能登半島地震

自然災害への緊急対応

「災」と「税」を考えて

 

年明け早々、最大震度7を観測した能登半島地震は大変な事態になりました。
この地震が発生した日、私たち夫婦は近所の友人宅にいました。私たちが所持しているスマホの地震警報アラームが鳴り響き驚き、数秒後には揺れが感じられました。
この時の地震速報では埼玉は震度3とのこと。埼玉でこれだけの揺れだから、震源地の能登半島ではいったいどのくらいなんだろうと心配するほどでした。

地震発生から毎日、TV、新聞、ネット等で被災地の情報が報道されています。
ここではこうした報道を踏まえて自然災害対策について考えていきたいと思います。

 

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その年の世相を一文字で表す漢字が毎年暮れに発表され、昨年の2023年は「税」でした。

2018年は全国各地で多大な自然災害が発生し、甚大な被害に見舞われたことから「災」でした。
この年は地震や豪雨、巨大台風の影響から自然災害の脅威をまざまざと感じさせられた年でした。
こうした災害は、地球温暖化に伴う気候変動が進んだこともありますが、特に日本の場合は地震大国ということもあり、その予知や対策については真剣に考えていかなければならないと思います。

TVニュースの画面では、「もっと早く救助隊が来ていれば命は助かった」「水も食料もない」「住む家が倒壊してしまった」など悲痛な訴えが相次いでいました。
そうした状況を目にすれば誰もが「なんとかならないか?」「なんとかならなかったのか!」という気持ちが沸きあがってきます。

 

先日、東京新聞(1/7付)の「本音のコラム」欄に前川喜平氏の寄稿がありました。

能登半島地震では家屋倒壊などで多くの人命が奪われました。日航機と海保機の衝突事故では5人の乗員が亡くなった。地震は自然が起こす天災、航空機事故は人間が起こす人災だ。天災は防げないが人災は防げる。
しかしこの二分法で全て割り切れるわけではない。地震は正確な予知はできないが予期はできる。能登半島の活断層の存在は知られており、大地震の危険性は専門家の間では認識されていた。その危機感が行政や住民と共有されなかったため防災対策が遅れたとすれば、その結果は人災だ。

 

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1/7付東京新聞「本音のコラム」

 

確かに前川氏の言うとおりだと思います。
地震はいつ何時起きるかわからないとはいっても、地震大国の国だからこそ日頃の準備や緊急支援策は万全にして、すぐ行動できる体制と仕組みが必要だと痛感します。
このようなことは起きてから言えるのではないかとはいえ、あの東北大震災が起きる前、国会でその予期があることから防潮堤建設の必要性が審議されたにも関わらず、政府と東電は何ら対策を講じませんでした。
となれば、これは人災ともいえるのかもしれません。

更に前川氏は、

ウクライナやガザの悲惨な戦災は、何が引き起こしたのか。戦争は人間の故意によって起きる。その意味では完全な人災だ・・・。
人間が起こす戦争は人間が防ぐことができる。防げる戦争への準備ではなく、防げない天災への対策にこそ税金は使うべきなのだ。

この寄稿には、”天災と人災と戦災” の3つの災害について考慮されていました。
私たち人類は人災と戦災は防ぐことができます。そして、私たちが納める大切な「税金」は、このような天災対策にこそ使われるべきだと思います。

以前、あるセミナーで「激甚化する災害と政府の対応」と題して、内閣府防災担当参事官の講演を聞きました。

ブログ:自然災害への対応(2018年12月)

この時、参加者から「災害支援に対する税金の使われ方」について意見が出されました。
「政府は、一機100億円以上もするステルス型戦闘機を100機追加する検討に入った。総額で1兆円以上になる。今本当に必要なのか? これらの税金が被災者支援や災害復興として使われるべきではないか」

会場に参加された方々から拍手が起きました。

昨年政府は安保関連三文書に基づき、今後5年間の防衛費総額を43兆円にするとしました。
この財源をどのようにねん出するのか?政府はあらゆる手段を使いました。この追加財源は、税外収入としてコロナ予算による積立金や基金の国庫返納、国有財産の売却収入。更に決算余剰金の活用や税制措置(増税)などがありました。
この中の決算余剰金は、国の会計の歳入から歳出を引いた差額で、これまで補正予算の財源になってきました。それが防衛費(軍事費)に転用されると、災害支援など緊急の予算対応ができなくなる事態も生まれかねません。

戦争は武器ではなく外交で防ぐことができます。
その戦争の準備のために私たちの大切な税金が莫大に使われています。本当にこれでいいのでしょうか!?

 

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セミナーで配布された防災対策資料

 

この時のセミナーで配布された資料の中に災害時の緊急対応策として住宅再建支援の項目がありました。

「住宅が全壊した世帯等に対して最大300万円の被災者生活再建支援金の支給」でした。

5年前の資料ですから今現在の支援金についてはわかりませんが、この時点でもあまりにも少なすぎると思いました。全壊以外でも半壊や一部損壊であっても現実的に再建は厳しいものです。
又、今回は大規模な火災も発生し、家財道具すべて失う事態になった被災者も大勢います。

国民一人一人が個別に支援するのは難しいものがあります。
しかし、私たちは納税しています。そのお金をあらゆる形でしっかり被災者のために使ってもらいたいと願います。

そのために政治というものがあるのではないでしょうか。

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