再稼働?東京電力が支援?
県民の7割が反対なのに・・・
4年前「常陸の国を訪ねて」と題してブログアップしたことがあります。
私の住む町川越から茨城県にくるま旅した時の記録です。
この時はじめてRVパーク(車中泊施設「あじがうら」)を利用しての旅でした。
このRVパークがある阿字ヶ浦の近くに「国営ひたち海浜公園」や「那珂湊おさかなセンター」があります。
首都圏からの一大観光地として、年間を通し多くの観光客が訪れています。
5月に訪れた「ひたち海浜公園」には、ネモフィラが満開に咲いていました。
「那珂湊おさかなセンター」は漁港に隣接しているため、新鮮な魚介類が溢れるほど陳列・販売されていました。
そんな「ひたち海浜公園」や「那珂湊おさかなセンター」などの観光地のすぐ近くに「東海第二原発」があります。
茨城県東海村にある「東海第二原発」
太平洋に面して、後方には東海村の住宅地がぎっしりと埋め尽くされています。
周辺30Km圏には、日本の原発地域の中でも最多の96万人が住んでいるそうです。
原子力規制委員会は、日本原子力発電の東海第二原発が、新規制基準に適合すると認める審査書を正式に決定しました。
この東海第二原発は、今月28日に運転開始から40年を迎える老朽原発です。
この決定は、原子炉等規制法で原発の運転期間は最長40年と定められていますが、新基準では「一回に限って認められている20年の運転延長」を認可したものです。
東海村に隣接する那珂市の海野徹市長は、市民団体の要望書提出を受け、再稼働に反対する意向を表明した。
3月に日本原子力発電(原電)と安全協定を結び、「実質的な事前了解権」を持つとされる6市村で、首長が再稼働反対を明言するのは初めて。
海野市長は、事故時に被害が拡大する恐れがあることや、市民アンケートで再稼働に「反対」と答えた市民が約65%に上ったことを反対の理由に挙げていた。
朝日新聞10月24日
再稼働反対の声は根強く、茨城県知事選で行ったNHKの出口調査では、東海第二原発再稼働について尋ねたところ、賛成は24%、反対は76%だった。
再稼働のためには、まず安全対策に1800億円と巨額な費用がかる見込み。資金調達のメド立たず。
NHKの解説委員会
再稼働の審査では、資金繰りが厳しい原電が1740億円の追加の安全対策費を確保できるかが焦点の一つになった。
大株主の東京電力ホールディングスなどが支援を表明したが、実質国有化された東電が資金支援することについて、「福島第一の廃炉もあり、他社への資金援助など言語道断」などといった批判も寄せられた。
朝日新聞9月26日
皆さん
これら一連の状況や報道をみて、どのように思われますか。
地震大国である日本においてはいつ何時自然災害が起きるか分かりません。
東日本大震災時の福島第一原発事故、北海道地震でのブラックアウト(原因は泊原発再稼働を見越して火力発電に集中)など、これら地震による二次災害は原発が大きく関わっていました。
あの福島原発事故はまだ終わっていません。
この事故による避難者数は、県内外合わせてまだ5万人以上にのぼっています。(福島民放)
又、原発事故を要因とする災害関連死は増え続け、避難を余儀なくされて死亡した44人が被害者とされています(東電刑事裁判)
更には、7年以上経った今でも放射能汚染水問題(トリチウム)が続いています。
このような状況の中、東京電力が東海第二原発再稼働のために資金援助?
いったい何を考えているのでしょうか。
福島第一原発事故の賠償や放射能の除染費用は税金が国費として使われ、又、電気料金に上乗せするというこの二つのやり方で広く国民の負担にしていることを忘れているのでしょうか?
今、各電力会社は稼働していなくても原発を維持しています。
原発の場合は稼働していなくても燃料を水につけて冷却しなければならず、放っておくと施設が劣化するため維持費がかかります。この維持費は年1兆円もかかるとも言われ、この費用は電気代として国民が負担しています。
これらのことが前述した新聞記事の「実質国有化」「他社への資金援助など言語道断」として批判されるのも当たり前であり、もっともなことです。
原発事故裁判
東京電力の旧経営陣3人が福島第一原発の事故を防げなかったとして起訴された裁判が続いています。
この裁判では、元会長の勝俣恒久被告など旧経営陣3人は、業務上過失致死傷の罪で強制的に起訴されていますが、いずれも無罪を主張しています。
NHK NEWS 「詳報 東電刑事裁判」
直近の第34回公判(11月14日)では、
福島県の高齢者施設から避難を余儀なくされ亡くなった入所者の遺族が、「誰一人、責任者が責任を取らず、悔しい」と意見を述べ、旧経営陣の処罰を求めました。
この公判の新聞記事では、
浮かび上がったのは、巨大津波が襲来する可能性を指摘されながら、誰一人として責任感をもって向き合わず、結果として悲惨な事態を招いた旧経営陣の信じがたい姿だ。
裁判では、これに沿う東電社員の供述や資料(津波予測の資料など)が明らかになった・・・。
だが被告らは真っ向から否定した。現場に最も近い立場にいた武藤栄・元副社長は、「先送りする権限は私にはなかった」と述べ、経営トップだった勝俣恒久元会長は、津波対策について報告はなく、「関心を持たなかった」と言い切った。
朝日新聞
皆さん、この裁判の状況をどのように思われますか。
もう呆れてものも言えないですね。
3年前に「東京電力の企業体質」についてブログアップしたことがあります。
この時のブログでは、東京電力の原発に関わる事故隠しや不正、トラブルの未報告などの隠蔽体質が組織風土になっていることを記しました。
「先送りする権限は私にはなかった」「関心を持たなかった」という発言は、まさにこれが企業体質なんでしょう。
起るべくして起きたという人災なんだと。
そんな実質国有化の東電が、他社への支援?、それも原発再稼働への資金援助?
ごく普通に物事の道理として考えるならば、ひとつの答えに行きつくのではないでしょうか。
まずは、今回の事故の責任をしっかり取り、被災者への最大限の支援をすすめ、復興に向けて全面的に協力していくことだと思います。
そして、原発ゼロに向けた取り組みと自然エネルギー転換への経営方針を打ち出すことではないでしょうか。
いつ起きても不思議ではない自然災害への対応は、まず最初に原発稼働を止め廃炉にすることだと思います。
いつまでも観光地として多くの観光客が訪れる「ひたち海浜公園」や「那珂湊おさかなセンター」でありたいものです。
また機会があったらネモフィラやコキア(紅葉)を観に行ってみたいと思います。