北海道地震と原発

全道停電ブラックアウトは人災?

コスト・原発優先の結果からか・・・

 

昨年と今年、北海道お試し住宅を利用してロングステイを体験しました。
この時、北海道の多くの方々に助けられ、又、交流を深めることができ、私たち夫婦にとってはよき思い出として残っています。
このような旅の思い出は、観光地や名所旧跡を観て周る旅とは違い、人と人とが触れ合うことからいつまでも心に深く刻み込まれています。
こうしたことから、川越に帰ってきた後もお礼の便り(メールやハガキ)を出して、今でも交流が続いています。

 

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9月6日未明に発生した北海道胆振(いぶり)地方を震源とする最大震度7の地震の影響で、全道295万戸に及んだ大停電が発生しました。

 

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9月17日付 読売新聞

 

今年7月末、私が幌尻岳に登っている3日間の間、カミサンは麓の平取町振内(ふれない)で過ごしていました。
この時も地元の方や食堂の女将さんと交流を深め、大変お世話になりました。
特にこの振内は、今回の北海道地震の震源地である胆振(いぶり)地方東部から近かったため大変心配していました。
先日、カミサンは振内でお世話になった方々へお見舞いの手紙を書いていました。

北海道旅の最後の5日間は、胆振地方と札幌市東区、千歳、苫小牧周辺で過ごしたことから、他人事とは思えない気持ちでした。
テレビで放映される山並みや田園風景、道路や住宅地など、私たちがついこの間目にしてきた景色でした。
山崩れ、下敷きになった家や倒壊した住居、陥没した道路など・・・、そんな映像を見る度、複雑な気持ちになってきます。

 

先日、お世話になった清里町の方々に今回の地震のお見舞いメールを出したところ、返信があったので原文のまま紹介します。

メールありがとうございました。
本当に、70年近く生きてきて初めての経験でした!
冷蔵庫は余り入っていなかったので、被害は少なかったのですが、冷凍庫やストッカーは全滅でした。
ストーブは朝夕だけなので、沢山着込んで非常用のストーブを少し付けて乗り切りました。
北海道の全域が停電なので、夜空の星は今まで見たことがないほど綺麗に輝き、天の川や流れ星、人工衛星など普段見られないものがたくさん見ることができました。プラネタリウムより美しい秋の夜空でした。
まだまだ流通が復活しないのでお店は品薄ですが、ちょうど実りの季節だったので助かっています。野菜は農家さんからいただき、魚は主人が釣ってきます。まるで自給自足の生活です。
節電もしなくてはならず、あちこち真っ暗です。電気代少し安くなるかと期待しています・・・。
清里町の地元の方から

 

今朝はお見舞いメールありがとうございました。
東日本大震災の折には、大変だったですね。
今回の北海道地震でもたくさんの方々が被災され、不自由されている様子をテレビで見て、本当に心が痛みます。
幸い、道東の清里は震度3で熟睡中でした!それでも地震発生時から丁度24時間停電しました。
来客中で予定通り庭でバーベキュー、蝋燭三本にて宴会していました。不謹慎ですが、その夜辺りは停電で真っ暗、星降る清里を満喫しました。天の川まで見えて感動しました。
また、いつか星空見に来てくださいね・・・。
清里町に移住された方からのメール

 

震源地である胆振地方から遠く離れた清里町においても、地震の影響による停電に見舞われた様子がうかがえました。
震源地に近い平取町振内地区でお世話になった方々との連絡はまだ取り合っていませんので心配です。

 

集中電源から分散化へ

 

今回の全道停電(ブラックアウト)の原因は、北海道電力が道内の使用電力の半分近くを供給してきた苫東厚真火力発電所が地震の揺れを感知して緊急停止したことのようです。
そしてこの状況が供給電力のバランスを崩したことで、次々と各発電所の稼働が停止するという事態になったと発表・報道されていました。

ではなぜ苫東厚真火力発電に集中(全道使用電力の半分)したのか、させたのか?という疑問が浮かびます。
この点について、専門家や学者、更には直接携わっている北電関係者からも指摘する声が上がっていたようです。

集中電源の危険を承知しながら対策を講じてこなかった北電経営陣に対しては、業界内からも批判の声が上がっている。
橘川武郎氏(東京理科大学大学院教授)は、「北電には泊原発再稼働で全ての問題は解決するというもくろみがあり、コストのかかる分散電源よりも苫東厚真への高依存を選んだ」と指摘する。
北電経営陣には、原発畑出身者が多く、再稼働への執着は他の電力会社よりも強いという。
他の電力会社が原発の早再稼働のため一部の主力機に絞って再稼働申請をしていたのに対し、北電は泊1~3号機の全てで申請した。
週刊エコノミスト

北電は、「苫東厚真発電所が全基停止することは想定していなかった」と報道されていますが、苫東火力への集中による停電リスクは認識していたようです。
こうした北電の経営姿勢は、「泊再稼働によって供給面の正常化を図りたい」(2016年真弓明彦社長)と泊原発の再稼働に固執していました。

北海道電力は、泊原発再稼働に向けた安全対策に2011年から18年までの8年間で2000~2500億円投じると発表した。
原子力規制委員会の新規制基準に対応するため、従来計画より5割増やす。
日本経済新聞

このように北海道電力は、”原発ありき” の方針によって、老朽化した火力発電所の代替として本来進めなければならないLNG火力発電所の稼働を遅らせたことも、今回のブラックアウトになる要因になったのではないかと思います。

元北電社員によれば、
「泊が再稼働すると電気が余るため、それを前提にあえて遅らせている。泊の再稼働ありきで老朽火力への対応は怠られていた」

なるほどなと思います。
停電という事態だけに話題が集中し、あまりこうした報道はされていないように思います。
北電経営陣による ”原発再稼働への固執” が、今回の事態を招いたといっても過言ではないでしょう。

 

自然エネルギーへの転換へ

 

以前、「原発から自然エネルギーへの転換へ」というブログをアップしました。
ここでは、世界の動きが再生可能エネルギー拡大に向けて大きく動き出していることを述べました。

 

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北海道くるま旅をしていると多くの風力発電や太陽光発電を目にします。
広大な山麓や海岸線を走れば、必ずといっていいほど自然エネルギーを活用した風景がありました。

大手エネルギー企業の関係者によれば、水力、風力、地熱、太陽光と再生可能エネルギー発電が盛んな北海道では他地域よりも分散発電に移行しやすいという。
仮に早期に移行できていたら「少なくとも全域停電は回避できた」。そのためには再エネ発電所を系統に接続する電線の設置が必要になるが、北電はその費用を捻出しようとしてこなかった。
週刊エコノミスト

この点についてもブログで紹介したことがあります。
大手電力会社10社の基幹送電線の運用状況は、平均で約20%にすぎないようです。残り約80%が利用されていないのが現実です。
これは、原発稼働時のために送電線容量を空けておくもので、せっかく発電機会を得た自然エネルギーが何ら活用されない事態になっています。

電力会社は、原発再稼働による利益拡大のために、「電力供給が不安定になる」という口実で、再生可能エネルギー接続を制限・拒否する姿勢を貫いているようです。
こうした、”原発ありき” ”原発固執” が再生可能エネルギー普及の障害になっていると強く感じます。

今回のブラックアウトと継続する停電は、北海道の主力産業である農業、畜産、水産業界に大きな被害を出していると報道されていまました。
「地震という自然災害だから、停電が起きてもしょうがない」では済まされない問題だと思います。
なぜこのような事態になってしまったのか?ということを追求していかなければ、また同じようなことが繰り返されることになるのではないでしょうか。

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