自公の各政策に反対、疑問があっても、今の政権では
与党に投じた一票は「肯定される一票」
参議院選挙の結果が出ました。
多くの国民の方々が、昨夜のTV放送(開票速報)をご覧になったと思います。
今回の選挙では、与党側はアベノミクスの推進、野党側は憲法改正の危機を争点として争われていました。 そして選挙結果では、与党(自公)が改選過半数を獲得して、改憲4党の議席数が3分の2を超える状況になりました。
私たち庶民が政治経済に関する情報を入手する手段としては、ほとんどがメディアからの情報です。特に新聞、テレビの情報はスピーディで分かりやすいです。
今回の選挙で「最も重視する政策」についての世論調査(NHK)では、社会保障が29%経済政策が25%と有権者の高い関心が集まっていました。
又、同調査での「改憲」については9%で、それほど高い関心事ではないという選挙のようでした。 こうした有権者の関心事とは裏腹にほとんどのメディアの報道は「改憲3分の2」に集中していました。(特に新聞、テレビ報道番組)
このことは今回の選挙の結果から、近い将来起こりうる危険な憲法改正への警鐘として真摯に受け止めるべきものだと改めて思いました。
なにげなく投じた一票が改憲の方向に向かう一票だとしたら、あの英国のEU離脱国民投票が頭をよぎります。
自民党草案は、前文で日本の伝統を過度に賛美し、天皇の国家元首化や、自衛隊の「国防軍」化、非常時の国家緊急権などを盛り込んでいる。さらに国民の権利を「公益及び公の秩序」の名の下に制限しようとする意図に貫かれている。明らかに近代民主主義の流れに逆行する。
7月11日 毎日新聞社説
首相が本気で改憲を目指すのであれば、自ら国民に問いかけるべきではないか。私達たちはそう指摘してきた。選挙中はアベノミクスへの期待感や増税先送りの安心感を集め、選挙後は特定秘密保護法や安全保障法という憲法の根底に関わる政策を強引に進める。
そんな手法を繰り返してきたからだ・・・。有権者に対してフェアな姿勢ではない。
7月11日 朝日新聞
首相は改正する具体的な条文については「憲法審査会で議論」することを繰り返し述べていました。「議論」することをひとつの隠れ蓑として、後は多数の力で進めようとするやり方は今までと同じ「そんな手法」なのではないでしょうか
私たち有権者一人ひとりが投じる一票にはいろいろな考えと視点があると思います。
経済政策、社会保障(年金、介護、医療、子育てなど)、税制問題(消費税など)、TPP(農業政策)、環境問題(自然エネルギー、原発など)、改憲、基地問題など・・・。
選挙で投票する政党(又は個人)の政策に対して支持する部分、支持しない部分というものもあると思います。 一票を投じる行為は、最終的に個人の考えの優先順位で決めるものになると思います。
結果、支持する部分はいいが、逆に支持していなかった政策が進んでいくという場合もあります。又は、多数の力でそんな法案が可決されるなんて思ってもみなかったということもあるのではないでしょうか。 直近では、特定秘密保護法、安保法制などがありました。
経済政策において、アベノミクスの効果(果実、トリクルダウン?)があるだろうと投じた一票は、貧困と格差を拡大するものでした。
社会保障政策において、年金や医療、介護、そして子育て(保育園問題など)の改善が進むであろうと投じた一票が、その財源がないということで削減と保険料の値上げにつながりました。 実際は財源がないというのでなく、取るべき所から取らない(税金)という政策だったためでした。
今回の選挙で自公の議席数は改選過半数を超えました。
与党に投じた一票の中には、改憲に反対、アベノミクス政策への疑問、年金は減らしてほしくない、医療費の負担は減らしてほしいなど・・・、の思いは多くあると思います。
個々の政策において、反対や疑問を持ちつつ投じた一票でも現政権では「肯定する一票」になってしまいます。 選挙において信任されたから全ての政策が正しいと考えるのは誤りだと思います。
メディアがこぞって「3分の2」を大きくとらえるのは、その裏に危険性が潜んでいることを今までのやり方(多数派による強行採決)で十分わかっているからだと思います。
改憲に限らず、経済政策や社会保障政策においても多数の力で押し通すやり方を目の当たりにしてきました。
与党勢力に投じられた一票が「全て肯定される一票」にならないことを祈るばかりです。