環境保全、登山道整備、救助活動のために
更なる「登山規制強化」を望む
日本中の山の登山・ハイキングはほとんど全て無料です。
その登山道の敷地が個人の所有であっても誰もが登ることができます。それら登山道は、その所有者や地域の人たち、自治体、地元登山愛好者らのボランティアなどで整備されています。
又、登山者が何時に登ろうが、ビバークしようが法的な規制というものはありません。
そう考えると、日本の登山というものは本当に誰もが自由に登れ楽しめるものなんだな~と改めて実感します。
最近では、特にコロナ禍以降は山小屋の宿泊制限などで完全予約制が増えてきています。
しかし、日帰りやテント泊(テント設置場所は規制)であれば、特に規制なく登れます。転落や捻挫などで身動きがとれなくなった時、山岳警備隊にヘリで救助してもらっても無償です。
こうした昔からの登山概念は日本独特なものかもしれません。
時間があればちょっと登ってこようかという気軽さが浸透しているものなんでしょう。
7/1日、今年も山梨県吉田口の富士山山開きが開始されました。続いて7/10日に静岡県側の3ルートの山開きがありました。
私は9年前のこの開山時期に富士山に登りました。
駿河湾の田子の浦をスタートして頂上に至る海抜ゼロメートルからの2泊3日の登山でした。登山口は村山浅間神社で途中富士宮ルートに合流し、下山の御殿場口で協力金千円を支払いました。
この時の登山で思ったのは、登山道の整備や登山者が出すゴミ処理、更に登山や自然現象などによって引き起こされる富士山の崩壊が進むことでした。
特に6合目以降は森林限界を超えて一面ザレ場が広がっています。土砂の流出やがけ崩れなど起こっていると聞きます。その証拠に大沢崩れは遠方から見てもハッキリわかります。
そんな思いで下山した時、協力金千円は安いな~という思いでした。あくまでも協力金ですから強制力はありません。任意です。
ここ最近、TVニュースなどで外国人の登山者が急増しているという報道があります。それも軽装で登山装備もなく登っている姿が映し出されています。
登山中に高山病やケガ、更には低体温症で身動きが取れなくなり救助隊が出動する場面もありました。
このことは外国人に限らず日本人登山者も毎年のように多くいるようです。
このような状況から山梨県は富士登山の一部規制を強化したと報道がありました。
吉田ルートは、富士登山者の約6割が使う。木材を使ったゲートを設け、一人2千円をの通行料を取る。通れるのは午前3時~午後4時で、1日当たりの登山者数は、越えると危険な混雑が生じるとされる4千人まで。集めたお金は警備などの人件費や登山道整備に使うという。
6/30 朝日新聞
富士山オフィシャルサイトHPより
こうした登山時間、人数、通行料などの規制がようやく始まったなという思いです。
時間規制は、いわゆる ”弾丸登山” をなくす方向で決められたものでしょう。「頂上でご来光を!」という気持ちはわからない訳ではありませんが、睡眠不足や疲労、寒さなどで身体に大きな影響を与え、最悪遭難につながる危険性があります。
又、通行料については、アルピニストの野口健氏のコメントが報道されていました。
野口氏は「大きな一歩」と一定の評価を与えた上で、「入山料金の額については議論の余地あり。国際的な感覚でも1万円でも安い。また、自国民と外国人で入山料金を変えるのはよくあること。日本人1万円、外国人3万円。僕の感覚です」と持論を展開した。
J-CASTニュース
私も野口氏の考えに同感です。
入山料2千円ではまだまだ安いと思います。登山道の整備をはじめ周辺の環境保全のためには莫大なお金がかかると思います。
更には、前述したように登山者救助のための費用もかかるでしょう。又、入山口での登山装備の厳しいチェックなど管理面でも人件費がかかります。台風や強風、豪雨など天候の急変によっては登山口を封鎖することも必要でしょう。
こうした事情を考慮すれば1万円でも安いと思います。
富士山は日本を象徴する名峰中の名峰です。世界文化遺産にも登録されています。
そうした富士山が後世に引き継がれていくためにもしっかり管理する必要があると思います。「富士山に登るという意識を大きく変える」意味でも高額な入山料は当然だと思います。
富士登山は特別なもの、他の山と同等に考えるものではないと思います。
夏の登山期間以外も入山規制すべきです。それは登山時間、通行料、登山口での装備点検などです。
遭難者をなくし、気持ちよく登れるために年間を通した様々な入山規制の必要性があると思います。