九州くるま旅 (14)

阿蘇山

くじゅう・阿蘇を結ぶ広大の草原

 

九重連山を後にして阿蘇に向かいました。
このエリアを結ぶ広大な丘陵地帯に一本の道路 ”やまなみハイウェイ” が延びていました。
どこまでも続く視界360度に拡がる草原は、今まで見たこともない光景でした。
くるまを走らせれば徐々に涅槃像と呼ばれる阿蘇五岳の姿が大きくなってきます。

阿蘇の規模は世界一と言われる・・・。
東西四里(約16Km)、南北六里(約24Km)という広さは、やはり想像では実感が来なかった・・・。
しかし、私がさらに驚いたのは、そのカルデラよりも、環をなした外輪山の外側に拡がる裾野の大きさであった。それは九重や祖母の下まで来ていた。波野原と呼ばれているが、波野とはうまい言葉である。
深田久弥著「日本百名山:阿蘇山」より

 

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くじゅうから阿蘇に続く ”やまなみハイウェイ”(県道11号線)

 

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延々と続く草原の丘陵地帯

 

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振り返ると九重連山の姿がくっきり浮かび上がっていました。

 

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放牧地ということもあり牛の姿も見られました。

 

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大観峯から望む阿蘇五岳(涅槃像)
ここから見る景色からカルデラ地形というのがよく分かります。

 

 

阿蘇登山~ここは ”月面” なのか?!

 

阿蘇登山口は、主に2つのコースがありました。
当初の予定では、登山専門ガイドブックに従って「仙酔峡登山口」から登るプランでした。
しかし、2年前の噴火によりこのコースは入山禁止になりました。
このことを知ったのは、登山前日に道の駅「阿蘇」にある登山・観光案内所の説明を受けた時でした。
現在登山ができるのは、砂千里コースだけのようです。但し、火山ガスの発生状況や風向きによっては入山規制があるということでした。

 

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早朝、阿蘇山麓の放牧地

 

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地割れのような山肌が印象的        米塚

 

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登山口

8時30分頃、ここから本格的な登山が始まります。草木は一本も生えていません。

 

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砂千里浜

草千里浜とは対照的な火山灰の黒い砂だけで一面覆われていました。
登山者はまだ私だけのようです。このような景色ですからちょっと怖い感じです(笑)

 

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砂千里浜の全貌

かつて映像や写真で見た「月面の世界」のような感じです。

 

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砂千里浜を渡り終えてからは火山岩のガレ場を登っていきます。

 

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標高を上げていくと目指す中岳の稜線(火口淵)が見えてきました。

 

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ガレ場を登り稜線に出ると眼下に噴煙をあげる「中岳火口」が見えてきました。
写真左側の平らな砂地が砂千里浜。
奥にそびえる山が烏帽子岳。この烏帽子岳全体がミヤマキリシマで覆われていました。
下山後に登ってみようと思います。

 

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中岳に続く登山道。            振り返って見た稜線(火口淵)

前に登山者が一人いました。後でお会いして話をしました。地元の登山好きな若者でした。

 

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阿蘇中岳山頂1506m

 

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中岳の奥にある高岳

 

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高岳山頂1592m。阿蘇山最高峰 (日本百名山)

 

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阿蘇市内方面              根子岳(阿蘇五岳のひとつ。涅槃像の顔の部分の山)

 

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下山途中、多くの登山者が登ってきました。
この岩だらけのガレ場の下山だけは一苦労でした(笑)

 

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この日、中岳火口までの観光は可能でした。ここまでは車で来れます(有料道路800円)
しばらく火口を眺めていると、突然緊急アナウンスがありました。ガス噴出量と風向きが変わったための緊急避難指示でした。
中岳、高岳への登山は特に問題はありませんでしたが、この火口周辺だけは頻繁に緊急アナウンスが流れていました。
 

 

ミヤマキリシマ咲く烏帽子岳

 

下山後、阿蘇山から少し下った所に草千里浜があります。
この草千里浜にそびえ立つ山が、阿蘇五岳のひとつ烏帽子岳です。

 

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烏帽子岳と草千里浜

 

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遠くから望むと烏帽子岳全体がピンク色に染まりはじめていました。

 

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近くまで登ると一面ミヤマキリシマで覆われていました。

 

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烏帽子岳中腹から望む草千里浜

 

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烏帽子岳頂上までなだらかな登山道が続き、その一帯は全てミヤマキリシマ!

 

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一般的なツツジに比べ花は小さく可憐です。

 

今回は、阿蘇登山規制の中、運よく登ることができました。
又、久住山では見られなったミヤマキリシマの群生にも出会うことができラッキーでした。

 

これから南阿蘇を通って高千穂峡に向かい、九州三つ目の百名山「祖母岳」に登ろうと思います。

 

「九州くるま旅」 つづく

6 thoughts on “九州くるま旅 (14)

  1. 三好達治「大阿蘇」
     雨の中に馬がたつてゐる
     一頭二頭仔馬をまじへた馬の群れが 雨の中にたつてゐる
     雨は蕭々と降つてゐる
     馬は草をたべてゐる
     尻尾も背中も鬣(たてがみ)も ぐつしよりと濡れそぼつて
     彼らは草をたべてゐる
     草をたべてゐる
     あるものはまた草もたべずに きよとんとしてうなじを垂れてたつてゐる
     雨は降つてゐる
     瀟々と降つてゐる 山は煙をあげてゐる
     中嶽の頂きから うすら黄ろい 重つ苦しい噴煙が濠々とあがつてゐる
     空いちめんの雨雲と
     やがてそれはけぢめもなしにつづいてゐる
     馬は草をたべてゐる
     艸千里浜のとある丘の
     雨に洗はれた青草を 彼らはいつしんにたべてゐる
     たべてゐる
     彼らはそこにみんな静かにたつてゐる
     ぐつしよりと雨に濡れて いつまでもひとつところに彼らは静かに集つてゐ   る
     もしも百年が この一瞬の間にたつたとしても 何の不思議もないだらう
     雨が降つてゐる 雨が降つてゐる
     雨は瀟々と降つてゐる
     
     「艸干里浜」
     われ嘗てこの国を旅せしことあり
     昧爽(あけがた)のこの山上に われ嘗て立ちしことあり
     肥の国の大阿蘇の山
     裾野には青艸しげり
     尾上には煙なびかふ 山の姿は
    そのかみの日にもかはらず
     環なす外輪山は
     今日もかも
     思出の藍にかげろふ
     うつつなき眺めなるかな
     しかはあれ
     若き日のわれの希望(のぞみ)と
     二十年の月日と 友と
     われをおきていづちゆきけむ
     そのかみの思はれ人と
     ゆく春のこの曇り日や
     われひとり齢かたむき
     はるばると旅をまた来つ
     杖により四方をし眺む
     肥の国の大阿蘇の山
     駒あそぶ高原(たかはら)の牧
     名もかなし艸千里浜

     熊本の方から、九重に行かれたのですね。牧ノ戸峠をもう少し「やまなみハイウエイ」を別府の方へ
    下ると、硫黄山方面、坊がつる方面へのメインの登山口基地である長者原(ちょうじゃばる)駐車場があ
    り、キャンプ場や案内書、土産屋等があります。そこなら車中どまりの車も多く、近隣には星生温泉や筋
    湯温泉、筌ノ口温泉(川端康成が千羽鶴の取材のため投宿した宿)など名の通った温泉場が車で10分
    くらいの範囲にあります。夏休みなどのシーズンはごった返す所ですが、昔は学生や若い男女でごった
    返していましたが、最近ではここも年金世代でごった返して(?)います。
     私どもは、若いころは、ここで車中泊、家族で登るときは牧ノ戸峠から登り、単独の時は長者原から
    登っていました(こちらの方がキツイ)
     久住のミヤマキリシマは、梅雨空との勝負です。予定の日が晴れていると幸運でしたが、定年後の自
    由を得てみると天気を見計らっていつでも行けるのに、人が少ない時に行くのは拍子抜けでさびしく足が
    遠のいてしまいました。それに、みな同じような世代で人の風景にも華が感じられません。(私もその一
    人ですが)
     最近は、福岡の天神などに出かけ、大勢の人や若いカップルや小さな子ども連れを目の当たりにする
    方が元気になります。自宅から車で1時間ほどの、福岡市内に住む娘のマンションに、妻は毎日初孫の
    保育園の迎えに通い、いきいきとしています。私も時々は孫の笑顔のご相伴にあずかり、時には、天神
    の大きな書店で新刊の立ち読み(イスとテーブルまで用意してあります)をして日を過ごすこともありま
    す。街中には暮らしが感じられます。
     久住も阿蘇も、人口減と高齢化の影響で、20年30年前に比べ観光地としてすっかりさびれています。
    震災が追い打ちをかけたかもしれません。にぎやかだった休憩所・土産屋・ドライブインもなくなり、道路
    もひび割れや凸凹が目立ちます。ここも商店街のシャッター通りと同様の運命をたどっているのではない
    かと思います。
     全国のいろいろな土地や山を巡られて、他のところではどう感じられますか。

    1. mittyさん

      コメントありがとうございます。

      三好達治の「大阿蘇」の詩、はじめて読ませていただきました。
      波野原や阿蘇山麓で馬が草を食べている光景がよみがえってきました。
      あの時の光景を思い出しながら読み返してみました。
      素敵な詩ありがとうございます。

      今回の久住山登山は、はじめてということもあり比較的短時間で登れる牧ノ戸峠からでした。
      登山ガイドブックで長者原からのコースも検討しました。こちらのコースの方がもっとダイナミックに九重連山を楽しめるようですね。
      1970年代、芹洋子の「坊がつる讃歌」が登山者の間で話題になりよく歌われたようです。
      この歌詞の舞台がこの九重だったんですね。ぜひこの場所にも行ってみたいと思っていました。
      次回、九州の旅でこちら方面に来たら長者原から縦走してみたいと思っています。

      こうして全国の山を登山していますと、平日は年配者(退職者)の姿が多いと分かります。
      但し、週末ともなれば最近の登山ブームもあってか若者が多いです。
      特に名のある山ですとその割合は格段に上がりますね。例えば、今回の阿蘇山や久住山は、平日にもかかわらず若者の姿が多かったです。
      北アルプスや南アルプスに行けば更にその姿も目立ちます。

      全国くるま旅していますと、mittyさんのおっしゃるように地方の過疎化がどんどん進んでいることを目の当たりにします。
      私たちの旅は、どちらかというと都会や市街地を避けて田舎を走る旅をしています。
      ですからそうした光景をよく目にします。
      地方の有名な都市でもほとんどがシャッター通りになっていたりします。
      そんな具合ですから田舎に行けば行くほど過疎化が進んでいます。
      今回の旅でも、平戸から九十九島、外海や島原、天草の海岸線の漁村には、そんな典型的な光景が多くみられました。
      天草の教会近くの土産物屋さんで地元の方と話す機会がありました。そこでも高齢化と過疎化が進んでいる様子を聞かせてもらいました。
      「地方活性化」という言葉やキャッチコピーをよく見聞きにしますが、現実はなかなか難しいものがあるようです。

  2. こんにちは~。18日から日本を脱出して、南の国の風に吹かれています。
    大きな島では噴火が収まらないようで、自然の力の前に人は無力ですね。

    九週の旅、素晴らしいところばかりです。「黒川温泉」姉がもう一度行きたい温泉と
    言っていた場所です。私もぜひ、行ってみなくては。

    年々、海外の旅も疲れます。時差のない国内旅行にシフトしたくなってきた今日この
    頃です。

    すーさんご夫妻、本当に仲が良いようで、何よりです。車があると行きたいところに
    行けますね。あまり人がいかに様なところにも行けますし。

    草千里の風景、今でも印象深く残っています。40年も前に現役で働いていたときの5
    月に行ったものでした。
    ミヤマ霧島の花の群生も素晴らしいですね。山大好きの姉も「自然の花々を見ると、
    またすぐに山に行きたくなるのよ~。」と言っています。69歳ですが、私よりずっと足
    腰が丈夫です。

    姉もすーさん同様100名山を目指していますが、70パーセントくらいは達成したよう
    なことを言っていました。

    引き続きブログ更新を楽しみにしています。

    1. 匿名さん

      コメントありがとうございます。

      南の国、大きな島、噴火? もしかしてハワイですか(笑)
      私はまだ一度も行ったことがないです。羨ましいな~。

      お姉さまも山好きなんですね。
      >自然の花々を見ると、またすぐに山に行きたくなるのよ~。

      まさにそのとおりですね。私たちもその山の花に誘われて行っちゃうんです(笑)
      どんなたいへんな山でもきれいで可憐な自然の花を見るだけで、今までの疲れは一掃してしまうんです。そんな力が山にはあるんですね。
      今回のミヤマキリシマもそうでした。
      ちょうどうまい具合に開花に間に合いました。

      >草千里の風景、今でも印象深く残っています。

      私もこの景色を見た時、なんとも言えない位の想いになりました。
      有名な場所だと聞いていましたが、やはり実際に見るとその想いは倍増しますね。

      引き続きブログアップしていきますのでご覧になってください。

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