食文化「マグロ」

メバチマグロ

刺身、寿司としての消費量70%以上

先日、TV番組の「秘密のケンミンショー」でまぐろの消費量の都道府県ランキングで、山梨県(甲府市)が全国で4位ということを知りました。海なし県が第4位?
そこでちょっと調べたところ、第1位は静岡県、2位茨城県、3位千葉県でした。静岡県が第1位ということには納得いきますが、山梨県が4位というのは驚きました。
海へのあこがれから、マグロを食べたいという県民性なのかもしれませんが、今では物流や冷凍技術の発達から内陸部への輸送も容易になりました。

今年もお盆の時期(旧盆)に田舎(静岡)に帰省しましたが、親戚が集まればやはりマグロのお刺身やお寿司が食卓を賑わせます。このことは、特に消費量の多い静岡県だからというものではないと思います。全国どこでも盆、正月などの時期には、ごちそうメニューとして食べられるものです。昔から、お刺身=マグロと言われるくらい日本人の食生活に密着しています。又、回転ずし店などのでも手軽にマグロのお寿司を食べられることで、より大衆化しています。

 

まぐろ刺身1  まぐろ刺身3

現役時代、35年間小売業に携わってきました。特に食品分野(生鮮、一般加工、惣菜)では、各地方に出向く機会もあり、又、販売者の立場から家庭の消費についても関心がありました。
専門家ではありませんが、一般的に流通されているマグロの魚種は、ミナミマグロ(インドマグロ)、クロマグロ(本マグロ)、メバチ、キハダ、ビンチョウの5種類です。この中で最も消費量の多い魚種はメバチマグロです。高価なミナミやクロマグロに対してメバチは漁獲高も多く、味や価格においてもポピュラーな魚種として人気が高いです。キハダやビンチョウもお刺身、お寿司として食されますが、ツナ缶などの加工品類に多用されています。

 

まぐろ刺身2  まぐろ刺身4

 

まぐろの魚種を問わない静岡県民性

 

関東圏では、「マグロ=メバチ=赤身」が定着しています。ちょっと極端な言い方ですが「身が赤くないと刺身じゃない」と言われるくらい赤身が好まれます。
ビンチョウマグロのように「身が白い(薄いピンク)」だとマグロであっても敬遠されがちです。実際にスーパーなどで最も人気があるのはメバチであり、安くてもビンチョウはそれほど売れませんでした。

静岡県は、地理的に駿河湾に面して焼津、清水、沼津などの漁港があります。特に焼津は遠洋漁業の基地でもあります。又、太平洋の近海で「生マグロ」も多く獲れてきました。
そうした中で昔からマグロの中でも小型の「生のキハダ、ビンチョウ」が食べられてきた経緯(歴史)があります。これも地方の食文化なんでしょう。

ちなみに静岡県では、ビンチョウマグロのことをトンボマグロと言います。トンボのように尾が長いということからです。                           これらの魚種はツナ缶などに使われますが、昔から生食として安く食されてきました。
そんなことで一般的に静岡県民は、メバチだけではなくマグロの魚種を問わず食べていることで、消費量も多くなっていると思います。
ひとつの例として、現役時代に焼津の小川港に仕事で行った時、昼食として港の食堂に入りました。(港関係者や漁師さん達が利用する港公営食堂)そこでお刺身定食を注文しましたが、その時出てきたお刺身はビンチョウマグロでした。これが、東京築地であれば、客から怒られてしまうかもしれません。(赤い身のメバチマグロが当たり前だから)
私も静岡県出身でしたので何も疑問も持たず美味しく食べさせてもらいました。

その他、関東のスーパーでは、「マグロの身が立った状態」(身がスパッと切れてきれいに並んだ状態のパック)の商品が当たり前に売られています。これは、完全に解凍されていない状態で「見栄えを良くするための技法」です。たしかに見栄えはいいのですが、味はどうなの?と言えば疑問です。なぜなら水っぽいからです
今では、静岡県のスーパーでもこうした商品づくりが主流になっていますが、一部のお魚屋さんでは、解凍技術も優れて食べ頃のマグロを販売しているところも少なからずあります。

田舎に帰った時、必ずマグロのお刺身を食べます。スーパーではなくご近所のお魚屋さんです。遠方から車で来るお客さんも大勢います。けっして高くはなくリーズナブルな価格で販売されています。魚好きにとっては、こうしたお魚屋さんは貴重な存在だと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。