NHK「ドキュメント72時間」

10年目の節目、320回以上放送

リアルで様々な人間模様に魅了

 

リタイア後、テレビを観る機会が増えました。
特に好んで観る放送はグルメ、旅番組、登山やスポーツといったところでしょうか。その他、世界の大自然を特集した番組も好きです。

私が観るこうした番組の一種共通した点は、ドキュメンタリー、半ドキュメントといった放送が多いです。
例えば、グルメや旅番組は今ではかなりの数にのぼります。そのほとんどは有名人やお笑いタレントがレポーターを務めています。これはこれで楽しく視聴できるのでしょうが、どうしてもその人たちが主役になった番組に編成され、肝心のグルメやその土地のことが伝えきれていないものが多いと思います。
こうしたレポーターが、一口食べて「おいしい!」「めちゃ旨い!」「うわ~きれい!」「ちょー素敵!」という感嘆言葉を連発しますが、そのおいしさや感動の中身が全く伝わってきません。
レポーターはあくまでも黒子に徹し、カメラワークと一番伝えたいことにじっくりスポットを当てた映像の方が視聴者にとってよりわかりやすと思いますが・・・。

それに比べ、同じようなグルメや旅番組でもドキュメンターや半ドキュメントの放送は、その対象となる食べ物やその土地の歴史・情景が主役です。レポーターはあくまで最初の紹介だけに留めます。レポーターが出演しなくてもナレーターだけでもいいのでしょう。
食べている人の表情やその笑顔を見れば、味や実際の情景は十分伝わり想像を掻き立てられます。
番組を観ている視聴者が、どのように思い、どんな受け止めをするのか。視聴者自身が判断されればいいのではないでしょうか。

 

そんな代表的な放送にNHK「ドキュメント72時間」があります。
いろいろな想像をかきたてながら観られる大好きな番組の一つです。番組の最終には松崎ナオの「川べりの家」が流れ、この番組にピッタリの郷愁を誘うテーマソングではないでしょうか。
毎週金曜日夜10:45からの深夜番組なので、録画して後日カミサンと一緒に視聴しています。

ファミレス、空港、居酒屋・・・。毎回、ひとつの現場にカメラを据え、そこで起きる様々な人間模様を72時間にわたって定点観測するドキュメンタリー番組。偶然出会った人たちの話に耳を傾け、”今” という時代を切り取ります。
NHK「ドキュメント72時間」HP

この番組は今年10年目を迎えたそうです。
そんな10年の節目に先日、「視聴者投票で選ばれた歴代ベスト10」の特集が2夜連続で放送されました。もちろんこれも録画しておきました。
今までの放送を全て観ていたわけではありません。以前は時々、そして最近になってからは連続して視聴してきましたが、知らなかった放送も多々ありました。

 

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これまで放送された数は320以上だそうです。へ~こんなにもあったんだと改めて驚きました。

この特集番組では、「ベスト10にみなさんの心に残る『72時間』は入っているのでしょうか?」との問いかけがありました。
う~ん、どうだったかな~、アレかな~と思い出しながら私が選んだ3つの放送は、

■「サイクリングの旅 しまなみ海道を駆ける」
■「青森・下北半島 ”ワケあり” 横丁」
■「秋田 真冬の自販機の前で」

このどれかが入っているかな~と期待しながら観てみました。

 

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第一位「秋田 真冬の自販機の前で」  第二位「大病院の小さなコンビニ」
第三位「海が見える老人ホーム」    第四位「阿蘇・ライダーたちの夏 10年に一度の撮影会」
第五位「日本ダービー大行列」     第六位「長崎・お盆はド派手に花火屋で」
第七位「樹木葬 桜の下のあなたへ」     第八位「北の大地の学生寮」
第九位「夏コミ!”日本一”のコンビニで」 第十位「恐山・死者たちの場所」

ほほ~なるほどそうでしたか。

番組が始まる前に私が選んだ3つの内、「秋田 真冬の自販機の前で」が第一位に入っていました!
カミサンも順位が明らかになるにつれて「やっぱりね~、そうだと思った」ということで、視聴者の皆さんも同じ想い考えだったんですね。

 

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第一位「秋田 真冬の自販機の前で」

なぜこんな場所で? 寒さ厳しい雪の降る時期に?、お客さんが来るの?それも3日間!
な~んて思っている方もいるでしょう。私もはじめそう思いましたが・・・。今ではコンビニでカップ麵を買って暖かい店内で食べることができますが・・・。

実際は地元の人が頻繁に訪れていました。野外に設置されたベンチに座り「やっぱりここのうどんは美味しいよ!」と言いながら黙々と食べる姿がクローズアップされます。
本当に旨そうだな~という思いが観る側に伝わってきます。グルメ番組ではなくてもお客さんの笑顔だけで視聴者に十分伝えることができています。
古い自販機と殺風景なテーブル・ベンチに何か郷愁が感じられてきます。と同時にそこに集う人たちの様々な人間模様までもが映し出され温かい気持ちになりました。

 

今回の特集番組では、「ドキュメント72時間」を愛するする人たちのコメントやそのグループのことが紹介されていました。
その中に熊本県の有志の人たちが立ち上げた「72時間の会」が紹介されました。

 

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へ~こうした会があるんですね。
「ドキュメント72時間」をこよなく愛する人たちが定期的に集まって感想を述べ合う懇親会を開催しているそうです。又、各年ごとに「私たちが選ぶ今年のベスト10」の発表会を催し盛り上がっているようです。
こうした会が埼玉や都内であれば、72時間ファンとしてぜひ参加してみたいものです。

 

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第四位「阿蘇 ライダーたちの夏 10年に一度の撮影会」

10年に一度、熊本県阿蘇町の草千里ケ浜駐車場で行われるライダーたちのイベントだそうです。
この番組を観てはじめて知りました。

どんなイベントかというと、集まったライダーたちを撮影し、一冊の写真集を仕上げるというもの。『写真に撮られるためだけに集まる』、という一つの目的を持ったライダーたちが一堂に会すイベントだ。
このプロジェクトが始まったのは、今からさかのぼること40年前の1979年8月最後の日曜日。一人のカメラマンの呼びかけに応えて600数十名のライダーが写真に撮られるためだけに集まった。
2019年「タンデムスタイル」HP

こうしたイベントがあるんですね~。
「写真に撮られるためだけ」で全国から数千人のライダーたちが集結するんですね。それも10年に一度!
遠いとか、時間がかかるとか、な~んてことは全く意に介さず、ただただその時その場に行くことが目的なんだと!それは理屈ではない ”こだわり” ”ロマン” というものなんでしょう。
そんなライダーたちを応援してみたくもなります。「それっていいよね!」

この草千里ケ浜は、2018年九州くるま旅の時訪れたことがありました。
日本百名山の阿蘇山に登った時です。5月、ちょうどミヤマキリシマが咲き誇る烏帽子岳が見事でした。

 

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2018年5月 草千里ヶ浜と烏帽子岳を彩るミヤマキリシマ

この翌年8月にライダーたちが集うイベントが行われたんですね。
ここまで来る阿蘇の道路はライダーたちにとって走りやすさと素晴らしい景観を見せてくれます。車で走っていてもそう感じました。
観光地のため広い駐車場を備えていることから、ライダーたちが集う場所としてなるほどと思いました。
次回は2029年ですね。

 

定点観測で捉える ”生のドラマ“ には筋書きはありません。何が起きるのかわからない、どんな会話があるのかわかりません。最初から作られた場面もセリフもありません。
だからこそ本物、ありのままの姿が映し出されリアルな映像がそこにあります。そんな通りすがりの人たちの話や会話に「そうだよな~」と思わず頷いてしまうことがあります。

”様々な人間模様” という表現の中には、画像を通して視聴者自身の生きてきた想いや感情も入り混じり、共感したり新しい発見があるからこそ面白いのかもしれません。

これからも一ファンとして観続けていこうと思います。

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