南九州の山旅 (2) 宮之浦岳

世界自然遺産の島、屋久島へ

ヤクシマシャクナゲ咲く ”宮之浦岳” 

 

屋久島へのアクセスは空路と海路の二通りあります。
海路では鹿児島港から高速船とフェリー屋久島2があり、前者は2時間、後者は4時間の船旅になります。
交通機関は何でも早ければいいというご時世、仕事をしている人にとっては目的地まで早く行ければそれだけ時短につながります。
私も働いていた頃は、限られた日程の中でできるだけスピーディーな方法を選択していました。

しかし、退職後はたっぷり時間があります。特に旅に関してはじっくり楽しんでこようという思いがありました。全国くるま旅もそういったスタイルでゆっくりとした時間を大事にしてきました。
そんなことから、私は迷わず後者を選択しました。

 

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鹿児島港8時30分、快晴の中、屋久島に向け出港。錦江湾から望む桜島。錦江湾から外房に出る頃、九州南端にそびえる開聞岳も望むことができました。

高速船で行くのもいいのですが、こうして晴れた日はデッキに出て海風を感じながらの船旅が満喫できます。ちなみに高速船の場合は室内だけのようです。

 

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着岸30分前、屋久島の全容がはっきりわかりました。こうして見ると思っていたより大きな島ですね。

 

標高により植生が大きく変わる!?

 

この日は安房(屋久島の東側地域)の民宿に泊り、翌朝5時に淀川登山口にタクシーで向かいました。

 

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早朝6時登山スタートといってもすでに登山口駐車場は満車状態。後でわかったことですが、登山者の皆さんは4~5時台には出発していたようです。宮之浦岳の往復日帰りにしろ、縦走登山の避難小屋泊にしろ、その行程は10時間前後と長いからです。

 

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淀川登山口は標高1330m。いきなりうっそうとしたヤクスギの森に入りました。登山道沿いにはヤクスギの巨木がそそり立っていました。
タクシーで来る途中の景色は本州でも見られる一般的な照葉樹林の森でしたが、標高1000mを超えると全く違う景色でした。
「ヤクスギの森」として観光客で賑わう縄文杉までの大株歩道周辺がスポットを浴びていますが、私の認識不足でした。屋久島の1000mを超える山岳地帯全体が「ヤクスギの森」なんですね。

 

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登山道はヤクスギの根で覆われる個所が何度もありました。そんなヤクスギを仰ぎ見るとそのてっぺんは確認できないほどです。

 

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途中淀川を渡ったところ、なんと川の水が透明! 画像では干上がった河原に見えますが、実は一面透明な川の水なんです。屋久島の川がいかにきれいで澄みきっているのがわかります。
この後、登山道が川になっている場所が何ヶ所もありました。この水も透明でサラサラと流れていました。今までの登山で初めての光景でした。

 

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花之江河(はなのえごう) 標高1630m 日本で最南端にある湿原

 

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標高1600mを超えた辺りから屋久島の固有種 ”ヤクシマシャクナゲ” が咲いていました。
5月下旬~6月上旬に見頃で、このシャクナゲを見に登山者が増えるようです。

 

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登山道から西にそびえる「黒味岳」(くろみだけ)1831m

 

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時間に余裕があったので「黒味岳」へちょっと寄り道。ザックを登山道脇にデポして手ぶらで登ってきました。往復1時間の距離ですが、せっかく来たのだからよじ登ってみました。

 

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「投石平」(なげいしだいら)

屋久島独特の花崗岩が点在し、ここもヤクシマシャクナゲが見事でした。
この辺りからが森林限界で360度の視界が広がりました。

標高が上がるにつれて照葉樹林~ヤクスギの森~高山植物へと植物景観が変わってきました。

 

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ようやく目指す宮之浦岳が目の前に!
その頂の手前に花崗岩の岩峰がそそり立っていました。これが「栗生岳」、まるで北アルプスの奥穂高岳のジャンダルムにも似ています。

 

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登山口から6時間の行程、「宮之浦岳」(1936m) の頂上に立ちました!
日本百名山97座目です。

 

屋久島は、東西約28km、南北24km、周囲100km、ほぼ円形の孤島で、全島が山で充ち、ほとんど平野らしいものはない。
最高峰の宮之浦岳はほぼ島の中央を占め、少し距たって、永田岳、黒味岳が立っている。いずれも1800m以上を算するが、それ以下の山になると無数にある。山の頂をタケと呼び、島の人たちに言わせると、そのタケが330もあるそうである。だから海上から望むと、島というより、大きな山が海の上にそびえているように見える。そしてそれを総称して八重岳とも呼んでいる。
深田久弥著「日本百名山」より

 

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目の前にそびえる「永田岳」(屋久島標高NO2)をはじめとする周囲の八重岳?を展望しながらのお弁当は最高でした!

 

深田久弥氏が宮之浦岳を登頂したのは昭和14年(1939年)12月だったそうです。そして、日本百名山の「宮之浦岳」を執筆したのが25年後の昭和39年(1964年)と語っていました。
この著書では屋久杉について少しだけ触れていました。

全島これ山で、山は森林に覆われている。驚くべき樹木の繁茂ぶりである。中でも有名なのは屋久杉で、その年輪を数えてみると、2千年以上のものも稀ではないという。

しかし、あの有名な「縄文杉」のことについては全く触れていませんでした。なぜなのか調べたところ、縄文杉(当時は大岩杉と呼ばれた)が発見されたのは昭和41年(1966年)5月、当時屋久島町の観光担当だった岩川貞次さんが猟師の噂話を聞いて探し当てたそうです。つまり著作から2年後に発見されたんですね。
又、世界自然遺産に登録されたのが1993年ですから、更に後年になって「屋久杉」や「縄文杉」の価値が高まり、その話題も広まりました。

この著書が、仮に今の時代に加筆・修正されるようなことがあったとしたら、多分間違いなく「縄文杉」のことが書かれていたと思います。
ただ、屋久杉伐採禁止になったのが1980年代になってからだそうで、それ以前から深田氏が著書の中で屋久杉の価値について触れていたことだけは貴重なことかもしれません。

 

そんな思いを抱きつつ宮之浦岳を後にし、ヤクスギシャクナゲが咲き誇る登山道を今夜の宿泊地「新高塚小屋」に向かいました。
明日はいよいよ「縄文杉」のある大株歩道トレッキングです。

 

「南九州の山旅 」 つづく

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