3日目 キレット小屋から五竜岳へ
朝から雨と強風が続き霧のため視界は約50m。通常であれば5時の朝食を済ませて、早々に小屋を出発しますが、あまりの風雨のため少し様子をみました。6時過ぎ頃から他の登山者が続々と小屋を後にしていく中、しばらく待機した後、前日から同行しているSさんと共に6時30分に出発しました。ほぼ同時に小屋を出たAさんも加わり、即席の3人パーティで五竜岳を目指しました。3人ともはじめてのルートのためパーティを組むことで安心感があります。お二人とも登山経験は長くベテランだったこともあり一定のペースを保もった歩行速度、更に下りではシフトダウンを心がけていただいたことから無事五竜山荘に着くことができました。 残念だったことは、横殴りの雨と吹き飛ばされそうな強風のためカメラを出す余裕がなく1枚も写真を撮ることができなかったことです。
登山の危険な難所として、穂高連峰の大キレットや剱岳が有名です。私も過去にこのルートを経験しました。山容や天候の状態などで比べることはできませんが、あえて比較した場合、圧倒的に今回の縦走路の方がスリルと迫力のある難所でした。 登山道から切れ落ちた断崖もいたる所にありますし、三段のぼりやG4、G5、G7などの危険な岩稜地帯など息つく暇もない変化に富んだルートでした。更に風雨の中の縦走ということもあり緊張感を高めたと思います。 もし晴れていれば、稜線からの眺望が楽しめたでしょう。ぜひもう一度来てみたい縦走路です。
早朝のキレット小屋 五竜岳頂上は雨と霧の中
五竜山荘は、五竜岳から40分ほど下った所にあります。夕方少し晴れ間が出てきました。山荘から見た五竜岳(写真右)
唐松岳から八方尾根下山へ
最終日も霧の中、唐松岳に向け山荘を後にしました。唐松岳へは大黒岳を越え2時間30分の行程です。
今回はじめてコマクサに出会いました!大黒岳手前の登山道に群生していました。 ヨツバシオガマ(写真右)も多く見られました。
霧の中、雷鳥に遭遇!天気が良くないのでそろそろ出てくるんじゃないかなと思っていた矢先でした。ヤッター!
唐松山荘9時30分到着。休憩後、ザックを山荘にデポして唐松岳に向かいます。約15分ほどで山頂に着きます。Aさんは白馬岳まで行くということで山頂でお別れしました。72歳とは思われない健脚です。「健康で歩けるうちは何度でも北アルプスに来るよ」と言っていました。元気ではつらつとした後ろ姿は忘れられません。
唐松岳から八方尾根を下山 途中の残雪と遠見尾根
ニッコウキスゲ シモツケソウ
ウツボグサ ナデシコ
白馬鑓が見えました! 八方池から、白馬岳は雲の中でした。
八方尾根自然研究路 最後はリフトで楽ちん下山
2日目から同行したSさんとは白馬駅でお別れしました。Aさんも含め一期一会ではありましたが、達成感のある縦走と思い出に残る出会いの山旅でした。
笠ケ岳のように端正でもなく、薬師のように雄大でもなく、剣岳のように峻烈でもない。そういう有り合わせの形容の見つからない、非通俗的な美しさである。粋という言葉が適当しようか。粋でありながら決して軽薄ではない。大ざっぱに山を見る人には見落されがちな謙遜な存在であるが、一たんその良さがわかると、もう好きでたまらなくなる。 「日本百名山・鹿島槍ヶ岳」より