熊野・吉野の最深部~大峰山、大台ケ原へ
シャクナゲ咲く大峯奥駈道
弥山(みせん)から望む八経ケ岳。大峰山脈の最高峰1915m。(近畿最高峰)
大峰山という山名は、大きく分けて二つの意味合いをもつ。
ひとつは和歌山県の熊野から奈良県の吉野にかけて、主稜線が大峯奥駈道でもある大峰山脈全体を指している場合、もうひとつは大峯修験の本拠地で、大峯山寺を頂に有する山上ケ岳(さんじょうがたけ)を指す場合である。 「日本百名山」では、深田久弥が最後に到達した八経ケ岳(はっきょうがたけ)が、今日では一般的に百名山とされている。 八経ケ岳は大峰山脈の最高峰であること。山上ケ岳が現在でも女人禁制を固く守り続けていることからであろう。 大峰山脈における宗教上の主峰はやはり山上ケ岳だが、八経ケ岳は地理上、あるいは登山の対象としての主峰といえるだろう。
「週刊日本百名山」朝日新聞発行より
八経ケ岳頂上
登山道(大峯奥駈道)沿いに咲くシャクナゲ
大台ケ原ドライブウェイを爽快に下るロードバイク
大台ケ原の日出ケ岳
日出ケ岳山頂1695m(日本百名山)
大峰山最高峰の八経ケ岳へ
八経ケ岳登山口へは、三重県熊野市から奈良に向けて南北に走る169号線(東熊野街道)を吉野方面に北上して、途中国道309号線の山間部に分け入っていきます。
309号線入口には大型車通行禁止(幅3m以上、長さ7m以上)の看板がありました。
今まで登山に行った時、登山口までの道のりはいつも狭い林道を走りますが、今回の309号線も同じように道幅が狭いため、対向車がきたらすれ違いができません。
普通乗用車より一回り大きいハイエースのロングワイドバンで、こうした林道走行はいつものことだと思ってもかなり緊張しました。
登山口の駐車場(行者環トンネル西口駐車場、駐車料金1000円)
早朝5:30着。前泊(車中泊)の車もあり、皆さんお早いですね。
都道府県別ナンバーで言えば、北海道、青森、宮城、栃木、茨城、千葉、埼玉、東京、神奈川、長野、石川、滋賀、京都、大阪、広島、山口などでした。
地元奈良、周辺の和歌山、三重ナンバーの車は1~2台程度です。
皆さん!このナンバーを見たらどう思われますか?
普通の山の登山であれば多分8~9割が地元か周辺地域ナンバーですが・・・?
この時期にこれだけの他県から来られて、しかも前泊や早朝から駐車されているということは、やはり百名山登頂を目指す登山者が全国から集まってきていることがうかがえます。
新緑の中の登山は気持ちがいいです。 1時間ほどの急登が続きます。
奥駈道出会い。ここから稜線づたいに弥山まで大峯奥駈道を登って行きます。
途中、コバイケソウの群生の中を登山道が続きます。
弥山小屋
弥山から望む八経ケ岳。ここから八経ケ岳まで約30分。
弥山山頂1895mに建つ奥宮
八経ケ岳頂上1915m 頂上から望む明星ケ岳1894m
頂上からの大峰山脈の山並み 弥山方面
登山口から往復6時間の行程でした。今回は八経ケ岳のピークハントでしたが、機会があれば大峯奥駈道をじっくり歩いてみたいです。
天気も良く、登山口に着いたのがお昼だったこと、又、翌日の天気が曇り雨の予報だったことから、このまま大台ケ原を目指しました。
大台ケ原の主峰「日出ケ岳」へ
国道169号線に戻り、奈良吉野方面に北上していきます。途中、大台ケ原ドライブウェイに入り、登山口まで車を走らせます。
大台ケ原駐車場に続くドライブウェイでは、ロードバイクを楽しむ人たち大勢いました。
大台ケ原の大駐車場。観光客やハイカーたちでかなり賑わっていました。
登山口から整備されたハイキングコース
新緑の時期、多くのハイカーの皆さんがウォーキングを楽しんでいました。
平らな準平原が隆起してできた大台ケ原は、深い険谷に囲まれてはいるが、いったん山上に上がれば、労なく高原状の道に続くプロムナードが楽しめる。
「週刊日本百名山」朝日新聞出版より
展望台 大台ケ原山(日出ケ岳)山頂1695m
本来であれば、大台ケ原トレッキング周遊コースがありますが、今回は最高峰の日出ケ岳往復だけの登山でした。 日本で最も雨の多い地域ということですが、運よく天候に恵まれ1日2座の百名山を登ることができました。
深田久弥は、著書「日本百名山 大台ケ原」の中で、
私が登ったのは三月の初めだった。山の上にはまだ雪があったが、吉野の春の息吹はもうそこここに這い寄っていた。最高点日出ケ岳の頂上に立った時、素晴らしい天気に恵まれた。すっかり晴れて、西の方大峰山脈の峰々を一つ一つ数えることができ・・・。 たった一度でこんな快晴に恵まれたのは、私の精進がよかったからではなく、選んだ季節が雨季を外れていたからであろう。
5月の新緑の時期、ハイキングに最も適した季節に登れたことがよかったと改めて思いました。
「紀伊半島くるま旅」 この後、編集後記へつづく