてでも達成したかった。だから過ぎ去った昨日のことは思い出さず、今日や明日のことを常に前をみて走り続けた。

もちろん旅で体験した楽しかった思い出話や素敵な出会いもあったと話されていましたが、やっぱり一番強く残ったのは様々なアクシデントを乗り越えてプランを達成できた充実感というものなんでしょう。

それは前述した山仲間たちとの思い出話にも共通するものがありました。
10年を超える同好会の登山歴でいろいろな山に何十回も登ったけれど、思い出話に出てくるのは、吹きすさぶ稜線で立ち往生したことや天候悪化で撤退したこと、雪道で滑落したこと、悪路に悩まされてようやく小屋に駆け込んだことなど・・・。

旅や登山の思い出といえば、意外とこうした体験談になるものなんでしょう。
そうした教訓を経て、次回は修正しよう、準備しよう・・・、ということにつながっていくように思えます。

 

身近にあるものへのチャレンジ

 

5年前、モンベル主催の「冒険塾」に出席したことがありました。
この時の講演は、リヤカーを引いて世界を歩いて旅した吉田正仁さんのお話でした。

ブログ:「冒険塾(3)」

 

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吉田さんの講演の中で印象的な話に、
「冒険とは、手の届かないものを目指すのではなく、もっと身近にあるものへのチャレンジ」

冒険と聞くと、何かとんでもない非日常的なものへの挑戦のように思えてしまいますが。
しかし、冒険というのは普段の生活の中で、自分がやってみたいことや興味・関心のあることへのチャレンジだということなんでしょう。
大それたことではなく「一歩踏み出してみよう」という気持ちと実行なのかもしれません。

今年の漢字一文字に託した思い、スペイン自転車旅の仲間の話を聞いて、改めて教えられた新年会でした。

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