くるま旅の魅力を再考(キャンピングカー白書2014年から)

定年退職後の夫婦くるま旅

自由に動き回り、時間に制約されないメリット

定年退職後に夫婦で全国を巡るくるま旅をしたいと思っている方は多くいると思います。   退職後やりたいことの調査の中で「夫婦で国内・海外旅行」が上位にくるのは、どのデータやアンケートなどでもほぼ共通しています。旅行のスタイルは、個人や夫婦によって様々です。移動手段として、電車やバス・タクシー、自家用車、旅客船、飛行機などがあり、その活用は、目的や利用者の価値観で決められるものですから比較することはできません。                                       私にとってのくるま旅と車中泊は、なによりも「時間に制約されないこと」です。        旅には必ずテーマや目的があります(目的がないのは放浪)。特に定年退職後は有り余る時間があります。現役時代のように休暇スケジュールに沿ってプランを立て、どちらかというと時間に追われた旅になりがちです。                                            旅のテーマや目的は、例えば観光地の見学や史跡探訪、〇〇温泉でゆっくりする、地元のグルメを食す、ショッピング、テーマパークで遊ぶ、大自然の景色を楽しんだりトレッキングしたりなどいろいろあります。非日常生活を体験・経験することで満足感や充実感が得られます。そして、旅の面白さには、プラスアルファがあると思います。それは、予期せぬ出会いや出来事、発見です。                              くるま旅の場合、目的地までの行程において自由に行動できることです。くるまを走らせている時、思わぬ風景(絶景)や建物(珍しさ)、面白そうなお店を発見するとその場所に立ち寄ったり、Uターンしてまで行ってみたりします。その時、見たり聞いたり、話したり、食べたりしたことが何よりの思い出になり、自分たちで見つけた発見の喜びがあります。このことは他の旅行手段でも共通していますが、発見する可能性の高さと行動範囲の広さ、臨機応変に対応できる点ではくるま旅に並ぶものはないでしょう

 

「キャンピングカー白書2014年」が示すくるま旅の現状

くるま旅というとキャンピングカーが頭に浮かんできますが、あくまでも車を利用した旅のスタイルですからキャンピングカーに固執する必要はないと思います。現実は、普通乗用車でのくるま旅が圧倒的に多いのですから。                    くるま旅に関する時系列での統計調査として「キャンピングカー白書」があります。これはキャンピングカーの購入と利用に関わる資料ですので、業界の経営視点を反映した側面もありますが、一般的なくるま旅の現状を把握する上でも参考になります。又、これからのくるま旅の方向性も推察できるのではないかと考えます。              日本RV協会「キャンピングカー白書2014年」

キャンピングカー種類別の生産台数からみる傾向

2014白書車種

キャンピングカーにはいろいろ種類がありますが、現在主流になっているのは、生産台数からもお分かりのとおりキャブコン、バンコン、8ナンバー以外の3車種です。各車種の構造的な説明は省きますが、イメージとして写真を添付しておきます。

2014キャブコン  2014バンコン

キャブコン                バンコン

2014軽キャンパー  2104軽キャンパー3

軽キャンパー(8ナンバー以外)      軽キャンパー(8ナンバー以外)

2014軽キャンパー3  20148ナンバー以外2

軽キャンパー(8ナンバー以外)      8ナンバー以外(写真はハイエース)

キャンピングカーショーの画像

ここで特徴的な傾向は、バンコンと8ナンバー以外の車種が増えていることです。私はバンコンに乗っていますが、購入前の考えと購入後の経験からみますと2種類の車種が拡大する要素がはっきり分かってきました。                       この2車種は、まさに日本の道路事情、商業施設状況、経済状況から適していると思います。今後更にこの傾向は高まっていくでしょう。                   バンコンは、バンタイプの車に「キャンピング車」としての構造条件を満たしたものです(シンク、コンロ、ベット、冷蔵庫などの装備を備えた特殊車両)                              8ナンバー以外は、これらの条件を満たさずに装飾やインテリア、簡易的な装備だけの車です。通常の普通自動車や軽自動車を一部改造した車です。

日本の道路事情は、高速道路やバイパスなどの整備が進んでいますが、一方、一般道や郊外では道幅が狭く蛇行もしています。ほとんどが初めて走る道路ですから神経を使います。旅行に来てまで運転ストレスを感じたくないと思う方は多いと思います必然的に大きな車は敬遠されます。                             日本の車利用の商業施設は、近年著しく発展してきています。道の駅や高速道路SAではショッピング、テーマパーク、人気グルメの他にも温泉付きもあります。そこでは水とトイレが24時間使用できます。こうした施設以外でも全国いたるところにコンビニと日帰り入浴温泉があります。今ではスマホを使えばその情報を一発で検索できます。                日本の経済状況は、勤労者の賃金は頭打ちで減少傾向です。更に、非正規労働者の拡大が進んでいます。又、医療・介護・年金などの社会保障費の削減と保険料負担増もあり、ゆとりもなくなってきています。こうした状況の中で少しでも経済的な負担を軽くしながら旅行を楽しむ傾向があると思います。                        国土交通省の観光白書(平成21年)では、一人一泊当たりの観光消費額は2万7593円です。  これに対してくるま旅(車中泊)の場合は、1万円未満が45%、2万円未満までが70%です。実際私たちの経験では、距離にもよりますが一泊夫婦二人分で1万円~1万5000円です(ガソリン、高速代込み)。旅行日数が長くなればなるほど費用は安く済みます。

 

これからの「くるま旅スタイル」

以上のことから考察すると、くるま旅=キャンピングカーでなくてもいいということです。高額なキャンピングカーを購入するより、普通乗用車(できればワゴン、BOXタイプの車)で充分です。私の経験から車内での一番のポイントは寝床です。足を伸ばせる休息スぺースであり、1日の3/1の時間を費やす就寝スペースです。その他の設備や家財道具は、家で使っている物や外部(コンビニ、スーパー、道の駅、SAなど)で充分間に合います。      テレビは車に付いてます。照明は電池式ランタン、コンロは卓上のガスコンロ、寝具は使っている布団毛布か寝袋、情報はスマホ、入浴はバックに温泉セットを用意、洗面所は道の駅やSAのトイレ、水は公園や地元名水(無料)、冷蔵庫は保冷BOX、服装はジャージのラフな格好、洗濯はコインランドリーなどなど。お金はかかりません。

白書では、2013年度のキャンピングカーの総売上げ金額は、前年比9.9%増の309億7912万円で過去最高額を達成したそうです。これはあくまでもキャンピングカーの売上げであってくるま旅全般の車の伸びとは関係ありませんが、車を使っての旅行スタイルが顕著に伸長していることが分かります。冒頭でも述べましたが、キャンピングカー以外の普通乗用車でのくるま旅(車中泊)は圧倒的に多いです。皆さん工夫やアイデアで楽しんでいます。

 

キャンピングカーユーザーは60歳代がトップ!

2014キャンピングカー年齢層

あくまでもキャンピングカーユーザーのデータです。普通乗用車でのくるま旅の年齢層を含めて考えた場合、実際には圧倒的に60歳代が突出していると思います。定年退職後の自由な時間をのんびりくるま旅で過ごす方のほうが多いです。このデータから推察すると40代から50代の方は、キャンピングカーは持っているけど利用するのは週末だけではないでしょうか。くるま旅の延べ日数で比較したら多分9割近くが60歳代でしょう。

 

ペットを伴った夫婦二人のくるま旅

2014キャンピングカーペット

ペットを「毎回連れていく」「ときどき連れていく」が合わせて41.3%です。実際、道の駅や高速SAなどで駐車しているとペットを連れたくるま旅の方々に遭遇します。

 

旅行スタイルの変化

2014キャンピングカー旅行スタイル

くるま旅をする方々は、やはり誰でも思っているのは同じなんですね。ここでのキーワードは「楽・安・長」かな? 旅行に行って時間を気にするストレスがないことが大きいですね。すべてにおいて気軽さと経済性、そしてある程度長期間の旅ができることが、くるま旅の魅力ではないかと思います。

今回、「キャンピングカー白書」に基づいて「くるま旅」を再考してみました。      定年退職後にくるま旅を考えている50代、60代の皆さん、又、キャンピングカーを購入しようと検討されている方々は、少なからず多いのではないかと思います。       私はまだ経験は浅いですが、くるま旅を取り巻く環境はかなり進んでいます。     資金に余裕があり設備や機能が整った高額なキャンピングカーも快適に過ごせますが、逆に資金がなくても考え方や工夫次第で楽しく充実したくるま旅ができます。       年金の削減や支給開始年齢の繰り上げがある中、少しでも「楽・安・長」に旅を楽しむことができるのは「くるま旅」の最大の魅力です。夫婦二人であれば「夫婦くるま旅」として更にその楽しさは倍増すると思います。