2018北海道ロングステイ (10)

斜里町編

北のアルプ美術館

 

斜里町は、私たちが暮らす清里町の隣にあります。
オホーツク海に面し知床の玄関口にあたり、斜里岳や海別岳、知床連山を望む自然豊かな町です。

今回のロングステイでは、北海道の山に登ることも目的のひとつでした。
北海道の山に関する雑誌やガイドブックを見ながらどのように登ろうかと準備をしています。
一般的に登山愛好者にとっての山岳雑誌は、山に登るための情報を得る目的で読むものだと思っています。
もちろん私もその一人です。

今回、清里町のお試し住宅に滞在している時、地元の方から「斜里町に『北のアルプ美術館』があるから行ってみたら」と声をかけられました。

「北のアルプ美術館」?
あの山の文芸誌「アルプ」と関係があるのか?
「アルプ」という山岳誌については、ほとんど知識がなく名前だけは知っていました。
以前、図書館か書店で手に取ってみたことがありますが、何気なくページをめくっただけの記憶しかありませんでした。
ということで、山の文芸誌「アルプ」と「北のアルプ美術館」について、ネットで調べてみました。

「アルプ」は山の文芸誌として、1958年(昭和33年)創文社から創刊された。
1983年に終刊するまで串田孫一が代表、編集長は大洞正典が務め、尾崎喜八、畦地梅太郎、深田久弥、内田耕作、三宅修などが中心となり、25年間に約600名の執筆者によって創られた山の文芸誌。

「北のアルプ美術館」は、アルプの創刊から終刊までの300号が保存され、その中心となった串田孫一や尾崎喜八をはじめ寄稿された多くの随筆家、詩人、登山家、画家、版画家の作品が展示されている。

なるほど、そういう美術館なんですね!

 

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「北のアルプ美術館」

私たちが滞在する清里町から車で20分、斜里町の閑静な住宅地の一角に白樺で囲まれたアルプ美術館がありました。

 

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入場は無料でした。
2階が展示場、1階は「アルプ」の代表を務めた串田孫一氏の生前使っていた居間と書斎が移築され展示場になっていました。

 

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アルプの創刊から300号までの表紙全て展示されていました。

 

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各部屋ごとにアルプに寄稿された随筆家、詩人、画家、版画家、彫刻家などの作品が展示されていました。

 

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アルプ創刊にたずさわった随筆家、詩人、登山家の作品展示室

アルプのバックナンバーをはじめ、寄稿された生の原稿や挿絵、関連作品などが展示されていました。
その一つひとつから、執筆者たちの自然への畏敬の念と、深い想いが伝わってくるように思えました。

 

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尾崎喜八氏の作品              串田孫一氏の作品

 

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版画家、畦地梅太郎氏の作品展示室

私たち夫婦も大好きな版画家です。カミサンは畦地梅太郎のTシャツを着ています(笑)

 

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画家、高橋清氏の作品展示室

 

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山岳写真・蝶の研究家 田淵行雄氏の作品展示室

 

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串田孫一氏が生前使っていた居間と書斎がそのまま展示されていました。

 

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美術館の館員の方からコーヒーを御馳走していただきました。

白樺に囲まれた中庭を眺めながらコーヒーカップ片手にアルプに関連する山岳雑誌のページをめくってみました。

 

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通常、山の雑誌は4つの要素が必要だとされている。
すなわち、用具、技術、ガイド、そして情報である。しかし、「アルプ」には、その要素がことごとくない。
実用記事に頼らず、しかも広告をとらず、「山との心の対話」をテーマにした紀行、随想、詩などで構成されていた。
山岳雑誌「PEAKS(ピークス)」より

40年もの間に登山界は大きく変わってしまった。登山から未知の部分、つまり「憧れ」がどんどん消えて、「数あわせ」の山ばかりが幅をきかせるようになってきた。
山口さんがたえずやってきたような思索の場としての山ではなく、「登った」という行為ばかりが優先されてしまう。
その結果、山の文学も成り立ちようがなくなってきてしまった。
山口著「八ヶ岳挽歌」に寄せる一文より

 

「北のアルプ美術館」を観終わって、確かにこうした山の文学がなくなってきたように思いました。
登山の情報や技術だけが優先され、更には「登った」という数合わせに執着している自分に対して、「どうなんですか?」と何か問いかけられたような気がしました。
私もこのブログで、登山はピークハントではないと言い続けてきましたが、それ以上にもっと深い意味で山や自然と向き合うことを教えられたような思いです。

 

「2018北海道ロングステイ」つづく

2 thoughts on “2018北海道ロングステイ (10)

  1. しぶちんです。
    以前、中曽根内閣の時に串田孫一さんの記事を読みました。
    以下のような内容でした。

    「故串田孫一さんは、中曽根康弘首相(当時)がテレビ画面にでてくるとスリッパでブラウン管
    をひっぱたいたそうである。「このウソツキ」といいながら…。「不沈空母発言」だったか、売
    上税の際の発言だったか、「この顔が嘘をつく顔に見えますか」と大見得をきったのがきっかけ
    だったと記憶している。」

    当時の記憶が蘇りました。

    随筆家だとは知っていましたが、哲学者であり、文芸家でもあったのですね。
    ユーモラスな方だなとは思っていましたが。
    山と文芸の雑誌を長く編集されていたんですね。
    また北海道に美術館があるとは知りませんでした。

    1. しぶちんへ

      へ~、そうだったんですか~。面白い方だったんですね。
      名前は知っていましたが、具体的にどのような方だったかは知りませんでした。
      今回アルプ美術館を訪れて分かった次第なんです。
      北海道のこの地に来なければ知らずにいました。訪れてよかったと思ってます。

      カミサンの友人からもブログを見て、メールで串田孫一さんに関する話が届いていました。
      意外と知っている方がいて驚いています。

      北海道ロングステイまだ続きますので、またコメントください。
      お待ちしています。

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