自然エネルギー (2)

東日本大震災から7年

原発から自然エネルギーへの転換へ!

 

東日本大震災・福島原発事故から7年たちました。
あれから何が変わったのでしょうか?

いまだ5万人を超える方々が避難生活を余儀なくされています。
そして、この7年間の中で川内原発、伊方原発に続き、福井県の高浜原発は再稼働しました。
さらに、安全審査に合格したもの、現在審査中のものを加えると、合わせて26基。再稼働に向けた動きが進んでいます。

あの時の教訓は何も生かされていませんでした。

 

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NHK「けさのクローズアップ」より

 

2015年12月、地球温暖化防止に関する条約がパリ協定で採択されました。
具体的な数値目標では、産業革命以前と比較して気温上昇を2℃未満に抑えるために二酸化炭素の排出量が決められました。
そして、各国はそれに向けた対策を実施し、5年ごとに進捗状況を報告することが義務付けられました。

昨年12月に放映されたNHKドキュメンタリー「脱炭素酸革命の衝撃」では、世界の大手企業がこうしたパリ協定の動きを敏感に察知して、再生可能エネルギー拡大を支持しビジネスが大きく変わろうとしている内容のものでした。

 

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二酸化炭素の排出は地球の温暖化をもたらし気候変動を起こす。
このことが企業のリスク要因であり、逆にビジネスチャンスとして捉える方向に向かっているとのことでした。

 

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世界最大の売上規模を誇る米ウォルマート社は、自然災害の影響で年間22億円の損失を出し続けていた。
「こうした中で再生可能エネルギー拡大に向けて、照明のLED化、蓄電池の導入、充電スタンドの整備、独自のエネルギー制御システムの導入で年間1000億円以上の節約ができた」

 

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バンクオブアメリカ・メリルリンチ
「インドに太陽光発電のための新しいファンドを立ち上げた」

JPモルガン・チェース
「2025年までに22兆円を環境ビジネスに投資する」

 

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シティグループ
「私たちはすでに16兆円を投資した。このマーケットは予想以上のスピードで規模を拡大し続けている」

 

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ドイツでは、現在再生可能エネルギーの割合は27.7%
「再生可能エネルギーの電力を優先的に送電線に接続して、安定的に電気を供給している」

 

世界の動きがこうした再生可能エネルギー拡大に向けて動き出しています。

このような中で私たちが住む日本はどのような状況になっているのでしょうか。
2014年4月、安倍政権は第4次エネルギー基本計画を閣議決定し、原発を「重要なベースロード電源」に位置づけ、永久化することを宣言しました。
さらに、2015年7月、経済産業省が決定した「長期エネルギー需給見通し」では、2030年度の発電量の20~22%を原発で供給するとしています。

 

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経済産業省HPからの飼料(電力の自給率)

日本のエネルギー自給率は、わずか6%これはOECD加盟34か国中、2番目に低い水準です。
また、電力についても、発電のためのエネルギー源を海外からの化石燃料に依存しており、東日本大震災以降、その割合は急激に高くなっています。
このように化石燃料、特に石油・ガス調達は中東地域に大きく依存しており、こうした地域に関わる国際情勢の状態に影響を受けやすい立場にあります。
経済産業省HPより

このような状況の中で決定されたのが、前述した安倍政権の ”原発依存” ”原発再稼働と拡大” という方向でした。
再生可能エネルギーの拡大を提唱しつつも、前回のブログ「自然エネルギー(1)」で述べたように、自然エネルギー発電が送電線を通して本格的な需給体制になっているかというと、現実的には大幅な制限が加えられ抑制されています。
つまり、政府による「重要なベースロード電源」としての位置づけから、”原発最優先の政策” になっていることで、再生可能エネルギーの普及が大きく遅れている要因になっているからです。

世界の動きが再生可能エネルギーへの道を進み、大きなビジネスチャンスとして捉えられている中、まさに逆行する方向に進んでいるのが今の日本ではないでしょうか。

 

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想像をはるかに超えるスピードで進む脱炭素社会への転換。

こうした中で日本企業が何をしなければならないのか?
「日本には生き残れる高い技術がある。ないのは変わる勇気なのだ」と言う。
「日本はどうして19世紀のテクノロジーに時間と努力と頭脳をつぎ込むのですか。21世紀のテクノロジーを作りあげて世界に売り最高のビジネスをしたらどうでしょうか。変わらなければ取り残されます」
※番組の中での「企業の投資と環境対策セミナー」より

世界のビジネスは大きく変わろうとしていますが、そこに立ちはだかるものは、”日本の政治” だと強く感じます。
電力の自由化といっても、それは名ばかりではないでしょうか。

 

 

原発ゼロ・自然エネルギー基本法案

 

福島第一原発の事故以降、原発そのものや再稼働に反対する国民の意識は大きく変わってきました。
先日の朝日新聞の世論調査では、国民の61%は再稼働に反対、福島県民にいたっては75%が反対という声が上がっています。

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3/3日付 朝日新聞の世論調査
3/8日付 朝日新聞トップ記事 未稼働原発の維持・管理費に5年で5兆円を超える支出があったと報道。
費用は主に電気料金で賄われている。

 

このように大きく広がる世論の中、小泉純一郎、細川護熙両元総理が顧問を務める「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」が結成されました。(略:原自連)
そして今年1月、原自連による「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」が提案されました。

この基本法案では、
東京電力福島第一原子力発電所事故によって、原子力発電は、極めて危険かつ高コストで、国民に過大な負担を負わせることが明らかになり、使用済み核燃料の最終処分も全く見通しが立たない。
また、原子力発電による発電量は全体のわずか1%(2015年段階)にすぎず、重要性を失っている。
したがって、全ての原子力発電は即時廃止する。
世界各国において自然エネルギーへの流れが急速に拡がり、太陽光発電と風力発電ですでに原子力発電の設備容量の二倍を超えている。
我が国のエネルギー政策においても、新たな産業と雇用を創出する成長戦略の柱として、安定的な電源となる自然エネルギーへ全面的に転換する。
「基本法案 第二 基本理念」からの抜粋

こうした動きが起爆剤となって世論を巻き込んでの大きな広がりになっていくことが大事なことではないかと思います。

 

政府や各電力会社は、原子力発電の有効性について、「電力の安定的な供給」「低コスト」を理由に推進する考えを変えていません。
しかし、福島原発事故発生以降、原発稼働していなくても何ら問題なく電力の供給ができてきた事実をみても、安定的な供給を理由にすることは当てはまらないと思います。
この間、化石燃料による火力発電の稼働もありましたが、自然エネルギー政策を推進することでその割合を下げていくこともできたでしょう。
まさに基本法案でも指摘されているとおり、「発電量は全体のわずか1%」「重要性を失っている」ことだと思います。

「コスト」の問題
原発事故の処理費用は、政府の見積もりですでに21.5兆円に達しているようですが、さらにこの費用はどこまで膨らむかわかりません。
これらは私たちの大切な税金が使われ、電力料金にも跳ね返ってきているも忘れてはならない事実だと思います。

「核のゴミ」問題
原発を再稼働すれば、計算上、わずか6年で原発の使用済み核燃料貯蔵プールが満杯になるといわれています。
使用済み核燃料を再利用する核燃料サイクルは、完全に行き詰まっています。このことは、高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉をみても明らかです。
こうした「核のゴミ」処理ができていないにも関わらず再稼働すること自体大きな問題ではないでしょうか。
今までの核燃料サイクルに投資した費用、更には、どこまでかかるか分からないゴミ処理費用など、これらも税金や電気料金として負担することになるのでしょう。

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3/8日付 東京新聞トップ記事
「昨夏の電力余力~震災前の原発分を上回る」
「原発必要論 根拠失う」

 

福島原発事故から7年。今も福島の人々は現実と向き合い、悩みながら、平穏に暮らせる環境を取り戻そうと模索を続けている。
忘れてはならないのは、あの事故が原発を推進する国策の末に起きたという重い事実だ。そのことを胸に刻み、復興への歩みを社会全体で支えていけるかが問われる。
2018年3月4日付 朝日新聞社説

原発再稼働、今再び「国策」として行われようとしています。
福島の復興への歩みを社会全体で支えると同時に、原発ゼロと自然エネルギーへの道もまた社会全体で支えることが今こそ必要ではないかと思います。

4 thoughts on “自然エネルギー (2)

  1. すーさんが言っていることは誠にそのとおりで、付け加えることもありません。
    書いていただいているように、何十兆円にもなる福島原発事故の処理費は結局国民が負担する電
    気代に転嫁されているし、何とか原発を再稼働しようとしてその維持管理費に何兆円も毎年費や
    している。そのお金も国民の負担する電気代です。
    電力会社も国も原発事故以降何をどのように負担してきたのか、何も負担しないどころか、国民
    に負担を電力料金として負担させ、全く意味のない除染費用として無駄なお金を使い、ある企業
    等に儲けさせているだけにすぎません。そこで働く人たちを虫けらのごとく扱って。
    原発が再稼働すると、国民に原発は安いんだと思いこませようと、安くなるわけのない電気代を
    安くして、何とか原発の維持を狙っています。私たち庶民は 原発=電気代が安い と思いこま
    されています。そんなことは決してないのに。
    安心して暮らせる社会にいつなるのでしょうか。
    今、再生可能エネルギーに方針を転換しなくていつするのでしょうか。財界も目先の利益にこだ
    わり、これから続く将来の発展のきっかけをみすみす失うことにどうして気が付かないのでしょ
    うか。

    ちょっと長くなりました。

    1. 槌が崎さん

      コメントありがとうございます。
      お久しぶりですね。お元気でしょうか。

      槌が崎さんがおっしゃるように、
      >財界も目先の利益にこだわり、これから続く将来の発展・・・失うこと。

      全く同感です。
      官民一体での原発再稼働をはじめ、昨年、日立がイギリスで原発新設を進めることが決まり、その融資の保証を日本政府が担うことのようです。
      海外においても私たちの大切な税金が利用されようとしています。
      こうしたことは、まさに将来のことを考えない ”目先の利益にこだわる” 姿勢だと思います。

      福島第一原発事故であれだけの犠牲がでたにもかかわらず、なぜそこまでこだわり続けるのか?という疑問、思いがあります。
      そこには、”飽くなき利益” というものが見え隠れします。
      原発事故で多大な損失を出した東京電力(各電力会社)は、利益拡大のために原発再稼働を進め、同時にそこには原発事業に関わる企業や研究者がいます。
      原発推進することで、”利益を共有” してきた政治家、企業、研究者、官僚(天下り)がいるのではないでしょうか。
      そこには一般的に言われる「原発村」の存在です。

      個人の利益、組織の利益ではなく、広く国民の利益と安全を大事にした政治が行われることを願うばかりです。
      このことは原発に限らず、今の政治全体でも言えることだと思います。

  2. すーさんの多角的な考え方は尊敬してます。

    でもね、原発村も、いい事だと考えて参加してる人もいます。
    わたしが「もんじゅ」に拘るのも、このせいでスッゲー尊敬してた先輩が自死したのよ。
    あれは「とんでもない怪物」らしいです。

    東芝は、福島を終息させる為絶対に潰せない。
    日立や東芝を生き残らせる為には原発を商売にしないと立ち行かない。
    広く国民の利益を考えるなら、原発関係の企業は潰せない。
    福島やもんじゅ、何とか出来る人を雇用しないと未来ないよ。
    他の人らは、どーでもいいが研究者は繋ぎとめなアカンの。
    その研究者も、他国が高額でスカウトしてスカスカになりつつある。

    自然エネルギーは(原発よりましだと思う)賛成ですが、
    地球は氷河期に向かってるって事は世界の学者の万国共通の認識です。
    結局は欧米の商売です。
    日本が出遅れてるって、あんなもん出遅れてもOKですよ。
    日本は日本なりのエネルギーの効率化を求めるべきであって
    欧米と比較して・・は違うよ。

    政治は、民主主義で選挙制を採択する以上、
    国民より少し頭いい位の人が政治家になるから多少の腐敗はしょうがないです。
    腐っても独裁よりはマシって感じです。
    マジに賢い人は政治家になんてならないし、志しても当選しないよ。

    1. ヒロさん

      コメントありがとうございます。

      日本には世界に比類ない高い技術力があると思います。
      このことは、テレビ番組の「脱炭素酸革命の衝撃」の中でも紹介されていました。
      又、研究者においてもヒロさんがおっしゃるように高いレベルにあると思います。
      そうした知識や技術を自然エネルギー開発に注ぐことで飛躍的な改善と進歩があると確信します。
      同時にそうした自然エネルギー事業の拡大で多くの雇用も生まれてくると思いますし、働くことへの誇りも出てくるのではないでしょうか。

      原発の維持管理に莫大な費用がかかり、核のゴミ処理においても未解決です。これもまた膨大な費用が必要となってくるでしょう。
      自然エネルギーへの転換に向けて、原発廃炉費用やゴミ処理問題、雇用など現実的な諸課題も出てくると思いますが、これから先の未来のことを考えればどこかで「決断」することが必要ではないかと思います。

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