TV「ザ・ヒューマン」~財津和夫
「人生はひとつ でも一度じゃない」
先日、NHKBSの「ザ・ヒューマン」を視聴しました。
今回の放送では、私の好きな「財津和夫」の特集番組だったので録画しておきました。
NHK「ザ・ヒューマン」
先の見えない混沌の時代だからこそ、人間の確かな息づかいを深く見つめなおす。
様々なジャンルで新たな世界を切り開こうとする「ヒューマン」たちの心揺さぶられる生き様を描く、本格派ヒューマン・ドキュメンタリー。
主人公たちの願いや挑戦、葛藤に迫り、リアルな生き様を見つめます。
NHK「ザ・ヒューマン」サイト
1970年代、私がちょうど高校生から大学に進学した頃、TULIP(チューリップ)としてデビューしたことを覚えています。
「心の旅」「虹とスニーカーの頃」などのヒット曲はよく口ずさみました。
社会人になってからはほとんど聴くこともなかったチューリップでしたが、退職後くるま旅を始めた頃から、今度は財津和夫ソロの「青春の影」「サボテンの花」を運転しながら聴くようになりました。
チューリップ時代に聴いた同じ曲でも一段と深みが増した名曲だと思いました。そこには歳を重ねた歌詞の説得力と渋みが加わった味がうかがえます。
働いていた頃、仕事や家庭中心の生活だったためか音楽というものには遠ざかっていました。
退職後まず聴き始めたのが40年前(1970年代)のフォークソングやニューミュージックと言われた曲ばかりでした。
歌手でいえば小田和正、財津和夫、かぐや姫、井上陽水、ユーミン(当時の荒井由実)、竹内まりや、山本潤子・・・。
60代になったオヤジが、「好きな曲、好きな歌手は?」と聞かれて、40年前にタイムスリップしてしまうわけですからおかしな話ですよね(笑)
財津和夫は現在72歳だそうです。
彼は15年ほど前から更年期障害と大腸がんを患い引退を考えていたそうです。
そんな中、数年前から故郷福岡で始めた一般人向けの「作詞講座」が転機となり、10年ぶりの新曲制作に取り組む姿が描かれていました。
この「作詞講座」は50~70代のシニアの方々多く参加されていたそうです。
私は「詩」を書く、作るという趣味はありません。
しかし、歌に描かれる「詞」はメロディに合わせて口ずさみ、その情景を思い浮かべることから興味がありました。
番組で財津和夫は「作詞講座」をとおし、この世代の作詞の特徴として「自分を励まそうとしている詞が多い」と話していました。
「大人になって、それ以上になっていくと、やっぱりそうなるのかなと思いましたね」と。
今までがむしゃらに生きてきて、”60代を迎える頃が人生のひとつの節目” になるような気がします。
それは、仕事や家庭、子育てのことから、今度は自分自身の将来の生き方・過ごし方、夫婦お互いの身体のことや親の介護のことなどに切り替わっていくからなんでしょうか。
今までの人生の中で「自分を励まそう」「自分を鼓舞いする」ような場面というのはありました。
しかし、これらは社会の様々な人間関係や損得勘定、利害関係から生じてきたものでした。
私たちのような世代になれば、もっと純粋に自分自身のこと、自分を見つめなおすことから出てくる「自分への励まし」なのかな~と思います。
先月アップしたブログ、姜尚中氏の「生きるコツ」の中でも、
生きていれば、老いる。老いとともに、自分の知らなかった自分に出逢える、新しい発見に・・・。
そんな考え方・生き方に何か共通するようなものを感じます。
だから、この年代になると「自分を励まそうとしている詞が多い」ということに頷きます。
自身の歌う曲や楽曲提供などで数々のヒットメロディを生んできた歌は、まず曲(メロディ)から作っていたそうです。
「詞っていうものを 僕ずっとないがしろにしてたんですよ。詞はいらないと思っていたんですけどね」
「いまは歌の詞っていうものの持つ力っていうもの なんとなく理解してきて」
「だから詞を先に書くことにしたんです」
詞の力ってやっぱり大きいですよね。
聴き手は詞の情景を思い描き、それぞれの感じ方で自分なりに解釈することができるものです。
新作「人生はひとつ でも一度じゃない」
私たちの年代になると、このタイトルだけでも「そうなんだよな~」という気持ちになります。
歌のサビの部分では「♬大丈夫さ 大丈夫さ・・・」という詞が入っていました。
この歳になってこれからの人生を考えた時、人それぞれ心配事や不安なことがあると思いますが・・・。
姜尚中氏が著書で伝えていた「出たとこ勝負、老いる力のなせるワザ」と開き直った気持ちでポジティブに考えた方がいいのかもしれません。
機会がありましたら、財津和夫の新曲「人生はひとつ でも一度じゃない」を聴いてみてください。