財政セミナー

平成31年度予算~財務省官僚のお話

はじめから消費税増税ありき!?

 

先日、一般社団法人が主催するセミナーに参加してきました。
このセミナーは、政治社会問題を題材に取り上げ、関係する組織や仕事にたずさわっている方々を講師に招いてお話を聞く会です。
申し込みさえすれば一般市民も自由に参加(参加費1000円)でき、講演終了後に質疑応答の時間も用意されていることから、たいへん勉強になる講演会でもあります。

 

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今回のセミナーは、「財政の現状と課題」と題して財務省主計局次長の方がゲストスピーカーとして講演されました。
主な内容は、平成31年度予算のポイントと特徴、財政の現状と財政健全化の目標ということで、配布資料A4用紙98ページにおよぶものでした。

以前にも年度ごとの同じような内容のセミナーに参加し今回で3度目になります。
■2017年4月 「日本の財政を考える」 財務省主税局審議官
■2018年3月 「平成30年度税制総論」 財務省主税局総務課長
■2019年2月 「平成31年度財政の現状と課題」(今回) 財務省主税局次長

 

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平成31年度一般会計の歳入と歳出の構成

 

「国家財政」というと何か難しそうでちょっと取っつきにくい感じです。
私たち庶民が日々生活の中で手にするお金は、百円、千円、せいぜい万単位ですが、これが国家財政となると最低でも億単位なんですね。
資料を見ても一、十、百、千、万・・・ん! 兆円? お金の感覚がよく分からなくなってきます(笑)
こうした財政のお話は、普段私たちの生活とは無縁な所で話し合われ、お上が決めたことだからと従わざるを得ないような感じにもなっています。
あの「モリカケ問題」はどうなったの?、毎月勤労統計調査の偽装や不正問題はまたウヤムヤになりそうだ!など政治に対する関心はありますが、こと財政問題となると金額が大きすぎてどこをどう捉えていいのか難しくなり、数字に対する意識はどうしても低下してきます。

しかし、こうした国家財政の収入源(歳入)と使われ方(歳出)が、細かな数字にとらわれずどのようになっているのかということをみると、やはり大きな疑問と問題点が浮き彫りになってきます。
財務省の偉いお役人さんから説明を受けると、難しいけどなるほどそうなのかな~と説得性がありそうですが、見方を変えれば考え方も大きく違ってくることがあります。

 

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平成31年度予算のポイント         消費税率引き上げに伴う対応

 

今回で3度目となる財務省キャリア官僚の方から財政と税制についてのお話を聞いてきましたが、大きなポイントとして共通することが一つありました。
それは「消費税増税の一貫した考え」です。
一般的に国家財政の話になれば、歳入と歳出の中身や細かな税制と使われ方など多岐に渡る内容になりますが、講演時間の半分以上がこの「消費税増税」の話になっていることです。

国家の政策というものは、国政選挙で選ばれた議員により国会で決められていくものです。
時の政権により方針と政策が提案され国会で論議され、最終的には多数決で決議されていきます。こうした政策に基づき各省庁が具体的な立案設計を行い施行されていくものです。

今回の消費税10%増税は現政権が決めたもので、多くの議員や国民の反対意見はあるものの今年10月から引き上げられる予定になっています。
仮に消費税を減税する政権が誕生した場合、その方針と政策に基づき財務省は減税対策の立案を行い提案する立場にあります。
つまり、主体はあくまでも時の政権であり国会で決められた方針に基づいて国家運営されるものです。

しかし、財務省ははじめから ”消費税増税ありき” の考えを持っていることに大きな疑問を持ちます。
国家財政に精通した財務省ですから、消費税増税をしなければ財政運営が厳しいという一点だけで押し通す考え方で固まっていることに違和感を覚えます。

 

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税収の推移
所得税、消費税(赤ライン)、法人税(緑ライン)

 

昨年、当ブログにアップした「消費税10%増税」で述べたことですが、財務省の ”財政再建至上主義” という言葉を思い出しました。
これは、元・財務官僚の高橋洋一氏がその著書「官僚の真実」の中で書かれた内容のものでした。

財務官僚には「財政至上主義」とい原理がある。なるべく歳出を減らし、歳入を増やす。これを実現するもっとも有力な手段が「消費税増税」という財務省のロジックである。
財務省官僚も消費税を増税すれば、経済が悪化することくらいは理解している。
だが彼らは、それでも ”善し” と考えている。経済が悪くなっても、既得権のある自分たちは相対的に有利になることがわかっているからだ。
例えば、官僚は雇用に関する心配はない。不況になっても給与のカットは民間ほどでもないだろう。官僚の中の官僚である財務官僚は、経済が悪くなっても相対的に官僚の地位は向上することを知っている。
高橋洋一著「官僚の真実」より

全ての官僚の方がそうだとは思いません。又、極端な見方なのかもしれませんが、国家公務員として国民の立場に立ったお仕事をされることを願うばかりです。

私は過去2回のセミナーで質問をしてきました。
消費税増税に伴う経済の低迷(中小企業経営の悪化、家計消費支出低下)、雇用の悪化(所得の低迷、非正規雇用増大)、そして最大の問題である「逆進性」という欠点についてでした。
更に、法人税減税政策の不合理性と大企業の内部留保、富裕層への課税を指摘しました。
しかし、その返答はあくまでも安定財源の確保(税収が景気や人口構成の変化に左右されない)、経済活動の中立性(働く世代など特定の者に負担が集中することがない)、高い財源調達力に終始したものでした。

そして今回改めて、「消費税増税に代わる施策や税制があればお聞きしたい」という質問をしました。
返答は上記と同じようなことを繰り返すだけで、結論は「なし」ということでした。

皆さん、どのように思いますか。

来月また同セミナーにおいて、財務省官僚による財政関連の講演が行われます。
どのようなお話が聞けるか分かりませんが、消費税増税についてもう少し突っ込んで質問したいと思っています。
その時の内容については、またブログにアップしていきます。

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