確定拠出年金制度

はたして老後所得増につながるか?

ご存じのとおり日本の年金制度は主に3つの階層があります。             国民年金(基礎年金)、厚生年金、企業年金です。※4つ目は個人年金        この中の企業年金が、2001年日本版401K法案成立によって「確定拠出年金制度」が拡大してきました。                                   そして最近この確定拠出年金ついて、新聞、テレビなどのマスコミなどで良く耳にするようになりました。

資産を運用して年金として将来受け取る「個人型確定拠出年金」の対象を広げる改正法案が5月24日の衆院本会議で可決、成立した。公的年金の支給額が目減りしていくため、自助努力で老後の生活資金を用意する選択肢を増やす狙い。2017年から原則誰でも加入できるようになった。                               これまでは、自営業者や企業独自の年金がない会社員ら約4千万人に限られていたが、主婦や公務員らにも広げ約6700万人が対象となった。  朝日新聞

2001年に法案として成立した確定拠出年金制度は、新しいタイプの企業年金でした。  すでに多くの企業が導入し、そこで働く方々は個人で運用されていると思います。   私もまだ働いていた頃、従来の適格退職年金確定給付年金)から確定拠出年金に切り替わり、個人で運用するようになりました。                             ではなぜ従来の企業年金制度からこの確定拠出年金に変わったのか?         もう十年以上も前のことですから次第に忘れられています。

今までの確定給付年金は、将来の「給付額が確定」しているのが特徴でした。      掛け金(拠出)は基本的に企業が負担し、拠出された積立金は年金資金として一括して株や債権などで企業が運用してきました。運用が失敗して積立不足になると、企業は掛け金を追加負担する責任が出てきます。                        こうした運用に失敗する企業が増え、一時社会問題になったことはまだ記憶にあります。法案成立の背景には、バブル崩壊後の不況下で、年金資金の運用利回りが低下し、確定給付型の年金は積立不足になったことでした。                     一方、確定拠出年金は「拠出が確定」しているのが特徴で、掛け金(拠出)の累計額とその運用収益が将来の年金額(給付)になる年金です。                私もこの年金制度がスタートした時、個人の専用口座が作られ、個人の責任で運用してきました。

2016確定拠出年金

この確定拠出年金にはメリット、デメリットがあります。              私は投資などには全く興味もなく運用知識も当然ありませんでした。         しかし、会社がその制度を導入したことで全社員が運用させられる形になり、何度かのセミナー(説明会)がありました。                              将来受け取る退職年金が、こうしたかたちで運用しなければならないという状況に疑問を持ったのは私だけではありませんでした。                     今では、金融や投資に関心を持つ若者が増え、又、将来の老後の不安から投資を始めるシニアの方々も多くいると思います。

今回の改正法案では「個人型確定拠出年金」ということで主婦や公務員などへの対象が広がることになりました。                               あくまでも年金制度のひとつですから税制上の優遇があり、関心が高まるのではないかと思います。                                    これも企業のリスク回避、個人の将来への不安、又、株式・投資という言葉やその行為が身近なものになってきた時代背景から制度そのものも変化してきたのでしょう。

「個人の責任で投資を行い、運用がうまくいけば将来受け取る年金が増える」     何かおいしそうな言葉ですが、その裏にはリスクが伴うことを忘れてはならないと思います。                                      投資に関心があり積極的に運用されている方がいる反面、そうでない方も多くいます。 投資に関心がなく金融情報を持たない方々が確定拠出年金(企業型)に半強制的に加入させられたわけですからうまくいくはずはありません。

ちょっと考えすぎかもしれませんが、、国民の資産を金融市場に流すことで株価に反映させること、金融機関の利益を拡大させることにつなげるようにも見えます。            そんな年金制度の改正よりも公的年金(国民年金、厚生年金)の改善をしたほうがよっぽど老後生活の改善につながると思いますが・・・。

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