食と日本社会

「ポテサラ論争」?

食事作るのは女性87%!

 

性別役割分担意識

性別役割分担意識とは、男女を問わず個人の能力等によって役割の分担を決めることが適当であるにもかかわらず、「男は仕事・女は家庭」「男性は主要な業務・女性は補助的業務」等のように、男性、女性という性別を理由として役割を分ける考え方のことである。
厚生労働省HP

このような意識というのは、最近「ジェンダー平等」の考え方として様々なかたちで問題視され議論されるようになりました。

先日、東京新聞に「食と日本社会」に関わる世論調査の記事が掲載されていました。
この記事の中で、「ポテサラ論争」なるものの話が出ていました。

昨年、ポテトサラダを買おうとした子連れ女性が、「ポテトサラダくらい作ったらどうだ」と高齢男性に非難されたとして、インターネット上で話題となった。

この話題に関連してのポテサラ調査では、母親は手作りするべきかという問いに、「するべきだ」は23%、「する必要はない」が75%に上ったそうです。
この問いに関して違和感があったのは、「母親は・・・」という女性に限定した問いそのものです。
確かに論争自体が、料理は女性がすべきだという旧来的な価値観に沿ったものでしたが、それをまた助長するような質問はどうなのかな?と思いました。
それにしても、75%の人が「する必要がない」と応えている点で、食に関する意識が変わってきたことがうかがえます。

「食と日本社会」を巡る世論調査で、家で食事を作る人の性別は「どちらかといえば」を含め計87%が女性と回答したようです。
ここで冒頭の「性別役割分担意識」というものが現代社会の中で広く議論されつつありますが、依然として ”炊事の役割が女性に偏っている” 実態があるんだと驚きました。

 

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東京新聞 8/12付朝刊

 

「古い人間だから・・・」、だから何なの?

 

今回の東京五輪組織委員会の森喜朗前会長の女性蔑視発言、開閉会式演出トップだった佐々木宏氏の女性タレント容姿侮辱など、ジェンダー問題があらためて浮き彫りになりました。

こうした問題は私たちの身近なところにも多く存在しています。男性が特に意識することなく普段の日常会話の中でもよくあります。
以前読んだ柿谷美雨著の「定年オヤジ改造計画」の中でこんな会話がありました。

娘:「人は結婚して一人前だとか、女性には母性本能があって当然だとか」
父:「なるほど。俺が古い人間だと言いたいんだな・・・」
娘:「私ね、父さんのこと古いとは思ってないよ」
父:「そうなのか?だって今・・・」
娘:「父さんはね、古いんじゃなくて間違ってるんだよ」

ここで一つ気づくのは、普段の会話の中で時々「古い人間」という言葉が使われることがあります。
この場合、ジェンダー問題に関連した発言で「俺は古い人間だからな~」とか、後で言い訳がましく言う場面があったりします。
逆にみれば、「古い人間だからしょうがない」と許されるような風にも受け取れます。
この小説の会話では、「古いんじゃなくて間違っている」ことをハッキリ指摘しています。

この言葉には、何か不都合なことがあれば「古い人間だから」と許しを請うような逃げ道があります。
こうした自分の非を本気で改めない言い方は、また同じ文句を言う可能性があるのではないでしょうか。
つまり、「間違っている」ことを認めない、認めたくないのでしょう。

これでは何ら自らの意識改革はできません。
「間違っている」ことをハッキリ認めない限り、こうした人はいつまでも同じことを繰り返すのでしょう。

 

前述した「ポテサラ論争」の調査で、「必要ない」の回答を年齢層、男女別で見ると、最多は30代以下の若年層女性の92%。最小は60代以上の高年齢層男性の61%で、両者の間には30ポイント以上の差があったと報告されていました。

この調査でもわかるように、昭和生まれの「古い人間?」の多くは ”炊事の役割は女性” という認識が強いことがうかがえます。

このような高年齢層男性の生活状況を推測すると、まだ就業されている方も多いと思います。又、完全リタイアされた方もいるでしょう。
全般的には仕事上第一線から離れて、ある程度時間的余裕のある世代だと思います。
この世代がまだ若かった頃、百歩譲って「そういう時代だった」と認めても、今の時代は夫婦共働きが当たり前の時代に変わってきています。時代が変われば考え方も変わってきます。
ましてや「ジェンダー平等」という考え方は、過去にさかのぼっても当たり前のことだと認識する必要があると思います。

台所に立ったことがない、調理の仕方がわからない、面倒くさい・・・。
「俺は古い人間だから」、だから何なの? と言いたいですね。

”自らを変えていく気持ちと行動” が必要だと思います。

2 thoughts on “食と日本社会

  1. すーさんのような考え方のできる方がもっと増えてくれると
    もっと生きやすい世の中になるのではないかなと思っています。

    男女共に意識の再点検は大切ですよね。

    「婦人公論」に連載されていた垣谷美雨さんのものは
    終わってしまいました。
    今の50代以上の人はかなり自分と重ねて読まれた方が多いと思います。

    1. Roseさん

      こんにちは

      そう言えば、垣谷美雨さんの小説が婦人公論に連載されていたんですね。多分、単行本として出版されるのかな? 発売されたらぜひ読んでみようと思います。

      今の若い世代の人たちの多くは、あらたまってジェンダー平等という考え・言葉がなくても、自然なかたちで受け入れているように思えます。
      もちろん全てではありませんが、時代の変化とともに変わりつつあるように感じます。
      それは娘夫婦や知り合いの若い夫婦などを見ての感想ですが。

      Roseさんがおっしゃるように、特に50代以上の世代においてはまだまだそうした認識が足りないように思います。
      そのような人に対しては、そうした場面や発言を見聞きした時に目の前でハッキリ指摘してあげた方が良いのかもしれません。
      私も以前友人たちとの飲み会の席で直接指摘したことがあります。その時ちょっと場の雰囲気がしらけましたが。
      こうした問題は、「古い人間だから」と言うようにあやふやになりがちです。でも、昨今の差別発言などが炎上するようにしっかりと向き合わなければならないと思います。

      柿谷美雨さんの小説、特に50代以上の男性にぜひ読んでほしいですね。

      コメントありがとうございました。

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