天狗岳(後編)

若者たちの登山風景

ちょっと甘くみた登山、想定外!?

 

登山プランを立てる時は行程表を作成します。
特にはじめて行く山のプランは「コースタイム」を重視して時間割を算出していきます。

私は山岳専門の昭文社「山と高原地図」をいつも利用しています。
この地図の「コースタイムについて」には4つの基準を設定して、目安程度に活用してくださいと書かれています。
その他に、
「設定についてはアルプスと低山帯など山域により基準は異なります」と補足されています。

今まで多くの山に登り、且つ、この地図を利用してきたことで、上記の補足事項がよくわかりました。
というのも、例えば奥多摩や丹沢などのコースタイムはかなり精度の高い時間で設定され、ほぼ同タイムで山歩きすることができました。
一方、日本アルプス(北、南、中央)登山の時は、かなり余裕のある時間に設定されていました。高山ということから不測の事態(急登、天候、気温など)に備えてプラス時間が設定されているようです。

今回の天狗岳(八ヶ岳)は高山に匹敵します。日本アルプス山域と同等のコースタイムに設定されていると思いましたが、これが意外なことにかなりタイトな時間でした。
あくまでも参考タイムだとわかっていても、「この遅れは一体何で?」と思うことが下山まで続きました。今までの経験上はじめてのことでした。

普段の登山とは違いテント装備の重さ?、年齢による体力低下?、こうした要因でコースタイムより遅れはじめたかもしれませんね。
今までとは違うということを再認識しなければと思いました。

 

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第二展望台から望む南八ヶ岳の赤岳、阿弥陀岳と目の前にそびえ立つ「西天狗岳」

八ヶ岳という名はその八つの頭の峰から来ているというが・・・、その八峰と称されるものを挙げれば、阿弥陀岳、赤岳、横岳あたりが中枢で、いずれも2800mを抜いている。2800mという標高は、富士山と日本アルプス以外には、ここしかない。わが国の貴重なな高さである。
深田久弥著「日本百名山 八ヶ岳」

西尾根の樹林帯を進み、そのまま頂に立てるのかなと思っていたところ頂上直下は岩場の連続でした。遠くから見た感じとは全く違い急登の連続でした。
この岩登りでかなり体力を消耗してしまいました。

 

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「西天狗岳」頂上2645m

頂上は思っていたより広く、南八ヶ岳の山並みが一望でした。
ここで気が付いたのは若者の多さでした。今までの登山とはだいぶ変わった光景?、圧倒的に若い世代のハイカーばかりでした。
やっぱり若い人が多いと活気がありますね。首都圏からの交通の便が良い山域、又、夏休み・日曜日ということもあったかもしれません。

昔は信仰登山が行われていたというが、現在ではそういう抹香(まっこう)臭い気分は微塵もない。むしろ明るく近代的である・・・ヨーデルの高らかにひびく溌剌とした青年子女の山を思い浮かばせる。
それほど八ヶ岳は若い一般大衆の山になった。広潤な裾野、森林、そして3000mに近い岩の頂、という変化のあるコースは、初心の登山者を堪能させる
深田久弥著「日本百名山  八ヶ岳」

「日本百名山」が出版されてから半世紀以上になります。深田氏が八ヶ岳に登ったのはさらにその数十年前?、戦前から戦後にかけての頃だと思います。その当時から若者が集う山として人気があったんですね。
そういう風にしてみれば、日本アルプスとはまた違った意味で親しみやすい山岳地帯なのかもしれません。

 

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西天狗岳から南方面に望む根石岳(手前)と硫黄岳(奥)
東方面には「東天狗岳」、西天狗岳から20分ほどの距離です。

 

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西天狗岳から一旦坂を下り、鞍部から再び東天狗岳を登り返します。
「東天狗岳」頂上2640m

西・東天狗岳の2つのピークを総称して天狗岳。この東天狗岳は、北から南八ヶ岳に向けての主稜線が通っています。

 

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頂上から望む硫黄岳の爆裂火口とその奥にそびえる八ヶ岳主峰の赤岳

 

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東天狗岳頂上から西天狗岳を望みながらランチタイム。この頂上でも多くの若者たちがランチしてました。

 

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東天狗岳を後にして、今夜のテント場(黒百合ヒュッテ)に向け中山峠を目指しました。

 

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登山道は岩場が連続していました。八ヶ岳の主稜線はアップダウンもあり意外と足場の悪い道が続きます。
ただ、森林限界を超えている稜線のため360度の景色を楽しむことができました。

 

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中山峠付近の樹林帯の中は木道が整備され歩きやすいです。しばらく樹林帯を進むと黒百合ヒュッテが・・・。ちょっと何かおかしいな?
実は改修工事が始まっているようでした。一週間前のヒュッテHPでは一部営業と書かれていましたが、なんと全面改修のため小屋はお休み状態でした。管理人さんがいないようでテント場も使えない?・・・。

そんなことで、この場にいてもしょうがないかと思い、近くの小屋を地図で確認してみましたが適当な所がありませんでした。
今回はテント泊を諦め下山することにしました。

 

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しらびその樹林帯の中の登山道は沢づたいといった感じで足場の悪い道が続きました。樹林帯は苔がびっしり敷き詰められた幻想的な雰囲気でした。こうした感じは八ヶ岳山麓の特徴的なものですね。

車を駐車した唐沢鉱泉に下山する分岐まで地図上では45分。しかし1時間歩いてもそれらしい分岐がありません。こうした時はちょっと焦ります。
登ってくる時もコースタイムの遅れ、そして下山の時も大幅な遅れ?。このような状況ははじめての経験でした。そんな思いを抱きながら慎重に周囲を見ながら進んだところ、ようやく分岐の表示が目に入りました。
いや~参ったな~、何でこんな時間がかかったのか。
更に、この分岐から唐沢鉱泉までの下山時間は40分と書かれていましたが、なんと実際には1時間近くかかってしまいました。

 

今回の登山ではテント泊ができなかったこと、コースタイム通りの思うような山歩きができなかったことなど想定外が起きてしまいました。
こうした登山もあるでしょう。そんなにうまくいかないことも登山ですね。

唐沢鉱泉登山口に着いたのは15時30分、なんと重たい荷物を背負っての8時間の行程でした。
やれやれ、お疲れ様でした。

2 thoughts on “天狗岳(後編)

  1. 想定外のことが年齢とともに起こる率が高まることを私も実感しました。
    7/24に長野県の黒姫山に登りました。西登山道往復でコースタイムは6時間45分でした。
    平均年齢70歳をだいぶ超えた4人でした。登ってすぐに一人が脱落。山の掟には反しますが、
    余力もあり、何度も登っているし迷うこともないので一人で帰しました。次に頂上がだいぶ近く
    なってから妻が動悸が激しくなってきたとのことでペースを緩め、頂上ではゆっくり休み過ぎ、
    下山も中盤になったころ、私の足がつったような感じになり、等々で8時間半もかかってしまい
    ました。降りた頃には皆疲れてはいましたが元気で降りてこられて一安心。脱落者も無事帰還。
    高山植物はあまり多くはありませんでしたが、それなりに咲いていて良かったです。今はみな元
    気です。

    1. 槌が崎さん

      こんにちは

      黒姫山に登られたんですか。私はまだ登ったことがありません。
      以前、高妻山や妙高山に登った時、目の前に形のいい立派な山があるな~と思ったのが黒姫山でした。又、昨年くるま旅で富山に行く途中、上信越道から見る黒姫山のきれいな姿がとても印象深く思い出に残っています。

      登山ではいろいろなアクシデントがありますよね。特に想定していないことが起きると慌てたり、気にしながら登山することになったりします。
      黒姫山登山では皆さん無事に下山することができ本当に良かったですね。

      >想定外のことが、年齢とともに起こる確率が高まる

      私も66歳になり、これからの登山確かにそのとおりだと改めて思いました。気力体力、余裕をもった登山を心掛けていきたいと思います。

      コメントありがとうございました。

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