子どもの世話にならない生活
親の介護をとおして、自分たちがこれからどのように生きていくか、どのように終焉を迎えるかということを考える年代になってきました。 実母は88歳で要介護1、義父は94歳で要支援2、義母は93歳で要介護3です。現在、自立して生活しているのは実母だけですが、認知症が進み、介護施設への入居や同居を考えるように医者から指導されています。 定年退職を迎え、これから自分たちのセカンドライフを考えはじめている方も多いと思います。又、同時に親の介護問題に直面している方も多数いるのではないでしょうか。 今までの時代、親は子どもに面倒をみてもらうというのがごく一般的なものでした。しかし核家族がすすみ、「家」のあり方が大きく変化してきている時代です。それでも、家庭内で嫁が義父母の世話をする話はよく聞きますし、友人・知人にも多くいます。特に故郷に帰省した時、同級生のほとんどは、長男が跡継ぎでこの「家」体制が頑なに守られ、両親は当然のように嫁に面倒をみてもらう習慣が根強く残っています。 こうした習慣を同じように繰り返すのか?という疑問が湧いてくる年代になりました。けっして「家」体制を批判するつもりはありません。子どもとして老いた両親の世話をすることは当然だと思います。ただその世話のレベルが問題なのではないかと考えます。
私は、自分が世話をされる立場になった時、子どもや身内に食事や入浴、下の世話などの面倒をみてもらうことは一切考えていません。しかし、現実には、世代や個人によってその考えがいろいろあることは事実です。施設に入居する資金は持っていても他人の家(施設)に入りたくない、自分の家で一生過ごしたいと思う人もいると思います。その思いも分からなくはありません。しかし症状が進めば同居する身内や訪問ケアサービスの方々への負担は当然大きくなります。そう考えると自分だけの要望を満たすガンコオヤジにはなりたくないなあと思っています。
スマートな高齢者像
「老人ホーム」という言葉は、何だか暗いマイナーなイメージがあるようで、昭和世代の方にとってはあまり耳触りの良くない言葉ではないでしょうか。もっと違う言葉に変えてもいいんじゃないかと思います。 老いは必ず誰にでもやってきます。肉体的な衰えはいたしかたないものですが、気持ちはいつまでも若さを保っていきたいと思います。こざっぱりとした服を着て散歩したり、好きな本やミュージックを楽しみ、今時の話題にも精通しているカッコイイオヤジでいたいと思います。
高齢者施設や住居
どんなカッコイイオヤジでも最終的には、他人様のお世話にならなくてはなりません。義母や義父の介護において、いろいろな施設を見学したり、実際に義母がお世話になっている施設も見学することができました。 先輩や友人などと高齢者施設(老人ホーム)について話をする機会も何度かありました。この年代になると誰でも関わってくる問題ですから、皆さんも話題にしたことはあるかと思います。「支度金が数百万かかるそうだ」「一時金として数千万円用意しなくてはならないらしい」「月額30万円位の費用がかかるかも」などという話からはじまり、どこかで聞いた話を引っ張り出したり、TV番組の特集でやっていたなどといったまた聞きの話が多いのではないでしょうか。そうした高額な施設があることは事実ですが、それは話の話題性を高めるために一部の状況をクローズアップしているに過ぎないのではないでしょうか。お金持ちであればそうした施設に入居も可能でしょうが。何もわからない寝たきりの状態になっても、そうした費用がかかることに疑問を感じます。
介護や支援を受けるレベルにもよりますが、義母の場合、特別養護老人ホームの月額費用は6万円位です。これ以外一切かかりません。又、私の調べた範囲の一般的なケアハウスや介護施設は、食事付きで月額12~16万円くらいでした。(一時金なしサービス内容により異なる) 又、2011年に制度化された「サービス付き高齢者向け住宅」というのがあります。これは、国土交通省と厚生労働省の共同所管によるもので、主に高齢者向けの住宅を提供(賃貸)して、見守り(安否確認)と生活相談サービスをするといった内容のものです。先日、その施設を3軒ほど見学する機会がありました。時代は大きく変わって来ていることを目のあたりにしました。その一軒は60歳以上の方であれば誰でも入居できます(要支援、要介護関係なく)個人の賃貸マンションと同じように出入り自由、外泊や身内・友人の宿泊自由、食事は頼んでおけば用意してくれて、外食も自由などです。24時間常駐職員(有資格者)がいるため、何かあった時は対応してくれます。支援、介護保険を使いケアサービスを受けるのも自由といった具合です。これで月額12万円位です(食事は、一食単位で別料金)この金額が高いか安いかは、個人によって異なりますが。 一人暮らしで94歳になる義父のことを考えると、こうした施設も選択肢としてあるんだなと実感しました。更に、自分たちの将来を考えた時に、今住んでいる住居にこだわらず、こうした住居も選択のひとつではないかと思いました。
介護を受ける度合いは人それぞれ異なります。支援や介護で具体的に何が必要か、不必要かということをひとつひとつ選択して、必要なサービスを受ける形で利用すればいいのではないかと思います。介護保険料は支払っています。当然、受ける権利はありますから使い切ることを考えるべきだと思います。そして、老後資金として数千万必要であるというフャイナンシャルプランナーの試算はありますが、具体的に余生年数と施設費用、介護保険利用を考えればおおよその金額がはじきだされます。 80歳を過ぎてまだ健康でいられても、外出はほとんどできないのが現実ではないでしょうか。その時の生活費はどのくらいかかるのでしょうか。 実母は、自分の国民年金と遺族年金を合わせて月15万円程の収入があるらしいです。実際の生活費はその半分にも満たないと言います。これが現実です。であれば、自分たちの年金や資産を使い切るという意味でも、そうした施設を利用して、納得のいく余生(自分の力で動くことができなくなっても)を送って欲しいと思います。 多少は子どもに残してあげたいという親心はありがたいのですが、必要以上の資産は残す必要はないと思います。
子どもの世話にならず「死ぬまでカッコイイお父さんだったね」と言われたいですね。