安倍氏国葬「反対」6割超
無関心ではいられない
安倍晋三元首相の国葬を9月27日に控え、日増しに反対・疑問の声が大きくなってきています。
岸田内閣による閣議決定だけで国会での議論もなしに強行されることに違和感と疑問を抱き続けていました。
2020年から続くコロナ対策、ここ最近の円安による物価高騰対策など、岸田首相は「国民の声には丁寧に耳を傾けなければならない」「議論を尽くす」という答弁を繰り返しする中、国葬を閣議・党内で勝手に決めてしまうことに驚きを通り越して呆れてしまいました。
「国民の声には・・・」「議論を・・・」の通り一遍の発言に「またか!」と。
いったいこの国の政治はどうなっているの?、国政私物化そのものに他なりません。
時を同じくして英国のエリザベス女王がお亡くなりになりました。
女王を慕う国民が多かったこの英国でさえも国葬に議会の承認が必要とされています。
そもそも「国葬」自体どのようなものか考えなければならないと思います。
戦前、国葬は「国葬令」が法的根拠としてあったようですが、現在の日本国憲法にはありません。
最近、新聞・TVなどのメディアで多くの憲法学者や専門家の意見を聞く機会がありました。
安倍晋三元首相の「国葬」を強行することは、特定の個人、とりわけ、直近まで現役の政治家であった人物を特別扱いすることになり、憲法14条などで規定されている「平等原則」に反する疑いが強い。・・・戦前の考えをひきずっている「国葬」は、「平等原則」に反します。
恵泉女学園大 斉藤教授
「国葬」というかたちで強行されるとすれば、国民全体に弔意を強要することにつながります。これは憲法19条「思想及び良心の自由」に反することになることも話されていました。
こうした考えや意見に対して岸田首相は、「国民一人一人に弔意の表明を求めるものではない」と言い、「故人に対する敬意を国全体としてあらわす儀式」とも発言しました。いったい何をもっての「敬意」なのでしょうか?
更に、「国全体」とは何ですか? 日本の国の主人公は国民ですよ。「国民全体」ってことになるじゃないですか。
これまでのように「内閣・自民党合同葬」にしてはいいのではないかと思います。
そしてその費用は、政党助成金を使うことなく自民党内の党経費として行えばよいのではないでしょうか。
国葬に関する新聞記事 直近の朝日新聞
こうした憲法上でも問題となる国葬ですが、百歩譲って「国葬」を行うその理由を岸田政権は、安倍氏の「功績」「首相在任期間」を挙げています。
「功績?」、これもまた何をもって功績としているのか理解に苦しみます。
憲法を無視した安保法制の強行採決と集団的自衛権の施行、アベノミクスによる格差と貧困の拡大、新自由主義を推進して「賃金が上がらない国」に落ち、更に、モリカケ・サクラ疑惑の問題など数多くの国民無視の政治を行なってきました。
このような政治によって、大企業や一部富裕層の利益・資産拡大貢献が「功績」なんでしょう。
こうした政治が8年8ケ月続いたのですから、今後立ち直るだけでもかなりの時間が必要だと思います。
今回の国葬について、各新聞社の世論調査結果が報道されていました。
その調査結果をみると6割以上が「国葬反対」の意思表示がされていました。
安倍氏の国葬の賛否については、「反対」は62%で、前回の53%から9ポイント増えた。「賛成は」27%で、前回(30%)から3ポイント減少した。自民党支持層でも2割超が「反対」だった。
毎日新聞 9/19日付
安倍晋三元首相の国葬に「反対」「どちらかといえば反対」が計60.8%を占め、「賛成」「どちらかといえば賛成」の計38.5%を上回った。
安倍氏を国葬の対象に決めたことに関する岸田文雄首相の説明について「納得できない」は67.2%。「納得できる」は28.8%だった。
総額16億6千万円程度と公表した国葬にかかる金額を72.5%が「妥当ではない」とし、「妥当」は22.9%だった。
東京新聞 9/19日付
国葬を行うに当たって、憲法上の問題をはじめ様々な疑問の声が噴出してきています。
国葬費用が私たち国民の税金で賄われることもその一つではないでしょうか。
コロナ禍の中でお亡くなりになられた方々の多くが、身内だけの家族葬で済ませたことをよく耳にしました。これらは感染防止対策として配慮されたと思います。
又、厳しい生活状況が続く中で、できるだけ葬儀費用の負担を抑えることも見聞きしました。
こうした国民の配慮や厳しい生活実態がある中で莫大な葬儀費用?、それも税金を使って行われる? これでは多くの国民が納得しないのは当たり前ではないでしょうか。
総額16.6億円の国葬費用が「妥当ではない」と応えた人が7割を超えたことをみても明らかです。
国葬反対の声が日増しに挙がる背景には、安倍氏が銃撃で倒れた原因が統一教会との癒着関係だったこと。更に自民党議員の多くが統一教会と密接な関係を持っていたこともあると思います。
こうした状況の中で国葬が行われることに対し、多くの国民が「反対」するのはハッキリとした理由があるからです。その理由は個々人によって様々だと思いますが、「無関心ではいられない」という国民の切実な思いがあるからだと強く感じます。
そして私も無関心ではいられません。