南九州の山旅 (3) 縄文杉

宮之浦岳から大株歩道へ

清水と苔むす原生林の森!

 

宮之浦岳登頂を果たし、この日の宿泊地「新高塚小屋」へ向かいました。
屋久島第2峰の永田岳を左手に見ながら笹とシャクナゲが生い茂るトレッキングは、360度の視界が広がっていました。

 

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振り返って仰ぎ見る宮之浦岳と永田岳

 

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新高塚小屋(避難小屋)

宮之浦岳から3時間の行程でようやく新高塚小屋に到着。小屋前のテラスにはすでに数張りのテントが。
小屋に入るとほぼ満員状態! 私はソロだったので何とか寝床が確保できました。それにしてもなんでこんなに混んでるの? 登山者の方に聞いてみたところ、ヤクシマシャクナゲの時期だからだそうです。皆さん考えることは同じですね。

 

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さて、今夜の夕食はレトルトカレーです。簡易食の白ご飯に温めたカレールーをかけるだけ。手っ取り早く簡単にできるのが便利です。
最近はキャンプグッズが進化してきたことから、皆さんオシャレな炊飯用具で本格的に調理する登山者もいました。こうした食事も楽しみの一つになってきています。

 

翌朝5時半に小屋を出発。縄文杉に向かいました。行程時間は下り坂の1時間。
一般的な縄文杉観光コースは荒川登山口から登ってきます。このコースは上り坂で縄文杉まで5時間以上かかります。

 

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屋久島では巨木と言われる多くのヤクスギがありますが、この「縄文杉」だけは柵で囲いされていました。もっと近くで見れると思っていましたが、やはり特別なヤクスギなんですね。
周囲は混雑を避けるために一方通行?の順路がしるされていました。私が着いた時は一人登山者がいただけでした。完全に独り占めという感じでした。

 

この縄文杉が発見されたのは、前回のブログで記しましたが昭和41年(1966年)だそうで、この発見記事について「屋久杉自然館」に展示されていました。

 

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屋久島町「屋久杉自然館」 昭和42年元日付の南日本新聞記事

初めてこの太古の巨木に出会ったのは1966年5月28日。旧上屋久町の元観光担当だった岩川貞次だ。
「小杉谷の奥に巨大な屋久杉があるらしい」
地元猟師から、そんな噂を聞き、巻き尺を手に小杉谷周辺を探し歩いた。その日、谷の奥にある高塚山中腹で登山道を外れ、20mほど山側に潜り込んでみた。すると、深い茂みから、巨岩のような屋久杉が忽然と現れた。

今から56年前、このようにして縄文杉(当時は大岩杉)が発見されたんですね。

私は一般の縄文杉コースとは逆の下りから始まり、大株歩道と言われる登山道沿いには見どころのある屋久杉が点在していました。

 

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「夫婦杉」 二本の屋久杉が太い枝で繋がっています。

 

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登山道沿いに太い根がむき出しに絡まっていました。見上げると巨大な屋久杉です。

 

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ウィルソン株

推定樹齢2000年、高さ4m、周囲13.8mの巨大な切株でした。内部は約10畳ほどの広さで祠が祀られていました。
見上げるとハート型?の空間。

 

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荒川口から縄文杉コースを登ってきたハイカーとすれ違いました。縄文杉まで往復10時間以上の行程のため、皆さん早朝5時台に出発したグループです。
一般的なハイカーと異なる点があります。それはほとんどがガイド付きでした。

 

 

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大株歩道が終わった地点にレールが敷かれていました。これはかつて屋久杉を運んだトロッコ道でした。今では登山道になっています。

 

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私は白谷雲水峡に向かうため、途中までトロッコ道を歩いてみました。大株歩道に比べとても歩きやすかったです。

 

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トロッコ道の途中でランチ
簡易食のマカロニペペロンチーノと味噌汁。やっぱりこうしたインスタントは美味しくないですね~。ちょっと残念でした。

 

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白谷雲水峡の「苔むす森」

”もののけ姫” 舞台のモデルになった幽玄な世界。絨毯を敷いたように厚くふわふわの苔があたり一面を覆い尽くす。
豊かな森林に住む精霊 ”木霊” が切株や岩の上に見える気すらする幽玄な場所はかつてもののけ姫の森と称し、観光客で溢れかえりました。
屋久島トレッキングナビサイト

 

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木や岩にもびっしりと苔が生えていました。雨の多い屋久島ならではの光景です。

 

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2日間の縦走登山は、行程時間だけでも20時間に及びました。
日本百名山の山旅の中でもとりわけ印象に残ったトレッキングでした。特に山全体の雰囲気は他の百名山とは全く違うものです。

深田久弥氏は日本百名山の「宮之浦岳」の冒頭でこんな書き出しから話しています。

西日本(白山以西)で一番高い山は、四国の石鎚山と剣山であることは、山の好きな人なら大かた知っていよう。それについで高いのは宮之浦岳と言うと、そんな山はどこにあるのかという顔をする人が多い。宮之浦岳は屋久島の最高峰である・・・、そんな高い山があることを意外に思う人があるかもしれない。

屋久島と言えば、まずは世界自然遺産の島であり縄文杉を挙げる人は圧倒的に多いと思います。
そして宮之浦岳? 著作から半世紀以上も経った今でもその存在は知られていないと思います。
それでもいいと思います。世界自然遺産の中に入っている山ですから。それだけの価値はあると!

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