烏帽子岳 (後編)

高山植物が咲き乱れる

北アルプス裏銀座コース!

 

登山愛好者にとって最も人気の高い憧れの縦走コースと言えば、北アルプスの「表銀座(アルプス銀座)」があります。
この表銀座縦走コースは、中房温泉を起点に合戦尾根を登り燕岳から大天井岳、更に東鎌尾根を経て槍ヶ岳に至る登山コースです。
まさに ”北アルプス王道の縦走路” と言っても過言ではないと思います。

私たちの社会では何事も ”表があれば裏もある” というのが世の常です。
山の世界でも「表銀座」があれば「裏銀座」もあるんです。

そのコースは、高瀬ダムからブナ立尾根を登り烏帽子岳、野口五郎岳、鷲羽岳、双六岳、そして西鎌尾根を経て槍ヶ岳に至る縦走路です。
つまり、槍ヶ岳を軸に北方に向けて二つに延びる稜線コースなんですね。

 

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ウィキペディアから転用

 

縦走登山の魅力

登山には様々なジャンルがあります。
一般的な登山といえば、一つの山を目指すピークハント型が主流だと思います。

雪山登山、沢登り、岩壁登攀と、登山には多くの楽しみ方があるが、バリエーションとしての登山形態の基本はすべて縦走登山にある。
山を全体から把握して、地図を読み、天候を見極め、そしてなによりも荷物を背負って歩いて頂上を極めるという、登山の基本ともいうべき縦走登山を楽しむことこそ、ほかのジャンルの登山形態を確実に行なううえでも大切なことだと確信する。
山田哲哉著「縦走登山」

私は退職後、山田哲哉氏の「登山講座」を受講しました。数週間にわたって登山に関する様々なお話しや技術的なことなど教えてもらいました。

その中でも一番印象に残った講義が「縦走登山の魅力」でした。
一つのピークに達した時、その峰から望む景色は広大な山岳地帯が目に飛び込んできます。あの頂きを越えたらどんな景色があるだろうか、更にその先のピークを越えたら・・・。
稜線上に延びる一本の登山道が果てしなく続き、360度見渡す限りの景色を楽しみながらの山歩きこそ最も醍醐味がある登山だと思いました。
せっかくここまで登って来たのだからすぐに下山するのはもったいない。時間があれば・許せばということより、自ら時間をつくって稜線歩きを楽しむ考えに切り替える方がより充実した登山になるのではないでしょうか。

 

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今回の登山は台風が接近する中での様々な判断が要求されました。
最終的には気象上の危険を回避し下山することになりましたが、2日目まではなんとか天候がもつという予報だったため裏銀座縦走路を楽しんできました。

 

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2日目早朝6時、南に向かって裏銀座縦走路が続いています。
こんな景色を見るだけでワクワクしてきます。

 

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烏帽子ヒョウタン池

烏帽子小屋近くにある池で、周辺はテント場になっていました。

 

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登山道沿いに高山植物が咲き乱れるお花畑

 

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チングルマ、ミヤマダイコンソウ、ヤマハハコ

 

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東沢谷と赤牛岳から続く読売新道

 

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クモマスミレ、シロバナヨツバシオガマ、コケモモ

 

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裏銀座パノラマコース

登山者が多い表銀座に比べゆったりと静かな縦走路が続いていました。
登山道沿いの砂地やハイマツにも様々な高山植物が息づいています。

 

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コマクサの群生

これほどまでのコマクサの群生は見たことはありません。登山者が少ない裏銀座には素晴らしい宝物がありました。

 

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シャクナゲ、イワツメグサ、ハイマツ

 

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振り返れば、烏帽子岳のオベリスクと遥か彼方に剱・立山連峰が!

 

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三ツ岳直下から望む水晶岳(中央奥)

 

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AM8:30 台風の影響なのか次第に雲が広がってきました。
まだまだ続く裏銀座縦走路を眺めながらここで引き返しました。

 

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烏帽子小屋に戻る途中から見た「ニセ烏帽子岳」
う~ん立派じゃないか。「ニセ」なんて言う呼び方は失礼ですよ。よし! ”前烏帽子岳” と命名しよう(笑)

 

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アキノキリンソウ、チングルマの実、オトギリソウ

 

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3時間の裏銀座トレッキングを終え烏帽子小屋へ帰還。
湯を沸かしコーヒーを淹れての山カフェでくつろぎました。

昨日、悪戦苦闘して登ってきたブナ立尾根を4時間半かけて下山。まさか日本有数の急登を往復するとは!
これも一つの話の種?勲章?箔?なのかもしれませんね(笑)

下山後、高瀬ダムから望む裏銀座の稜線を仰ぎ見ると、やっぱり北アルプスは険しかったという気持ちでした。
しかし、そこで見た素晴らしい山並みの景色と高山植物の魅力は、登った人しか味わえないご褒美だったと思います。

仲間たちと「来年また北アルプスに来よう!」という合言葉で高瀬ダムを後にしました。

 

「烏帽子岳」おわり

2 thoughts on “烏帽子岳 (後編)

  1. お天気が悪く、早めの下山で残念でしたね。
    また是非、トライなさってください。

    高山植物、良いですね。特にイワギキョウの「青」がさわやかです。

    私の姉もスーさんと同じころ「白馬」にお花を見に行っていましたが、
    やはり台風の影響もあり、早めに戻ってきました。
    この時期の山の草花、山から眺める朝日にいつも感動するそうです。

    今回のすーさんのスケジュールはかなりハードだそうですね。
    姉も「雲の平」には60歳の時に行ったそうです。
    素晴らしいところなのでまた行きたいけど今はもう
    体力がついて行かないそうです。
    ただいま72歳です。

    山に魅せられたのは52,3歳の現役時代からです。

    今週は黒部の方に行くそうです。

    姉は63歳まで現役で働いていたのですから、これからも健康体をキープし
    てスーさん同様、出来るだけ長く山登りを楽しんでほしいと思っています。

  2. Roseさん

    昨日、東北の山旅から戻って来ました。2週続けての登山はやっぱり厳しかったです(笑)

    お姉さんの登山のお話は以前に聞いていましたが、今回の登山もやっぱりこの年代の人たちの元気さが目立っていました。黒部はアルペンルートがあるのでゆっくり楽しんで来られたらと思います。

    雲ノ平は登山者にとって憧れの地です。登山口から最低2日間を要するのでそう簡単に行くことができません。お姉さんも60歳の時に行かれたようで本当に良かったと思います。
    というのも、雲ノ平は周りが北アルプス屈指の名峰に囲まれた溶岩台地ということから、それらの山の頂を目指す目的だけだと通過しない場所なんです。
    あえて雲ノ平を目指すのであればプラス1日を要する場所のため、憧れであっても意外と行く登山者が少ないです。
    それは私が数年前に行った時、山小屋に泊まる登山者の動向からわかりました。
    そういう意味では、まだ体力があるうちにまた行ってみたい地ですね。

    今回の烏帽子岳では、特にイワギキョウとコマクサが素晴らしかったです。
    あれほどの群生を見るのははじめてでした。苦労して登ったことへのご褒美なんですね。
    花の写真が共有できて良かったです。

    東北の朝日岳登山と食べ歩きをしてきましたので、次回ブログにアップします。
    またぜひ見てください。

    コメントありがとうございました。

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