山岳保全協力金

山小屋支援と環境保全に向けて

入山料徴収は必要!

 

日本の国土の6~7割が山地であることから昔から各地域で五穀豊穣・安全祈願などの山岳信仰が伝承されてきました。
又、天気予報のなかった時代、残雪の形や残雪のとけた形を田起こしや田植えの時期の目安にして、農作業開始の目印にしてきたとされています。
そんな残雪の形が山名の由来という山は少なくありません(駒ケ岳、白馬、爺が岳など)
山はそれだけ昔から親しまれてきた存在だったことがうかがえます。

毎年8月11日は「山の日」です。
この山の日は、「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」という趣旨で国民の祝日になりました。

しかし、今年の山の日は8月8日(日)のようです。
カレンダーは8月11日に明記されていますが変更になったの?
今年は東京五輪の開閉会式に合わせて、7/22海の日、7/23スポーツの日、8/8山の日に変更されたんですね。
コロナ禍で東京五輪開催是非が問われる中でも変更通り実施されるようですが・・・。

 

いよいよ夏山シーズンを迎えます。
昨年からのコロナ禍で登山に親しむ傾向は激減してきています。こうした中、山小屋の運営は厳しくなり閉鎖を余儀なくされる小屋も出てきているようです。

山小屋の運営は、単に登山者を宿泊させる役割を持つだけではありません。

山小屋の3つの役割
①登山者が休憩・宿泊する場所としての役割
②遭難救助に当たる役割
③登山道を維持・管理する役割
※山小屋支援プロジェクトHPより

私たち登山者の目に見えないところで遭難救助や登山道整備、環境保全のために尽力されています。

山小屋の宿泊料金は山岳エリアによって多少異なりますが、大よそ1泊2食付きで1万円前後です。
この料金はほぼ民宿と同じくらいの金額です。
山小屋の整備に関わる資材や食料・日用品などの輸送コストは、一般的な民宿に比べるとはるかに高いです。
そう考えるとその料金はけっして高いといえるものではないと思います。

 

IMG_0286-300x200   IMG_6186-1024x683

3000m級の北・南アルプスの整備された登山道や木道

 

IMG_5892-300x225   IMG_5893-300x225

整備されていない登山道は、倒木や雑草などにより歩行困難な状況にあります。
この写真は富士山村山古道です。

 

以前、北海道の幌尻岳に登った時にこんなことがありました。

北海道の山小屋は夏季シーズンだけ管理人さんが常駐するところが多く素泊まりが一般的です。
私がこの幌尻山荘に宿泊(2泊)した時、一人の登山者が足首を捻挫してまともに歩くことができない状態にありました。管理人さんにその事態を伝え緊急ヘリを手配してもらいました。
管理人さん曰く、「3日連続の緊急ヘリ手配だよ」と話していました。

捻挫した登山者は、なんとか自力で小屋までたどり着きましたが、その他のケガ人は途中の沢で起こした遭難だったため、その場所まで出向き登山者を背負って小屋まで運んだと言っていました。
そうした遭難に関わる登山者の負担は一切ありません。ヘリの代金は全て北海道(行政)が負担します。

このような緊急対応の他に、登山道や渡渉のための河原の整備などが常時仕事としてあると話していました。

ブログ:幌尻岳登山

 

IMG_2797-300x200   IMG_2802

捻挫した人を囲んでヘリを待つ登山者たちと緊急ヘリのレスキュー隊(幌尻山荘)

 

昨年2月、山陰の「大山(だいせん)」で、環境保全のために受益者負担の仕組み(入山料)の検討が始まったようです。

大山壱岐国立公園の大山は、年間約6万人が登山する、西日本を代表する山岳です。
この登山利用に関連して、山中の避難小屋やトイレ、登山道・木道の維持管理、補修、植生保護・外来植物除去などの取り組みを、地元の団体やボランティアの強力を得ながら主に公費により行ってきました。
しかしながら、公費に大きく依存するかたちではこれらの取り組みの継続的な実施や追加的な取り組みを新たに行うことが難しくなってきています・・・。
こうした背景の下、大山の山岳環境保全と持続可能な利用の充実を目指して、受益者負担の仕組みを検討・・・、登山者に対して任意の協力金を募る社会実験を実施しました。
環境省:中国四国地方環境事務所HP

 

このような取り組みは同じように「富士山」においても行われています。
夏のシーズン中に訪れる登山者から「富士山保全協力金(入山料)」として一人1000円の徴収が導入されました。
しかし、これはあくまで任意・協力金という名目からおよそ4割の人が払わないという現状があるようです。

私は登山愛好家の一人として、こうした大山や富士山のような入山料徴収の取り組みは賛成です。
それは任意ではなく強制力を持ったかたちで登山者が負担する仕組みが必要だと思います。
その管理組織や徴収方法、金額など課題はあるものの ”環境保全と安全な登山” を維持するために負担すべきだと。
こうした取り組みで少しでも山小屋管理人の負担軽減、遭難時の費用などに充てれればと思います。

又、登山者は登山届の提出はもちろんのこと必ず「山岳保険」にも入るべきだと思います。
遭難時にかかる費用は莫大な金額だと聞いています。そうした費用は行政(税金)が負担するのではなく個人の保険として支払われればと思います。

ちなみに個人的な意見ですが、富士山保全協力金は低いと思ってます。
特に富士山は日本や世界に誇る名峰であり世界文化遺産に登録されています。このため多くの登山者が訪れることから環境破壊につながる恐れが出てきています。
又、あまりにも気軽に登る登山者がいることで遭難も後を絶たない状況が続いています。もっと敬意をはらって登ってほしいと思います。
入山料は最低でも5000円、更には1万円でもいいのではないかと。そのくらい価値のある山なんだと!

 

こうした大山や富士山をはじめ山岳保全協力金の取り組みを進めるべきだと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。