南アルプス連峰の大パノラマを展望する二日目
北岳山荘では、同宿したシニア登山者3人の方々と寝床が隣り合わせになりました。
一人は、長野から来られた72歳のAさん(見た目は65歳前後でお若い)。定年退職後、3年間嘱託で働き63歳で完全リタイア。千葉に住んでいたそうですが、自然と山好きが高じて長野の佐久市に移住。今は、奥さんと共に近隣の山を楽しんでいるそうです。 もう一人は65歳になるBさん。3年前から高山植物にはまってしまって、登山というより花の写真を撮りに全国の山を渡り歩いているそうです。花の名前からその特徴や時期など超詳しい方でした。こういう趣味もいいものですね。 最後のお一人のCさんは、昨年定年退職してから山を始めたそうです。二年目にして単独で北岳に登りにきたのですから、短期間で登山にはまってしまったようです。
北アルプスでもそうでしたが、南アルプスでも元気いっぱいのシニアの方々との出会いがありました。
中白峰山頂上から。左:甲斐駒ケ岳 中央:北岳 右後方:八ヶ岳(赤岳)
塩見岳3047m(日本百名山)
間ノ岳頂上からの富士山
農鳥岳頂上からの北岳、間ノ岳
農鳥小屋の名物小屋主さんと遭遇!
初日、広河原から北岳山荘へ 二日目、北岳山荘から間ノ岳・農鳥岳へ
北岳山荘からのご来光 雲海に浮かぶ富士山
仙丈ケ岳(百名山) いざ、間ノ岳へ
振り返って見る北岳 北岳の向こう側に甲斐駒ケ岳(百名山)
中白峰山頂上3055m ここからはじまる3000mの長い稜線
中央アルプスの山並み 恵那山2191m(日本百名山)
間ノ岳頂上3190m 南アルプス連峰(塩見岳、荒川岳)
間ノ岳から眺望する北岳 鳳凰三山の地蔵岳オベリスク
間ノ岳の頂上はかなり広いです。多くの登山者がいましたが、農鳥岳に向かう登山者は私一人でした。北岳、間ノ岳をピークハントするだけの登山者が目立ちました。
農鳥岳。中央:西農鳥岳 左:農鳥岳 西農鳥岳中腹からの間ノ岳
農鳥小屋に立ち寄り。 農鳥の名物小屋主の深沢さん(写真引用)
9:00、農鳥小屋に立ち寄った時は誰もいません。ドラムカンの上に両手をダラリと下げた人形(その時はそう思った)が置いてある? 「何かリアルな気味悪い人形だな~」と思いつつ小屋の方に向かうと、突然その人形?がむっくり起き上がって「おい!農鳥はこっちだ!」と声をかけられました。突然のことだったので超ビックリ!
その時、「この方が、あの有名な名物小屋主さんか」とわかりました。真っ黒に日焼けしていて、トレードマークの帽子をかぶり、ぶっきらぼうな言い方にはちょっと抵抗があります。 「農鳥まで1時間から1時間半だ。あんただったら1時間半だな」といきなり言われ、そうですねと返答してから、急登の坂を見上げながら「ちょっと厳しいかな?」と応えると
「1時間半じゃ無理だな。それ以上かかるな!」と即返ってきました。
誰もいない山小屋で薄気味悪~いオヤジさんが一人だけ。なんか怖くなっちゃって、ペットボトルだけ購入して早々退散して西農鳥岳に向かいました。
後でわかったことですが、いつもこのドラムカンに座り双眼鏡で登山者の様子を窺っているようです。そして、対応は悪いですが、登山者に対しては的確なアドバイスをされる方で、登山マナーやルールなど厳しく指導されているようです。今時、こうした小屋主さんは珍しく、貴重な存在なのかもしれません。
急登を登りつめるとようやく西農鳥岳が。 西農鳥岳頂上3051m
前方に平らな稜線が、これが農鳥岳です。 農鳥岳頂上3026m(日本二百名山)
頂上からの北岳、間ノ岳を展望 西農鳥岳からの稜線
ここでランチタイムです。今朝、北岳山荘で作ってもらったお弁当で~す。
今回はじめてのハクサンイチゲ発見! ミヤマアキノキリンソウ
ハクサンフウロ クルマユリ
ここから大門沢に向かって下降していきます。今夜は途中の大門沢小屋で宿泊です。
岩がゴロゴロした登山道を約2時間半下って行きます。
ナナカマド 何度か沢を徒渉していきます。
大門沢小屋 ここが今夜の寝床です。
隣になったDさんは60代後半の大阪から来られたシニアの方でした。若い頃から山に親しみ冬山から沢登り、ロッククライミングまで一通りやってきたベテラン登山者でした。
そんな方との山談義は実に面白く、なんと3時間以上もしゃべりっぱなし。こうした山での出会いは登山の楽しみのひとつです。その方とはバスで広河原まで一緒に下山しました。
翌朝、奈良田まで約2時間半の下山です。登山道は昨夜の雨で沢状態。
登山道が終わり、奈良田まで林道を下山。
終点の奈良田登山口。ここで広河原行きのバスを待ちます。奈良田は、静岡方面から入る南アルプス入山の基地です。約1時間待ってバスに乗車。下山者とこれから登る登山者でほぼ満員状態でした。やはり平日でも夏山シーズンですね。
2泊3日の白峰三山の山旅は晴天に恵まれ、南アルプス連峰の眺望を充分楽しむことができました。人気の高い北岳、間ノ岳を往復するだけの登山者が多く見受けられましたが、どうせもう一泊するのであれば、もう少し足を伸ばして縦走するのも登山の醍醐味を味わう山岳トレイルができると思います。
「南アルプス白峰三山縦走の山旅」 おわり