参議院選挙の結果

改憲勢力2/3以上の議席

本当に改憲が信任されたのか?

 

よく法案や各種制度で「改正」という言葉が使われたりします。
この「改正」という意味を調べてみると、「不適当なところや、不備な点を改めること」と記されています。
「改正」という言葉を使うと「正しく改める」という意味があり、言葉の使い方ひとつで読み手、聞き手に与える印象は大きく違ってきます。

現政府与党と一部野党の中で「憲法改正」という言葉が盛んに出てきています。又、新聞・テレビ・ネットなどでもこの言葉が使われたりしています。
こうした「改正」という言葉は、変えたい側の使い方だと思います。変えたくない、変える必要はないという側にとってはたいへん違和感があります。
なぜなら、「改める」という表現だけならまだその意図はわかりますが、それは「正しく」ではないと思っているからです。

今回の参議院選挙で、自民党、公明党、日本維新の会、国民民主党などの改憲勢力が改憲発議に必要な3分の2以上の議席を得ました。
この選挙結果を受け岸田首相は、「憲法改正に取り組む」と表明し、更に「憲法改正の議論をしっかり進めなければならない」と発言しています。
はっきりと「改正」という言葉を使っていました。

 

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今回の参院選の争点はいろいろありましたが、世論調査で有権者が最も重視した政策は「景気・雇用対策」が30.2%、「年金・介護・医療」が15.7%、「子育て・少子化対策」が11.1%と続いていました。
(7/10日時事通信)
「憲法改正」は4.7%と低い回答でした。
他の新聞社や共同通信などの世論調査をみても、やはり「憲法改正」は最下位レベルでした。

 

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「選挙ドットコム」サイトの全国世論調査(4月)から資料添付

 

これらの調査でもわかりますが、国民が改憲を望んでいるかは大きな疑問です。
3分の2の議席を確保したことで ”改憲が信任された” といえるでしょうか?

 

自民党の改憲案は4項目あるようです。
①自衛隊の明記 ②緊急事態対応 ③合区解消・地方公共団体 ④教育の充実

これまで歴代政府が憲法九条のもとでは持てないとしてきた攻撃的兵器=「敵基地攻撃能力」を保有し、使用できるようにしようとしています。他国の領域内までに攻め込んでいく軍事力を持てるということになります。
そして、自衛隊を明記することは制限なしに集団的自衛権を認め、海外で実際に戦争する自衛隊に変えることになります。
「専守防衛」の自衛隊の役割・権限を大きく変えて、上限のない軍事力に道を開こうとしています。

戦後日本は他国と戦争することなく、誰一人として戦争で犠牲になることはありませんでした。
これは現憲法が存在していたからです。しっかりと重石になっていたからだと思います。

ロシアのウクライナ侵略に乗じて、自民党などが改憲や軍拡(防衛費を対GDP比1%→2%以上)の動きを強めています。
この戦争からはっきり言えることは、「軍事対軍事」では何ら解決されないことだと思います。
戦争にさせないためにも憲法九条を生かした平和外交で紛争解決のために対話を重ねていくことが大切ではないでしょうか。
又、核兵器の使用を防ぐためには、核兵器禁止条約で核兵器の廃絶を目指すことこそ唯一の戦争被爆国の日本の目指す道だと思います。

③の「合区解消」は、選挙制度や選挙区割りの法律問題であって、わざわざ憲法に書き込むべきものではないと思います。

 

今回の参院選も選挙区選挙において多くの死票がありました。
当選した候補者の得票数より落選した候補者の得票総数が上回っているのがほとんどです。当選したからすべての政策が信任されたということではありません。
先日、自民党の経済再生担当相が「野党の人から来る話はわれわれ政府は何一つ聞かない」という暴言を吐きました。
まったく呆れた発言です。民主主義というものをまったく理解していない人ですね。こうした人が経済再生担当相?なんですから、日本経済の先行きが危ぶまれます。

思い上がりというのはとても危険な道を開くものです。
一定の得票数で議席を得たとしても、それ以上の票は他の候補に投票されています。この現実をしっかり見て判断し、声を聞く政治を行ってほしいと願います。

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