東北の登山とくるま旅  (6)

2年ぶり再チャレンジ

黄金色にかがやく草紅葉~八甲田山

 

一昨年の9月、八甲田ロープウェイで八甲田山を目指す登山を計画して山頂駅まで行きましたが、天候不順(風雨とガス)により断念しました。
今回の東北くるま旅では、早池峰山、岩手山、八幡平を登りながら北上し、天気の様子を見つつその時(登山決行)のチャンスをうかがっていました。
青森での滞在期間は3日間予定していました。この3日間の内、1日でも晴れればチャレンジしようと思っていましたが、この期間の天気はあいにくの予報(曇り/雨)でした。
しかし、3時間天気予報をギリギリまでチェックしていたところ、1日だけ午前9時まで晴れる見込みの日があったので、その日に登山しようと決めました。

 

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登山前日の夕方5時半頃、八甲田登山口の酸ヶ湯に向かう途中、岩木山に沈む夕日。
こんなきれいな夕日が見られるのですから、明日早朝の天気は期待できると思いました。

 

 

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前日は登山口の酸ヶ湯駐車場で車中泊。
翌朝5時過ぎの空は雲一つない天気でした。
この日は午前中の早い時間帯から天気が崩れる予報のため、日の出(5時半頃)とともに出発しました。
かなり冷え込んでいたため重ね着して出かけました。

 

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登山開始早々、日が昇り始め酸ヶ湯周辺の山々が明るくなってきました。

 

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早い出発だったため、登山道沿いの木々には霜が降りて全体的に白っぽい景色でした。
こうした木々の葉は、日に照らされれば霜が溶けて鮮やかな紅葉が見られると期待しました。

 

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登山口から40分ほどで下毛無岱(しもけなしたい)に着きました。
この辺りから湿原が始まり、八甲田登山で最も人気あるエリアに入っていきます。

 

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朝早かったため前を歩く登山者は誰一人いませんでした。
八甲田山(大岳)の方角から日が昇ってくるため、まだこの辺りは日陰になっていました。もう少ししたら黄金に輝く草紅葉が見れるかもしれません。

 

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木道にも霜が降りていたため足元が滑りやすい状態でした。
この毛無岱を抜けるまで3回ほどすってんころりんと滑ってしまいました(笑)

 

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八甲田山(大岳)からの朝日

 

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下毛無岱の途中にある休憩所(展望台)から。岩木山も眺望できました。

 

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下毛無岱からもう一段高くなった場所にある上毛無岱に登っていきます。

 

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今まで歩いてきた下毛無岱を眼下に。
紅葉が始まってきている様子がうかがえます。あと一週間もすればもっときれいな紅葉が見れるかもしれません。

 

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上毛無岱の草紅葉。

これほど美しい高原は滅多にない。豪華な絨毯を敷いたようなその原には、可憐な沼が幾つも点在し、その脇には形のいいハイ松が枝を拡げている。周囲には丈の低いアオモリトドマツが風情を添え、その結構な布置といい、背景の効果といい、まことに神の工(たくみ)を尽くした名園のおもむきがある。
深田久弥著「日本百名山 八甲田山」より

 

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池塘も点在していました。

 

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更に頂上目指して登って行きます。

 

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ナナカマドの鮮やかな紅葉が見られました。

 

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八甲田山(大岳)の頂上部分が見えてきました。
振り返れば、ロープウェイの頂上駅が見えます。こちらからの登山ルートもあります。

 

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今まで登ってきた毛無岱が一望です。

 

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頂上直下にある避難小屋          八甲田山(大岳)の前に立つ井戸岳

 

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清潔感のあるきれいな避難小屋でした。
ここで汗になったシャツを着替えました。標高が高くなってきたので寒さも増してきました。

 

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大岳中腹から目の前の井戸岳        青森湾も見えました!

 

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八甲田山(大岳)頂上 1584m (日本百名山)

 

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頂上からの展望。遠く青森市内と青森湾を望む。

 

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登ってきた反対側の仙人岱経由で下山    鏡沼

 

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硫黄岳1360m。
よく見ると山の右側木は山頂まで生息していますが、左側には生えていません。これは、左側の方が右側より残雪が多いためです。
※アオモリトドマツの標識から

なるほどそういえば左側の方は全く生えていませんね。

 

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仙人岱。後方の山は小岳1478m。

 

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仙人岱を抜けて下山途中の「地獄湯の沢」。硫黄ガスのため植物は生えず、岩が露出していました。

 

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下山口の酸ヶ湯まであと2.3Km。
この辺りから雲行きがあやしくなってきました。天気予報はズバリ当たっていました。

 

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途中で休憩。この辺りまで紅葉が始まっていました。

 

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酸ヶ湯駐車場に下山。
酸ヶ湯を起点に時計回りで一周してきた登山でした。
すでにこの時小雨が降り出してきました。なんとか天気の良い限りある時間帯で登山ができました。

 

青森県からは百名山に岩木山と八甲田山の二山が選定されている。どちらも古くから聞こえた名峰である。
中でも岩木山は県の最高峰であり、歴史も古く、信仰登山などで地元とのつながりが強い。姿もいい。津軽平野のどこからでも望まれる「わかりやすい」フォルムは、津軽のシンボルとして親しまれてきた・・・。
八甲田山が広くニッポン国中に知れ渡ったのは、新田次郎の小説「八甲田山死の彷徨」と、小説を映画化した「八甲田山」以降だろう・・・、北大路欣也演じる神田大尉の名セリフ「天は我々を見放した・・・」は流行語となり、いまなら流行語大賞に選定されていただろう。
こうして世間は八甲田山を全国区的に認知した。岩木山はかつてのまま。つまり、八甲田山が岩木山を追い抜いた構図である。
樋口一郎著「新釈百名山」より

まだ見たこともない、登ったこともない山に対するイメージは人によってさまざまです。
大きなニュース記事やこうした小説、映画などによってそのイメージが作られてしまうことも頷けます。
例えば、中里介山著小説の「大菩薩峠」、最近では、北海道大量遭難のあった「トムラウシ」、新田次郎原作の映画「剣岳 点の記」などがあります。
特に八甲田山の雪上訓練中の大量遭難は強烈なイメージとして今でも残っているのではないでしょうか。

登山を愛好する方、百名山を目指す登山者にとって岩木山はほとんどの人が知っていると思いますが、そうでない方は多分知らないのではないでしょうか。
では八甲田山といえば、ほとんど誰もが知っていると思います。そういう意味では、このイメージというのは大きなものなんだな~と思ったりします。

 

東北の登山とくるま旅から帰ってきて、録画しておいたテレビを観ました。
この中のNHKBSで放映された「にっぽんトレッキング100スペシャル」で ”紅葉登山ベスト10” がありました。
どんなエリアや山・渓谷などが選ばれているのだろうと興味深く観ていました。

 

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なんと今回登った八甲田山が第一位に選ばれていました。

なるほどなと納得するものがありました。
一般的な紅葉風景にプラスして黄金にかがやく草紅葉、点在する池塘、周囲の広大な風景などを総合すれば第一位になってもおかしくない山岳地帯だと思いました。

八甲田山死の彷徨のイメージはもうありません。7月に登った北海道のトムラウシも同様です。
こんな素晴らしい山に今度は季節を変えてまた来たいと思います。
そしてまた酸ヶ湯温泉にゆっくりつかりたいと思います。

 

「東北の登山とくるま旅 (7)」へ つづく

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