長崎新聞、8月9日への思い・・・
紙面埋める1万超の「黒い点」!?
8月15日は、76回目の終戦記念日です。
戦後生まれが8割を超え、その体験を語る人たちは年を追うごとに減り続けています。
私が「戦争」という言葉を何度か口にしたのは、「戦争を知らない子供たち」の歌でした。
中学から高校生になる頃、ギター片手に同級生たちと共に口ずさんだ思い出があります。戦争という深い意味を解ろうとせず、単に軽快なメロディーに沿って歌ったものでした。
この「戦争を知らない子供たち」の歌詞は、北山修が作詞したものです。
元々、歌詞が最初に出来ていて、北山氏が杉田次郎にこの歌詞を持っていって曲が作られたそうです。
こうした戦争に関わる歌というものは、どんな思いを込めて歌うのかというのが最も大切なものだと思います。メロディーに合わせて歌詞を変えるようなことはできないでしょう。
なぜなら、作詞家の ”最も訴えたい意味が込められている” からだと。
同じように世界平和への願いを込めた歌として、ジョンレノンとオノヨーコの「イマジン」があります。
世界各地で起こっている戦争や紛争、同時多発テロなどの時には、必ずといっていいほど歌われてきた曲です。
”想像してごらん” という短いフレーズには深いメッセージが込められています。
終戦記念日になる頃、フッと頭をよぎる歌に「さとうきび畑」があります。
多くの歌い手によって歌われ続けてきた曲ですが、中でも森山良子によって広く浸透してきた歌ではないでしょうか。
テレビの歌謡番組で森山良子が歌う「さとうきび畑」を耳にした時、はたしてこの人は ”歌詞の意味をわかって歌っているのだろうか?” という疑問が長年ありました。
先日、東京新聞に森山良子の「さとうきび畑」についてのコラムがありました。
作詞・作曲の寺島尚彦先生からこの曲をいただいた時、私は21歳でした。のほほんと育った私にとっては、全く知らない世界です。分かったような顔をして歌うのは、沖縄の人に失礼なのでは? とても私には歌えないと思いました。
結局、1969年に発表したアルバムに収録されましたが、積極的に歌う気持ちにはなれませんでした。リクエストがあると歌ってみます。でも、「全然、歌えていない」と感じていました。
91年に湾岸戦争が起き、自衛隊が海外派兵されることになった頃、母に言われました。
「こんな時に愛だの恋だのばかり歌うのはおかしいわよ。あなたには歌うべき歌があるじゃないの」
その通りです。今こそ「さとうきび畑」を歌わなければいけないと強く思いました。
東京新聞 8/11付
この記事を読んで「やっぱりそうだったんだ」と思いました。
特に80~90年代の頃、テレビで歌う森山良子を観ながら感じたのは、その想いというのがあまり伝わってきませんでした。
しかし、近年になってその歌を聴くと ”強い想い” というのが伝わってくるように思えました。
口先だけで歌われる歌と心から訴えるような歌とでは、聴く側にとってはやはりわかるものなのでしょうか
長崎市への原爆投下から76回目の8月9日、原水爆禁止2021年世界大会ナガサキデー集会が開かれました。
今回はオンラインで開催されたようです。
長崎市の平和式典で田中富久市長は、核抑止力論を批判し各国と日本政府に核兵器禁止条約への参加を求めるメッセージがありました。
「ことし核兵器をめぐる新しい地平に立っています」と核兵器禁止条約発効の意義を強調。この条約を「世界の共通ルールに育て、核兵器のない世界を実現していくプロセスがこれから始まる」とのべ、日本政府に一日も早く署名・批准することを求めました。
この日、長崎新聞のことがテレビニュースに流れました。
一地方紙のことがなぜニュースになるの?と気になりました。それは、紙面全てを使った記事?にありました。
長崎新聞8/9付朝刊 14~15面
紙面には黒い点がビッシリと規則正しく並んでいます。いったいこれは何だろう?
実はこの黒い点は、今世界中にある核兵器の数を表わしているそうで、その数13865個。
そして、左上「長崎新聞」と書かれた下に、
「核兵器が存在している以上、それが使われるリスクも存在しています」の一文
この一文の下に ”赤い点が2個” 、これは広島と長崎に投下された原子爆弾だそうです。
これほど強烈なメッセージはありません。
長崎新聞社のお話では、
「想像力こそが、核兵器の最大の抑止力になる。そのことを伝えたいと思いました」
この記事を見た人が何を感じ、どんなことを想像するのか、それだけでも大きな意義があると思います。
”想像” といえば、前述した「イマジン」の歌のタイトルと同じです。
戦争や原子爆弾がどれほど恐ろしいものか、私たちは想像するだけでも十分理解できます。
核兵器を保有することが抑止力につながる? はたしてそうでしょうか。
唯一の被爆国である私たちの国こそが核兵器廃絶に向けた役割を果たすことではないでしょうか。