北岳登山(前編)

日本第2位の高峰へ

初日10時間のハードな行程

 

山岳倶楽部の仲間たちと恒例の夏山登山に行ってきました。
今年は北岳を目指す2泊3日の行程でした。例年の夏山は北アルプスを中心にしたものでしたが、今回は初めて南アルプスの盟主に挑む山旅でした。

北岳は富士山に次ぐ日本第2位の高峰。
北岳~間ノ岳間は日本で最も長い3000m稜線を有し、この地に立てば日本ベスト3の高峰を間近に展望することができることから登山者にとっては憧れの山域ではないでしょうか。

南アルプス登山の玄関口は山梨、静岡、長野県側から複数あります。
北岳を目指すには主に山梨県側の芦安から入山するのが最適です。登山シーズンは一般車両の通行を禁止するマイカー規制があり、登山専用バスや乗り合いタクシーで登山口の広河原に向かいます。
特に夏季シーズンは全国から多くの登山者が入山するため、芦安には複数個所駐車場が整備されています。又、公共交通機関を利用する登山者のために甲府駅から広河原までの直通バスもありアクセスには便利です。

 

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今回の行程は、1日目広河原山荘に前泊。2日目白根御池経由北岳登頂後、北岳山荘泊。3日目八本歯ノコルから左俣コースで広河原下山。

一般的に大樺沢コースを利用する登山者が多いですが、今年は大樺沢が崩壊しているため通行禁止になっていました。

 

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昨年6月リニューアルオープンした広河原山荘。宿泊9000円、夕食2400円、弁当900円。
交通不便な山中にあってとても快適な山荘でした。なんといっても清潔なお風呂があるのが良かったです。

 

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テラスからは北岳を望むことができました。
夕食も豪華な洋風の食事でアルプス気分?になります。

大部屋は12人収容の部屋で、この日は9人宿泊でゆったり。
同宿した登山者は福岡から来た4人パーティと宮城からの単独者。私たちと同世代でした。
福岡からのパーティは静岡から甲府に入り、北岳~間ノ岳~塩見岳を縦走した後、長野県飯田に下山して帰る一週間の山旅と話していました。やはり九州からとなると南アルプスは遠いですね。

宮城からの単独者は日本百名山を目指す方でした。なんと百名山残り二座ということで北岳と間ノ岳を登頂するために来ていました。
この方の行程はまず99座目に間ノ岳登頂した後、最後の百座目を北岳に登ると話していました。通常であればルート上に北岳が手前にありますが、あえて左俣コースで北岳をトラバースしてまずは間ノ岳を目指すプランのようでした。
この方にとって日本第2峰の北岳を百座目にするという記念の想いはよくわかります。
実はこの方とは、間ノ岳登頂後の北岳山荘でお会いして、更に北岳登頂後に白根御池山荘で下山休憩中に偶然お会いする機会がありました。私たち3人でその方の百名山達成を祝福しました。

広河原山荘での山談義は尽きることはありませんでした。こうした一期一会の出会いも登山愛好者にとっていい思い出になります。

 

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2日目早朝5時前、広河原から望む北岳。野呂川にかかる吊り橋を渡って登山道へ。

 

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途中の白根御池山荘と白根御池
ここから小太郎尾根分岐までのルートとして、草スベリコースと右俣コースに分かれます。
私たちはほぼ直登の草スベリコースへ。

 

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草スベリコースからの北岳

ダケカンバの斜面をジグザグに登りながら高度を稼いでいきました。しかしキツイな~!

 

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登山道沿いに咲くハクサンフウロとヤマハハコ

 

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振り返ればほぼ目線の高さになってきた鳳凰三山(日本百名山)

 

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小太郎尾根分岐からの展望
花崗岩が目立つピラミッド形の甲斐駒ヶ岳(日本百名山)

 

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南アルプスの女王と呼ばれる仙丈ケ岳(日本百名山)

 

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ようやく北岳直下の北岳肩ノ小屋に到着も雲行きが怪しくなってきました。
すでに大勢の登山者が登って来ていました。ツアーの団体登山者もいて賑わっていました。
ここで昼食休憩。

 

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13:30、北岳登頂

あいにくの雨、頂上からの展望は望めませんでした。残念!
登る時は晴れていても山の天気は刻々と変化しています。こうしたこともしょうがないですね。

日本で一番高い山は富士山であることは誰でも知っているが、第二の高峰はと訊くと、知らない人が多い。北岳だよと教えても、そんな山はどこにあるのかといった顔つきである。甲斐の白峰(しらね)だと言うと、その名前だけは承知している。
深田久弥著「日本百名山 北岳」の冒頭から

確かに登山を愛好する人以外は、今でも日本第二峰の山を知らない人はいると思いますね。

深田久弥氏の「日本百名山」が刊行されてから60年経ちます。深田氏が登ったルートは「池山吊尾根と呼ばれる山稜を辿った」と記されていました。このルートは調べたところ池山御池小屋から八本歯ノ頭を経て北岳に至る超ロングコースでした。

著書「日本百名山 北岳」の最後にこんなことが書かれていました。

近年芦安から夜叉神峠をトンネルで抜けて野呂川の広河原まで車道が完成し、奥深い山であった北岳も簡単に登られるようになった。喜ぶべきか、悲しむべきか、私は後者である。

なるほど今では芦安から広河原に至る車道が整備されたことで容易に北岳に登ることができます。
このルートは夏はほとんど使われてなく、冬山登山はメインのコースになるようです。というのも池山尾根は雪崩の危険が低いためだそうです。

 

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15:00 北岳山荘着。10時間の厳しい行程でした。

雨もあがり曇り空の中、ようやく富士山が姿を現してくれました。
北岳山荘は満員でした。この山荘を予約したのが5月中旬でしたが、すでにこの日しか空きがなかった状況でした。
全国から多くの登山者が北岳、間ノ岳を目指して来ているんですね。

明日の午前中は晴れの予報です。期待できます!

「北岳登山(後編)」へつづく

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