テーマ旅

多様化する旅のスタイル

主目的が「何をするか」の旅

現役時代の頃、「多様化する消費者ニーズ」という言葉を使ったことがありました。    これは、企業側の販売戦略の言葉として、例えば、品揃えを増やす、品揃えを変更することで、更にお客様の要望に応えていこうという意味として使われました。         お客様(消費者)は、「多様化するニーズ」なんだからと思って買い物するということはないです。「自分のほしい商品がこのお店にある」「いつも新しい商品がある」などお客様(消費者)の要望に合う商品が常に品揃えされていることで、買い物行動が変わることにつながっていきます

先日、家族ぐるみでお付き合いのあるご近所の奥さんが、我が家に遊びにきました。    テーブルの上に置いてあった「東北くるま旅のプラン表」を見て、「へ~、東北に行くんだ~楽しみだね。エッ!山?エッ!ラーメン?」というちょっと驚きの声を発しました。     (実は、プラン表には、東北のラーメン食べ歩きのメモを記載していました)       奥さんは「私たち(夫婦)だったら東北といったら絶対地酒だね!。各地の酒蔵を訪ねて地酒めぐりをしちゃうな」と言っていました。(お酒大好きご夫婦です)

私の友人にハワイ大好き人間がいます。海外旅行といえば必ずハワイにしか行かなく、現役の頃から休日を利用して何度も出かけていました。先日、会った時もハワイに行ってきたばかりで、今回は「食べ歩き」だったようです。観光地巡りやショッピング、ワイキキなどでの南国風情を楽しむ旅行ではなく、テーマは食べるだけの旅行で、本人は満足そうにその時の状況を話してくれました。

「旅」というひとつの娯楽をとっても、個人や夫婦の趣味嗜好によってその行動は大きく変わります。最近の旅行会社のパンフやネットのキャッチフレーズなどでも、海外旅行にしろ、国内旅行にしろ”行き先よりもそこで何をするのか”という言葉が目につきます。   一般的な観光地巡り(遺跡、景勝地、神社仏閣など)やショッピングから、更にもう一歩も二歩も踏み込んだはっきりした主目的があります。                         一言でいってしまえば、「多様化する旅のスタイル」「多様化する旅の価値観」なんでしょうか。

以前、私のブログでもご紹介しましたが、山旅に出かけた時にクラブツーリズムの登山ツアーの方々を目にする機会が多々ありました。山岳ガイド付きの20人ほどの団体です。   又、今年7月に登った富士山では、下山の時に女性だけの山岳ツアー(10数人)とも遭遇しました。この時は全員若い女性だけのいわゆる山ガールの方々ばかりの団体でした。   更に、外国人ツアー(主に韓国、中国)の登山者も必ず目にしました。               登山においても、今までの単独・夫婦・グループのスタイルから山岳ツアーという山旅も加わってきたことが身近に感じます。

旅のスタイルでも、ちょっと大げさな言い方ですが「特化してきた」「マニアックになってきた」といってしまえばそれまでですが、旅慣れた方々が増えてきた中で、更にもっと自分の趣味を深耕させよう、追求しようという要求がでてきてもおかしくないのではないかと思います。                                     先日、TV番組のカンブリア宮殿で「テーマ旅」についての放映がありました。その中で旅行会社の「クラブツーリズム」の紹介があり、お客様の要望に対するするきめ細かなツアー企画の提案が支持されているという成功事例でした。この会社の宣伝をするつもりはありませんが、世の中の旅に対する考えや要求が変化してきた状況、又、これからのシニア世代の過ごし方について考えさせられる番組でした。

IMG_6856  IMG_6855

IMG_6860  IMG_6861   テーマには、スケッチ、街道を歩く、写真撮影などかなり趣味の域に特化した旅があります。個人の旅として一人や夫婦で行くこともできそうですが、ツアーに参加された方々とのコミュニケーションも楽しみのひとつのようです。特に、こうした同好の方とは話が合うのではないでしょうか。

IMG_6865  IMG_6866   「富士山すそ野一周ウォーク」(日帰り全17回に分けて)                かなりマニアックな旅もあるようです。これもツアーではなく一人や夫婦、友達同士でできそうですが、現地までバスで行って終わればバスに乗って帰ってこれるという点では、合理的な旅であり費用も安くなります。又、参加された方々との交流もでき、個人旅よりメリットが大きいように思われます。                         先月、富士山に海抜0mから村山古道を歩き3日間かけて登りましたが、これもかなりマニアックな山旅でした。登頂だけを目的とした旅から、富士山を仰ぎ見ながらウォーキングするも実に面白いなと思いました。このように旅のスタイルが変化してきているように感じました。                                  近い将来、「富士登頂村山古道を歩くツアー」という企画もでてくるんじゃないかな?

IMG_6858  IMG_6859

IMG_6871  IMG_6872   以前、娘がクラブツーリズムの「富士山登頂ツアー」に参加したことがありました。  それ以来、定期的に「旅の友」というツアー雑誌が送られてくるようになりました。   こうしたツアーに参加することがない私たち夫婦ですが、この雑誌だけは見て自分たちの旅の参考にしていました。一般的な旅行パンフレットや雑誌の「見る、食べる、遊ぶ(るるぶ?)」的な情報に比べ、ちょっと大げさな言い方ですが、旅そのものが物語化され、未知の世界に入り込んでいくような感覚があります。又、なによりマニアック的な旅情報の紹介もあり参考にさせてもらっています。

IMG_6868  IMG_6867   シニアの方々にとっては近場から出発(帰る)できるという点でも、企画されたツアーの支持があるようです。                                   先月、北アルプスに行った時、富山まで深夜バスを利用しました。夜中に新宿発でしたが調べてみると自宅近くの停車場に立ち寄ることがわかりました。重いザックを背負って新宿まで行かずに済みました。近場からの出発は楽ですね。

IMG_6875  IMG_6876   旅には必ず目的があります。一般的な国内・海外の観光地めぐりにしても有名な遺跡や景勝地を見て感動したり、異文化に触れることで未知との出会いがあります。又、ショッピングにしても珍しい商品を買ったり、めったに購入できないブランド品を格安で手に入れることも目的の一つだと思います。                           しかし、成熟した旅文化の中では、更にもう一歩すすんでより自分に合う旅に近づけていくスタイルに変化してきているのかな?と思いました。                  番組では、行き先ではなく「何をするか」が主目的になってきているとありました。     なるほどうなずけるものがあります。

IMG_6877  IMG_6878

IMG_6879  IMG_6880   クラブツーリズムの会長から「平均寿命と健康寿命」という言葉が出てきました。     ツアーと平均・健康寿命?どういう関係があるの?                     番組の中では、その他のツアーとして「バリアフリーツアー」と「終活ツアー」という紹介がありました。ここでは詳しく記しませんが、高齢者で足腰が弱った方々に対しての専用ツアーがあり、車いすなどが使えるバスで観光地巡りやバリアフリーが充実した施設の観光などにも力をいれているようです。                            ゆったりとした旅で、できるだけ長く旅行に参加してもらいたい、ということから、自分の足で自由に行動ができにくい状態になっても、旅を楽しむことができるようになれば、健康寿命も伸びて平均寿命との差も少なくなってくるということでした。

旅の「目的」と「手段」について

私たち夫婦は、登山・山歩き、くるま旅が趣味です。                  この先、高齢となり体力的に登山がうまくできなくなったり、車を自由に運転することができにくい状態になった時、どのような行動をとるか、考えてみました。         国内・海外旅行を含めて、こうした「テーマのある旅」のツアーに参加すると思います。  見る、食べる、遊ぶも含めて旅先でしたいことの目的ははっきりしています。そしてその「手段」としてこうしたツアーを利用します。

話は少し変わりますが、第二の人生に向けて「永住」ということで海外や国内に転居する方々がいます。好きな土地(憧れの地など)に居をかまえて新しい人生をスタートするものです。この中には、思ったとおりの人生を過ごすことができた方、逆にこんなはずではなかったと失敗する例の話を耳にします。                        例えば、海外移住の場合、年金の範囲内で生活できることを条件に国や地域を選ぶとします。その土地の気候、生活習慣、食文化、物価、インフラの整備状況、などなど・・・。  こうした情報や現地での下見を含めて調査してから納得した上で、いざ永住しました。   しかし、実際に住んで生活する中で飽きてしまった、一応周辺の観光をしたものの何もすることがなくなった、そのうち、生活習慣や食文化に対して合わなくなってきた、など。  こうして帰国ということになったという話を聞きます。これは一つの例であって、うまくいかなかった原因は人それぞれだと思います。

こうした方々の共通したものはいったい何だろうかと考えた時、理由はいろいろあると思いますが、「移住することだけが目的になっている」のではないかと感じます。      「移住」は、あくまでも第二の人生を快適に送るための「手段」です。移住先で何をするか、どのような生活をするかという目的がはっきりしていなければ長続きしないのではないかと思います。

旅についても同じだと思います。日帰り、宿泊旅行、ショート・ロングステイなどいろいろな形態があります。もちろん目的はそれぞれあると思いますが、単に行ってきただけではちょっとさみしくもったいないような気がします。目的がはっきりしていれば、旅の途中のどんな一瞬でも心に残る感動と思い出ができるのではないかと思います。

 

 

 

4 thoughts on “テーマ旅

  1. スーさん、お久しぶりです。「ロングスティ」の掲示板のRoseです。
    よろしくお願いいたします。
    山歩き大好きの姉が時々のぞいているかもしれません。
    4月中旬にフィリピンから戻り、グタグタしているうちに月日が経ってしまい、ロングスティの方には書き込みできないままです。

    こちらには初めての書き込みです。すーさんの最後の言葉に共感したからです。

    私の場合は、仕事を持っての海外滞在ですので、やはり人との触れ合いが優先順位のトップにきます。あとは少々西洋かぶれなもので、ヨーロッパの教会建築、美術館めぐりなどが好きな世界ですので、個人旅となります。それから、欧州人のように何もしない時間を楽しむのも好きです。

    性格的にあまり外国に住むことに違和感を感じないのです。この理由はきっと
    戻る国、家、家族、そしていつも帰りを待っていてくれる友人たちの存在が大きいと思います。

    確か、出身は夫と同じ県で(我が家は富士市です)住まいも(現在)同じ県ですね。
    我が家は所沢(西武池袋線)です。
    夫が28日には必ず川越の「成田山」のお参りに行っています。

    最近、クラブ・ツーリズムに申し込んでみましたが、あっという間にいっぱいになっていました。湯河原一泊で三崎のシラスと鮪丼、残念ながら食べられません(-_-;)
    国内の旅にそのうちシフトすることとなると思いますが、楽しみは自分次第でいくらでも見つけることができると思います。長々とごめんなさい。

    1. Roseさん

      コメントありがとうございます。
      Roseさんがおっしゃる「欧州人のように何もしない時間を楽しむ」ことも、はっきりそのことが目的であれば充実した旅ができると思います。以前、友人家族とバリ旅行に行った時、ゆっくりホテルで休養する時間もないくらい観光地巡りとショッピングでした。(日本人観光客のほとんどがそうした行動)その時、欧米人はプールサイドでゆっくりとした時間を楽しんでいました。どちらがいい悪いのではなく、目的がはっきりしていればどちらも楽しい時間を過ごせるでしょう。その時、こうした休養をする海外の旅もあるんだなと思いました。翌年、同じ家族同士でバリ旅行しました。その時は自分たちでプランを考え、ほとんどの時間をホテルでゆっくり過ごしました。 前年、引っ張りまわされながらの観光地巡りの思い出は全く残っていませんでしたが、翌年の自分たちで立てたプランでの旅行の方が強烈に印象深く刻み込まれています。
      Roseさんの言うように、楽しみは自分次第でいくらでも楽しくなりますね。

  2.  すーさん、おしゃるとおりと思います。
    やはり旅には、目的が無ければただ旅しているだけと思います。
    小生も今年の春、中国からベトナムまでの10日を超える旅をしましたが、
    明確な目的もないことから、旅の後半は自分自身何のために旅しているのか?
    と、自問自答しました。ただ、旅に出るだけでは、自分が求める青い鳥は捕まえられません。
     そんなことをつらつら考えた旅でした。

    1. シャオズーさん

      コメントありがとうございます。
      私は中国、ベトナムには行ったことがありません。シャオズーさんがこの両国に行きたかった最初の動機が多分あったと思います。心を動かす何かがあったのではないでしょうか。
      目的というと何か大げさのように感じますが、日本を離れて行ったこともない異国の文化に触れることだけでも何か得るものがあったと思います。
      たった一つでも何かを確かめてやろう、食べてみたい、観てみたいなど何か動機があると思います。そこだけでも達成できれば心に残る旅ができたと思います。
      以前、北海道に家族で旅行しました。現地のレンタカーで観光地巡りでした。ほとんど車を走らせるだけの旅でした。点と点を結ぶ移動の旅だったような思い出でした。北海道にただ「行ってきた」だけの旅でした。
      これが「地平線しか見えない広い大地を爽快に車を走らせ、変化する景色を車窓から存分に楽しもう」「途中で草原の中にあるカフェに立ち寄ってコーヒーを飲もう」など、そういう期待感を持って旅をすればどんなに充実した旅になっていたかと思います。
      旅の目的は人それぞれです。気持ちの持ち方によって変わってくるものだと思います。青い鳥は意外と近くにいると思いますよ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。