白馬鑓温泉
標高2100mの露天風呂?!
白馬岳(しろうまだけ)登山の最も人気のあるコースは、大雪渓を登り白馬岳から小蓮華山に至る稜線(パノラマコース)を白馬大池に下るのが一般的です。
このため、杓子岳と白馬鑓ヶ岳(しろうまやりがたけ)の三山縦走コースをたどる登山者は一気に少なくなり、静かな山歩きができるのが特徴です。
そして三山をたどるコースは、縦走の醍醐味が味わえること、更には天然温泉に入れることも大きな魅力だと思っています。
ということで、登山3日目は、白馬山荘を後にして杓子岳、白馬鑓ケ岳を目指して後立山連峰を南下していきました。
白馬岳直下からのご来光
白馬鑓ヶ岳中腹からの白馬岳と杓子岳
白馬岳は、信州側から仰いでも実に堂々とした貫禄を持っている。
しかし私はこの山を東西の横から眺めるよりも、南北の縦から望んだ姿が好きである。縦から見た白馬岳は、横から見たのと、別人の観がある。
東側が鋭く切れ落ち、キッと頭を持ち上げたさまは、怒れる獅子といった感じをいつも私は受ける。颯爽(さっそう)たる姿である。
深田久弥著「日本百名山 白馬岳」より
白馬鑓ヶ岳を登る仲間たち
高度感溢れる登山道は、まさに縦走の醍醐味が味わえる瞬間です!
早朝5時、白馬岳と朝日
今日登る杓子岳(左)と鑓ヶ岳(中央) はるか彼方に剱岳と立山が。
杓子岳頂上からの白馬岳と昨日白馬大池から登ってきた小蓮華山の稜線(パノラマコース)
深田久弥氏が述べていた南北の縦から望んだ姿がこの光景です。
東側が鋭く切れ落ちて、キッと頭を持ち上げた姿・・・。
北アルプスの最も北にある白馬岳は、南方に延びる槍・穂高連峰や後立山連峰、更には剱・立山から望むと、「あれが白馬だ!」とハッキリ分かる目印がまさに ”東に向けてキッと頭を持ち上げた姿” なんですね。
杓子岳頂上から見た白馬鑓ヶ岳 杓子岳2812m かなりの強風で~す!
杓子岳頂上から少し下って振り返ると、こちらもまた東側が鋭く切れ落ちていました。
仲間たちも驚きのあまり一瞬立ち止まって茫然と眺めていました。
「まるで雪庇の上を歩いてきたみたいだな~」と(笑)
この日は風が強く肝を冷やした感じです。
次のピーク白馬鑓ヶ岳をめざす仲間たち 鑓ヶ岳頂上2903m
上信越の妙高山、火打山、高妻山 はるか彼方に富士山も!(写真中央)
頂上からの後立山連峰の山並み 唐松岳、五竜岳、鹿島槍ヶ岳などの名峰が!
写真右側が剱・立山連峰です。立山の後ろにある連峰なので後立山連峰(うしろたてやまれんぽう)と言うんですね。
信州側から見れば、この連峰は後ろではなく前なんですが?(笑)
鑓ヶ岳を下り振り返ってみると、今まで登ってきた鑓とは全く違う姿がありました。
険しさのある顔からゆったりとした別人の顔です。一面ザレ場(細かな石)で覆われているためでしょうか。
途中、稜線から鑓温泉小屋に向けて大出原(おおでっぱら)を下っていきます。
スッキリとした鑓ヶ岳の姿です。場所を変えて眺めれば様々な姿があるんですね。
大出原のお花畑
ミヤマキンポウゲ、ミヤマダイコンソウ、ウサギギクなどの黄色の花で一面覆われていました。
中にはクルマユリの群生もあり見事なお花畑でした。
鑓温泉小屋までの岩場を下る 沢の途中に建てられた鑓温泉小屋
この小屋は、冬季積雪のため全て解体されるそうです。
毎年、登山シーズンの前にこの山小屋を組み立てるので大変な作業だと思います。
登山者にとってはありがたいことですね。
小屋内は2段ベットでこんな感じです。 小屋前のテント場。
鑓温泉小屋といわれるように、かけ流し天然温泉の露天風呂があります。
この温泉目当てに登ってくる登山者もいるようです(笑)
この露天風呂は24時間利用可能で宿泊者は無料です。日帰り入浴は500円でした。
混浴ですが19時30分~20時30分の1時間は女性専用になります。女性の内風呂は別にありました。
山小屋泊まり3日目、ようやく汗を流せます!
浴槽が広いので我々7人のオヤジ達がいっぺんに入っても余裕です。
露天風呂からは、鑓沢と信州の山並みが一望できるロケーションです。これぞまさに ”天空の露天風呂”。
前のテント場や後ろの小屋からは丸見えですが、そんなことはおかまいなし(笑)
登山4日目の最終日、鑓温泉小屋を後にして猿倉までの下山です。
通常、この時期でも鑓沢の雪渓をトラバースしていきますが、地球温暖化のため雪渓は減少しているようです。
アイゼンを使用することなく鑓沢のザレ場を横断していきました。
振り返って見た鑓沢
昨日縦走してきた杓子岳(右)と白馬鑓ヶ岳(中央)を仰ぎ見ながら、樹林帯の中を下山していきました。
白馬登山基地の猿倉 反時計回りで縦走してきた道のり
山仲間たちとの夏山登山は無事終了しました。
今回の山旅の一番の思い出は、好天に恵まれ素晴らしい絶景を眺望できたこと、そして、なによりも仲間たちと共に ”縦走登山の魅力” を思う存分楽しめたことでした。
雪山登山、沢登り、岩壁登攀と、登山には多くの楽しみ方があるが、バリエーションとしての登山形態の基本はすべて縦走登山にある。
山を全体から把握して、地図を読み、天候を見極め、そしてなによりも荷物を背負って歩いて頂上を極めるという、登山の基本ともいうべき縦走登山を楽しむことこそ、ほかのジャンルの登山形態を確実に行なううえでも大切なことだと確信する。
山田哲哉著「縦走登山」より
山腹につけられた縦走路を振り返りながら次のピークをめざす。
頂きの先には新たな世界が広がる。
同書より
「白馬岳登山」 おわり
すーさん 様
絶景の画像をありがとうございます。
お天気に恵まれましたね!
それに仕事をしていた頃のお仲間との登山は羨ましいです。
私は2年前の5月上旬に北アルプス、白馬村~安曇野市方面へ3泊4日で車中泊の旅をしました。
すぐ目の前に3000m級の山がそびえる風景は瞼に焼き付いてます。
特に鷹狩山の展望台からの眺めは夢のようでした。
八方池までトレッキングしようと考えてましたが、ゴンドラが修繕のため運転停止をしてまして
残念でした。
後輩さん
コメントありがとうございます。
2年前、白馬村、安曇野方面に車中泊の旅に行かれたんですか。
車を走らせながら望む後立山連峰の山並みは素晴らしい景色ですよね。
「3000m級の山がそびえる景色」、確かに瞼に焼き付きますよね。
今度は八方池までトレッキングしてみてはいかがですか。
できれば唐松岳まで登ってみると、北アルプスの絶景が一望できますよ!