母の認知症 (5)

認知症~同じ物をいくつも買ってくる

「メモをとる」という行為は?

私たちのようなシニア世代になると日常的に「もの忘れ」が多くなってきます。      もの忘れは、人によってそれぞれ異なったりします。例えば、会う約束(日時)、買い物の品目、人の名前、物の名称、昨日食べた夕食のメニューなど・・・。                     これらのことは、老化による生理的な現象で大なり小なりこの歳になれば経験します。   そして、もの忘れの対応策として「メモをとる」という行為があります。        メモをとることは、もの忘れが進んできた年代の人たちに限らず、バリバリのビジネスマンでも仕事上の大事なポイントをメモ帳やスケジュール表などに書きとめたりします。    もの忘れの対策としては大事なことだと思います。

では、「認知症の人がメモをとる」という行為はどうなんでしょうか?          認知症の母は「私は忘れやすいから」と言ってメモをとる習慣があります。                         普通に考えれば良い方法だと思います。できるだけメモをとって忘れないようにすることは、特に認知症になった方にとっては良い対応策だと私も信じています。         ここで、「私も信じています」というのは実は過去形で、母の認知症に関わってきた体験から今では「私も信じていました」という表現に変わってきました。

先日、当ブログの「母の認知症(4)」で、もの忘れと認知症の違いについて触れました。   ■もの忘れ =忘れっぽいことを自覚している →だからメモをとる           ■認知症  =忘れたことの自覚がない    →メモをとっても?

認知症の母の場合、忘れるからメモをとっていましたが、忘れたことの自覚がないため、  「メモをとったことを忘れてしまう」ことにつながりました。                  その結果、同じ内容のメモ用紙が何枚も存在するようになりました。母の場合一番多いメモは買い物リスト(商品名)でした。                       普通、済んでしまったメモは廃棄しますが、メモをとったことを忘れているため、そのメモ用紙はそのままになっていて、そのメモを持参して買い物にでかけます。                                                 その結果は、同じ物を買ってくるということになります。これが繰り返されるため、冷蔵庫の中や台所周辺には同じ品物が山積される状態になりました。

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母は「私は忘れやすいからメモをとったり、カレンダーに予定を入れるんだよ」と言って赤ペンがいつも手元においてあります。                              「また同じ物を買ってくるからメモしちゃダメ」とか「どうせ忘れてしまうからカレンダーに書かなくてもいいよ」とか、そんな言葉は絶対に使いたくありません。       母は、自分が忘れっぽいから忘れないように一生懸命メモしているからです。そうした行為を尊重してあげたいです。

私が小売業に関わっていた時のことです。80歳位のご高齢の女性が自転車を買いに来て1台購入して帰りました。数日して同じ方がまた自転車を購入しに来ました。ちょっと不審に思ったので声をかけましたが、また1台購入していきました。             それからまた数日して同じ方が自転車を買いに来ました。続けて3台はおかしいと感じ、何度も購入の意志を確認しましたが、本人はいたって冷静で孫に買ってあげると言うばかりです。もちろん料金は払ってくださるので、販売側としては拒否することもできません。                                       翌日、家人から連絡があり、「今度買いにいったら売らないでほしい」とのことでした。  家人の話では「本人の病気」ということだったので、返品に応じることを伝えましたが、「一度買ったものだからいいですよ」とのことでした。               しばらくして、また同じ方が自転車を購入しに来ましたが、丁重にお断りした経験があります。                   

認知症の場合、同じアルツハイマー型といっても、その症状は人それぞれだと思います。   メモをとってちゃんと買い物をして、同じ商品を買ってこない方もいらっしゃると思います。症状によって徘徊や暴力、暴言などもあるようです。つまり、同じ認知症であってもその方の症状によって行動は異なるものではないでしょうか。            認知症という病気には様々なパターンがあり、その対応もそれぞれです。          こうした状況に介護の難しさと奥深さを感じます。

IMG_9021  IMG_9022   写真左:毎日の内服薬はカレンダー式に一錠づつ入れて忘れないようにしています。   これはケアマネジャーの提案で実施しています。そして、週2回のお掃除ヘルパーさんが訪問した時にチェックしてもらいます。                            写真右:通常のカレンダーに予定などをメモする方法もあります。しかし、メモしたことすら忘れてしまいますので、あまり役に立ちませんが、書き込むことで母は安心感を持っているようです。もちろんその方の症状によってですが。

認知症は病気です。しっかりと向き合っていきたいと思います。       

 

 

 

2 thoughts on “母の認知症 (5)

  1. 興味深く、読みました。
    こういうことは、認知症でなくてもあるように思いました。
    不安や依存のある場合、一般の人も買いだめしてしまいます。
    人によってはそれぞれで、似たような行動だと思いました。
    そういう人が認知症になった場合、さらに買いだめするかもしれません。
    さて、私の買いだめ症候群は? …意外に自分ではわかりませんね~

    1. 家犬さん

      こうした行動は家犬さんがおっしゃるように、認知症の方以外でもありますね。決定的に異なる点は、不安や依存を認識していることだと思います。
      もし認知症になったらその不安や依存も全て忘れてしまうのかな?多分そうだと思います。
      買いだめ症候群、ありますね~!私のカミサンもありますよ。俗に言う大人買い的なもので、え~そんなに買うの?って驚くことがあります。
      わかっていてもあまり意識がないと思います。

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