3.11、あれから6年

原発ゼロの未来へ~3.4全国集会

避難解除、住民帰還率13%!?

 

東日本大震災と福島原発事故から6年経ちました。
避難者は今だ全国で12万人を超えているようです。

こうした中、福島原発事故にともなう避難指示の解除が進んでいるようですが、現実には多くの問題を抱えています。

避難指示解除は本来、避難者にとって喜ばしいはずですが、現実はそうなっていません。
「さあ、みんな帰れ」というのが政府方針ですが、避難自治体の現状を見れば、すぐに「ふるさと帰還の実績」とならないのは明らかです。
安心して帰れる町にするには、住まいの再建をはじめ、医療、福祉、買い物、学校、雇用といった「生活の質」を満たす必要があります。
原発事故が奪った「コミュニティの質」や「環境の質」も大事な問題です。
福島大学名誉教授 鈴木浩

原発事故の避難指示が2014年4月以降に解除された福島県田村市、川内村、楢葉町、葛尾村、南相馬市の5市町村で、解除された地域への住民の帰還率が13%にとどまっている。
生活インフラが十分である避難先での定住が進んだことや、子供をもつ親が放射能の影響による健康への不安を考慮した結果、帰還が進んでいないとみられる。
日本経済新聞

 

ここには原発という大きな問題が横たわっています。
一瞬にして町全体(広域エリア)を廃墟にしてしまう放射能汚染はもちろんのことですが、原発稼働によるさまざまな問題にも目を向けなければならないと思います。
もうすでに何度も言われている処理方法のない高レベル放射性廃棄物。
いったいどのようにしていくんでしょうか。
原子力を推進する委員会の責任ある立場の方が「核のゴミ問題」を口にしています。
怒りを通り越して呆れるばかりです。

福島原発事故処理費用(廃炉、賠償、除染費用)として、21.5兆円に拡大するとの試算が示されました(経済産業省)
これまで福島原発事故処理に11兆円かかるとされてきましたが、それが一気に倍増したということです。
これらをすべて税金と電気料金への上乗せというかたちで国民負担になるというものです。

この6年、現政府によって原発再稼働が推進され、私たちは福島原発事故と同じような危険にさらされることになりました。
そして、終わることのないその処理費用を国民が負担していくことがハッキリした6年でもありました。
皆さんどのように思いますか。

 

こうした状況の中で、3月4日東京日比谷公園にて「原発ゼロの未来へ~福島とともに 3.4全国集会」が開催され、参加してきました。

 

2017原発1

主催者発表では3500人の方々が全国から参加されていました。
内、福島から参加された方は250人でした。
日比谷野外音楽堂が埋め尽くされた感じでした。

 

2017原発3  2017原発2

2017原発4  2017原発5

原発に反対する団体や組織の代表者からお話しがありました。
特に印象深かったのが、実際に原発被害にあった方からのスピーチでした。

福島県楢葉町の方から、
避難者がいじめにあい、ひきこもりや自殺者も少なくない。避難指示が解除されても戻る人は少なく高齢者ばかり。原発事故さえなければ、ふるさとでの一家だんらんを奪われることはなかった。
と声を詰まらせていました。

福島県浪江町から大玉村に避難している方から、
政府は”非難解除ありき”ですが、収入も生活の保障もない。ところが「避難者は賠償をもらえていいわね」といわれ、声もあげられない状態です。
こんな思いをさせる原発はなくさなければいけない。

被災にあった方からの生の声は、心に深く刻み込まれます。

”二度と原発事故を起こしてはならない”という強い気持ちにもなります。

 

福島県いわき市に住む友人夫妻と定期的に連絡を取り合っています。
友人からは、この時期になると新聞やテレビなどで福島原発事故復興の報道が流れるが実際にはそんなことはない、と言っています。目に見えるかたち(建物や道路整備など)だけで判断してはいけない。目に見えないところに大きな傷跡があるんだと。
この友人の一言は、まさに集会でスピーチされた方の思いと同じだと感じました。

 

原発事故と「ポスト真実」

 

先月、「ポスト真実」についてブログアップしました。 ※「ポスト真実
この意味は、公のある立場の人が政治的意思を持って、事実無根の主張をあたかも真実であるかのように平然と語る姿が「ポスト真実」ということだそうです。

安倍首相は、東京オリンピック誘致の時、福島原発事故の汚染水対策ができていないのに「福島原発はコントロールされている」と全世界に向けて発言したことはまだ記憶に新しいと思います。
又、昨年の施設方針演説では、まだ18万人の方々が避難生活を強いられている中、「明るい日射しが見えてきた」「復興は新たなステージへ」という発言がありました。

コレっていったい何を根拠に言っているのでしょうか?
もちろんそれなりの根拠があって立場ある方が公の場で発言していると思いますが・・・。
問題は、現実を直視しないで「あたかも真実であるかのように平然と語る姿」に違和感を感じるばかりです

今回の集会スピーチでは私も詳しく知りませんでしたが、避難指示解除は、賠償や支援の打ち切りとセットになっているようです。すでに仮設住宅の打ち切りや、復興公営住宅の家賃賠償を打ち切る方針まで示されているということです。

「復興」という言葉の裏には、私たちには見えない部分があまりにも多いのではないかと思いました。
そして、「福島原発事故」は、けっして終わらない、終わらしてはいけないと実感する集会でした。

2 thoughts on “3.11、あれから6年

  1. まったく同感です、経済産業省が福島原発事故処理費用(廃炉、賠償、除染費用)として、21.5兆
    円に拡大する言う中、また原発使用済み燃料等各原発に保存しておきながら原発の発電原価は低い
    と言っている。今の原発政策を何とかしないと取り返しのつかないことになりそうです。

  2. 紀州カモシカさん

    コメントありがとうございます。
    なぜこれだけのリスク(放射能汚染、核のゴミ、膨大な稼働費用など)を抱えながら再稼働を推進するのか?大きな疑問です。
    単に現在の問題だけではなく、何十年、何百年先の日本や地球の環境を考えた時に、当然「原発ゼロ」の政策と自然エネルギーへの転換がなければいけないと思います。
    それでも稼働する意図とは、何でしょうか?
    「今だけの利益を追求する」一部の個人・組織の力が働いているのでしょう。
    原子力発電を取り巻く利権によって結ばれた集団(「原発ムラ」)が大きな力を持っていることだと思います。
    「東芝」もそのひとつだと思います。莫大な資金を投入して「原発で企業の利益を確保」しようと目論んだ結果があのようなかたちになりました。

    私も紀州カモシカさんがおっしゃるように、原発ゼロへの道を選択しなければ取返しのつかないことになると思います。

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