餅つき機

地域ごと多様な雑煮文化と餅の食べ方

大根おろしの ”からみ餅” !?

 

いよいよ年の瀬を迎える時期になりました。
今年はコロナ感染で始まり、その収束さえも見えないまま終わるように思えます。
このままでいけば、年末から年始にかけて地方に帰省する人たちも自粛を余儀なくされることになるでしょう。

こうした中でもお正月はやってきます。
正月といえば ”お雑煮” を食べる習慣が昔からの日本の食文化です。
このお雑煮は、北海道や沖縄にはなかったそうです。
北海道はアイヌ民族、沖縄は琉球国としての文化だったことからのようです。

日本古来の郷土料理の中でも、特に ”お雑煮” は各地方によって様々な種類があると聞きます。
新しい年を迎えるに当たっての祝い・縁起担ぎやこだわりといったものがあるのでしょう。
そんな雑煮文化についてちょっと調べてみましたが、これがまたビックリすほど地域によって異なるんですね!

 

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「餅の形と食べ方」

餅の形が角か丸かは、日本列島の三重・福井辺りで分かれるようです。
その地域以北は角餅(切り餅、のし餅)、以西は丸餅だそうです。そして、その調理方法(味付け)も異なるようです。

お雑煮=5つの文化圏
■角餅・すまし文化圏:北海道、東北、関東、中部地方
■丸餅・赤みそ文化圏:北陸地方の一部
■丸餅・白みそ文化圏:近畿、中部地方の一部、四国中国地方の一部
■丸餅・すまし文化圏:中国、四国、九州、北陸地方の一部
■小豆汁文化圏:鳥取県の沿岸沿いの一部地域

※参照「日本列島雑煮文化圏」

さらに、これらの形や味付けに加えて餅を ”焼いてから” ”そのまま煮て” 食べるといった調理方法があることから、かなり広い食べ方があるんですね。

 

「雑煮の具」

餅以外にお雑煮の具も地方によって様々です。
正月のお祝いや縁起担ぎといったことからその食材が使われているようです。

■やつ頭、里芋:一つの根からたくさんの芋ができることから子孫繁栄を願う意味
■大根とにんじん:紅白のめでたい色(ほぼ全国)
■大根の輪切り:和(輪)を大切に丸く収まるようにとの思い、丸い形には角がない
■カブ(蕪):先祖が同じ一族を「株」という風習があり、親族で集まり、音が同じ「蕪」を入れた雑煮
■菜っ葉(小松菜など):「名(菜)をあげる」「名を残す」縁起物(東京など関東地方)
■菜っ葉を入れない:逆に菜っ葉は「名を切る」という意味から一切入れない(三重)
■はば(はば海苔):はば(海藻)を入れることで「一年中はばが利く」といわれる縁起物(千葉)
■ハマグリ:口を開ける(年が明ける)ことから縁起がいいとされる(兵庫や広島の山間部)

※参照「年取りと正月の料理」

このように具の中身まで地域によって様々ですから、餅の形や味付けを含めれば無限大にあるんですね。

 

先日、友人宅から “餅つき機”  をいただきました。
以前から買おうかな~と思っていた矢先に、「型は古いけどもう使わないから持っていって」と。

 

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型が古いと言っていましたが、まだ真新しい感じの餅ちき機でした。これはありがたいことです。

 

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餅つきの場合、一般的に餅米を一晩水に浸しておくということを聞きます。
餅米に十分水分を含ませる意図があるようですが、餅つき機は ”ひたし容器” に60分だけでいいんですね。これは手っ取り早いです。

ひたす60分→むす30分の行程をボタン一つで機械がやってくれるので楽ですね~。
この後は、蓋を開けたまま ”つく” 行程に入っていきました。

 

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窯の中心部から徐々につかれていく様子がわかりました。
餅米が練られてだんだんとなめらかな餅になっていきます。これは優れものだ!
つき始めてから15分ほどでつき上がりました。

 

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やっぱりつきたての餅は美味しいですよね~。
静岡県出身の私にとっては、餅といえば ”あべ川餅” です!
「餅=あべ川餅」というくらい子どもの頃から慣れ親しんだ食べ方なんです。

各地方によって雑煮が異なるように、雑煮以外の餅の食べ方も様々だと思います。
例えば、東北地方ではずんだ餅や納豆餅、関東では磯部餅、福井県ではおろし餅など・・・。

 

 

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からみ餅

我が家ではカミサンが埼玉県出身ということから、餅といえば ”からみ餅” なんです。
からみ餅? 多分関東の人はご存知だと思いますが、大根おろしで食べる食べ方です。
地方によっては、”おろし餅”(福井県) ”みぞれ餅” とも言われているようです。

ちょっと調べたところ、この ”からみ餅” という言い方は埼玉県発祥といわれているそうです。
当初は、辛味大根のおろしと一緒に食べることから ”辛み(からみ)” と言われたそうで、その後 ”大根おろしとからめて” ということから、”からめて” の意味で一般的になったようです。

カミサンは「昔は確かに辛い大根おろしで食べた」と話していました。
時代は変わり、今では大根といえば甘い青首大根が主流です。そんな変遷からからめて食べるということが一般的な言い方になったのでしょうか。

 

雑煮の話に戻りますが、関東首都圏に住む人たちは地方から出てきて、結婚後この土地に住みつく人が多いと思います。私もその一人です。
正月に食べるお雑煮の調理は多分どのご家庭でも主婦が作ることから、奥さんの郷里の作り方・味付けになることが多いのではないでしょうか。

例えば、私たちの家庭では餅の形と味付けは ”角餅とすまし” で共通していますが、作り方は餅を焼いてからとそのままという点では異なりました。
ちなみに、画像の「日本列島雑煮文化圏図」のとおりでした!
関東地方では焼いた餅をお雑煮として食べる習慣がありますが、静岡県では焼かずにそのまま煮込むかたちでした。
結婚当時はちょっと意外に感じましたが、今では当たり前のように焼いてから食べています(笑)

先日、町内会の集まりがあり雑煮の話題で盛り上がりました。
その中のご夫妻に二人共関西出身の方がいました。お雑煮は今でも毎年関西の ”丸餅と味噌仕立て” と話していました。まさに土地は変われど出身地のDNAは変わらないものなんですね(笑)
そして、その子どもたちも関東出身であっても関西の餅の形と味付けを受け継いでいくのでしょう。

 

コロナ禍と言ってもお正月はもうすぐやってきます。
さて、皆さんのご家庭ではどのようなお雑煮?、そして、どのようなお餅の食べ方なのでしょうか?
全国様々な餅の形、味付け、食べ方があるんですね。

2 thoughts on “餅つき機

  1. すーさん 様

    >さて、皆さんのご家庭ではどのようなお雑煮?、そして、どのようなお餅の食べ方なのでしょうか?

    まずお雑煮ですが、祖母が健在な頃は「ホヤ」で出汁を取っていました。
    (夏場に購入した物を冷凍にして保存して)
    それに大根・人参等の千切り・焼いた餅を入れて食べていました。

    「ホヤ」ですが、三陸産の物は身が厚くて絶品です。
    こちらでは、収穫時期になりますと、スーパーで殻付き状態で売っています。
    我が家では毎週食べています。娘たちにも4~5歳から食べさせているので好物のようです。

    餅の食べ方は何といっても「ずんだ餅」ですね~!
    すりつぶした枝豆に砂糖や塩をまぜて餡にして餅をからめて食べます。
    私が小学生の頃はこの「ずんだ」作りがお正月の仕事でした。
    すり鉢に枝豆を入れて、すりこぎ棒で”ゴリゴリ”とやっていました。

    1. 後輩さん

      いや~、珍しい情報ありがとうございます!
      珍しいと言っては失礼ですよね。ホヤの出汁で作られているとは驚きでした。
      やっぱり地域によっていろいろな作り方があるんですね。勉強になりました。
      その土地で栽培・収穫された野菜や魚介類がやっぱり食材になるんですね。
      それにしても新鮮なホヤが食べられるなんて羨ましいです。
      関東地方では食べる習慣がないのでスーパーやお魚屋さんで見ることはありません。
      東北・宮城地方ならではのものですよね。

      やっぱり「ずんだ餅」ですか!
      私も大好きです。最近では和菓子屋さんでよく見かけるので食べていますよ。
      豆の風味があって美味しいですよね。
      小学生の頃からの「ずんだ」づくりでしたか。私の「あべ川餅」と同じように小さい頃からの味というものはDNAに刻み込まれますね(笑)

      その土地ならでの食文化はいつまでも大切にしていきたいですね。

      コメントありがとうございました。

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