東海地震と浜岡原発 (1)

中部電力「浜岡原発」が抱える問題

巨大地震による放射能汚染

東日本大震災から5年の歳月が経過しようとしています。                 あの地震による大災害の記憶は今でも鮮明に残っています。と同時に、私たちは頻繁に起きる地震に対して、あの大震災以降今まで以上に敏感になったのではないでしょうか。          しかし、時が経つにつれ少しづつその警戒心は薄れてきているように思えます。                  地震による家屋の倒壊、インフラなどの被害状況に対して関心は高いものの、放射能汚染被害というと意外とピンときません。なぜなら、原子力という放射能に関わる施設が身の周りにあまりないからだと思います。

日本の中でも静岡県は温暖な地域で、海あり山あり自然豊かな土地です。                  そんな静岡県には、ひとつだけ自然災害の危惧があります。それは東海地震です。

東海地震は、駿河湾から静岡県の内陸部を震源域とするマグニチュード8クラスの巨大地震で、その発生の切迫性が指摘されています。                     駿河湾内にある駿河トラフから四国沖にある南海トラフにかけてのプレート境界では、過去100年から150年おきに岩盤がずれてマグニチュード8クラスの巨大地震が繰り返し起きていたことがわかっています。前回の地震の際には南海トラフ沿いの岩盤だけずれて、駿河トラフ沿いの岩盤だけがずれずに残ってしまいました。そのため、駿河トラフ周辺の部分の岩盤は160年以上もずれていないことになり、「東海地震はいつ起こってもおかしくない」と言われているのです。  国土交通省 気象庁

2016東海地震 2016東海地震3

私が小学生の頃、東海地震に関係した授業が何度かあり、その対策として集団避難訓練がよく行なわれていました。                                母の介護のため静岡に滞在する期間が長くなると、地元メディアの報道に接する機会が多くなります。普段、首都圏に住んでいる時の報道と異なり、その土地特有の記事や問題が目につくようになります。

IMG_8966  2016原発11    「沈黙の駿河湾 東海地震説40年」の記事

1月下旬、静岡新聞に3日連続一面トップで地震による警戒宣言、避難計画に関する記事が掲載されました。この記事は、東海地震を想定した県全体の対策ですが、地震による浜岡原発(津波と倒壊)の放射能汚染に対する警戒宣言、避難計画については、全く触れていませんでした。あくまでも地震発生とその対策だけということなのでしょうか。                                       東日本大震災で起きた福島第一原発事故の教訓から、特に原発のあるエリアにおいては、地震と放射能被害はセットとして考え、対応されなければならないことを学びました。

1月27日付静岡新聞トップに「安定ヨウ素剤事前配布へ」の記事が掲載されました。   原発事故時に甲状腺被ばくを防ぐ安定ヨウ素剤について、県は、中部電力浜岡原発から半径約5Kmの予防防護措置区域圏内に居住する御前崎、牧之原市の対象者4万7千人に新年度中に事前配布する方針を固めた

これらのニュースは、地震多発県、原発設置県以外には見られない記事だと思います。   そして、気になるのは、地震は地震、原発は原発といったように別々の問題として切り離されている感じがあるということです。

「日本の問題」? 何が本当の問題なのでしょうか

IMG_8964  IMG_8965                 1月中旬、新聞折り込みで配布された中部電力の原子力発電推進チラシ

こうしたチラシも原発設置県ならではの広告だと思います。                                 チラシの内容は「日本の問題」と題して、日本のエネルギー自給率が6%しかないことを指摘しています。そして、「原子力発電は、この問題を解決する有効な手段です」と結んでいます。

電力を供給する側としては、不利益な情報を流すことはないと思います。これは、電力会社に限らず他の企業においても同じようなことが言えると思います。             原子力発電は、地球温暖化対策に貢献している(CO2を排出しない)、安いコスト、安定供給などのメリットを訴えるメッセージをよく目にします。                発電所単体で見ればそうなのかもしれませんしかし、発電まで至る総合的な原子力を取り巻く問題を考えてみた場合、このメリットは全て否定されることになると思います。   原子力を稼働すためのウラン採掘、燃料輸送、原発建設、廃棄物処理など全過程において膨大な石油を消費します。と同時に、莫大なコストがかかります。又、バックアップとしての火力発電の必要性もあります。                           更に、稼働中は冷却剤として大量の海水が必要とされ、1秒間に70tの海水を7℃に温めて海に放出されるため、逆に原子力は「海の温暖化に貢献」していることになります。    ブログ「環境問題と原発(2)」

原発設置地域に対して国から莫大な交付金が支給されています。(2013年度968.2億円)   これは全て国民の税金で賄われ、原発が稼働していなくても巨額の交付金が支給されるしくみになっています。私たちは間接的に電気料金を支払っているようなものです。

中部電力の「原子力発電は、この問題を解決する有効な手段」というのは、はたしてどうなんでしょうか?有益な情報を訴えているようですが、見方を変えれば全く逆の考え方になります。                                                                                               東海地震がいつ起きてもおかしくない状況の中、浜岡原発はたいへん危険な存在です。   県全体として地震による警戒宣言、避難計画を推進し、一方で原発再稼働に向けて原子力発電の有効性を盛んに宣伝している電力会社があります。                何か大きな矛盾を感じるばかりです。

「日本の問題」・・・それは原発があるということではないでしょうか。

 

「東海地震と浜岡原発」つづく

 

 

4 thoughts on “東海地震と浜岡原発 (1)

  1. 日本の問題、大事なことを隠していることだと思います。
    いまだに、原発コストが安いというのは、廃棄物処理を税金でやるつもりだから。
    またどこかで、原発が爆発しても、企業はつぶれず、税金投入ですね。
    地震が来るのはもう想定内。
    原発も危険は想定内。
    地方移住推進も、被災者を減らすためのことだと思っています。
    もっとはっきり、地震が来て原発が爆発して東京は危険なので逃げてくださいと
    言えばいいのに、原発反対になっても困るから、ではないでしょうか。
    それに、国は人が死んでも平気なんじゃないかと最近思います。

    1. 家犬さん

      早々のコメントありがとうございます。
      先日、NHKの「クローズアップ現代」で核廃棄物の処理問題と浜岡原発についての放映がありました。浜岡原発のある御前崎市の市長もこの核廃棄物処理の対策に頭を悩ませていました。「トイレなきマンション」と言われるように、これからの「日本の問題」になると思います。
      安いコストと言われますが、原発を取り巻く環境を考えたら膨大なコストがかかっています。こうした点も覆い隠されてしまっていますね。

  2. 八高山の記事を参考にさせてもらいました。
    反原発の考えをするひとは静岡新聞を読んで早期退職するようなひとなんだなあと思いました。
    史上最悪4機同時爆発、レベル7の大惨事とマスゴミがあれだけ大騒ぎしたわりに、福島原発事故の放射線でただのひとりも死んでないわけで。
    放射線なんてたいして怖くないですよ。
    影響なんぞしょぼいもんです。
    私は大騒ぎする連中なんぞ無視して浜岡も早く動かせばいいのにと思います。

    1. ぽちこさん

      福島原発事故で避難された方は福島県内だけで15万人以上にのぼります。
      今でも生まれ育った故郷に帰れない多くの被災者がいます。町自体が廃墟となり立ち入り禁止になっています。又、この事故で仕事を奪われ自殺された方もいらっしゃいます。更に、放射能の除染はまだ済んでいませんし、これからも続きます。子どもたちへの潜在的な放射能の影響も大きな問題です。
      核廃棄物の処理問題もまったく進んでいません。
      安易な再稼働はたいへん危険なことだと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。