介護士

介護士の処遇改善に思うこと

先日、母が入所しているグループホームから連絡が入りました。                     最近母の体調が思わしくなく、行きつけの個人病院での定期健康診断の結果、精密検査を受けた方がいいのではないかとのことでした。                   早速、個人病院からの紹介状を持って総合市民病院に母を連れて診察に行ってきました。

その時、市民病院側から日頃の生活状態や身体状況を把握している介護士さんも同席してもらいたいとの依頼があり、担当の介護士さんと一緒に出向きました。        その介護士さん(Kさん、50代後半女性)は夜勤明けでしたが、こころよく付き添っていただき病院の医師に対しても母の身体や生活状況を細かく説明していただきました。     昨日から12時間の介護を終え、更に付き添っていただけたことに感謝の気持ちでいっぱいでした。                                    介護職の仕事(残業扱い)とはいえ、家族としては心強い思いです。

病院の待合室で診察の順番を待つ間、その介護士さんと介護現場の実態について話す機会がありました。                                 昨今、保育士や介護士の労働環境や処遇改善について大きく取り上げられています。  Kさんは以前、特別養護老人ホーム(特養)に10年間勤めていたベテラン介護士ですが、実際の介護現場はたいへんな労働環境だったため(夜勤は40人の介護を二人で対応、朝は寝たきりの入所者を起こして朝食のお世話など)、自分の身体が壊れてしまう前に転職して今の施設(グループホーム)に移ったとのことでした。                         更に、ほとんどの老人介護施設で働く場合給料は安く、正規の男性介護士でも家族を養うことができないくらい低賃金だと話していました。

介護福祉士の給料と年収                                        事業所や役職、雇用形態によって異なりますが、一般的に施設で働く正規職員の介護福祉士の月給は手取りが15~17万円前後で、年収は250万円~400万円くらいが一般的です。  施設の場合は、夜勤が月に4日ほどあり、日曜日や祝日の当番もあります。変則勤務で肉体的、精神的にハードな割には、給与が見合っていないと言われ、給与面に満足できずに離職をする人も多くいます。  キャリアガーデンHPより

2016介護士給与  2016介護士の給与女性

政府は「ニッポン一億総活躍プラン」をまとめ、保育・介護職員の処遇改善のための労働法の改正などを盛り込んだ・・・。                                                       人手不足が深刻な保育士と介護職員の賃金は、来年度から引き上げる方針を明記。保育士は月平均6千円引き上げ、介護職員も月平均1万円引き上げる。 朝日新聞     

全産業平均で月10万円も格差がある介護職員の処遇改善は月1万円にとどまっています。

厚生労働省によれば、介護人材は2025年度には237万人~249万人必要と推定されていて、毎年6万人前後の人材を増員していく必要があります。              介護職には以前からいわゆる3K(きつい、きたない、危険)というイメージがつきまとい、敬遠されがちな業種であることはご存知の通りでしょう。せめて、給与水準が平均的なものであれば一定の求人を見込めるものの、現状ではそうなっていません。     ニッポンの介護学

将来の私たちと介護士との関わり

介護保険制度における要介護者、要支援者と認定された人は、今や600万人を超えてきています。                                    近い将来、現在60代後半の団塊世代の人たちが、要介護・要支援者に加わってくることから、更に増え続けることになります。                       私たちは介護を受ける側として、在宅であっても通所介護(デイサービス)などの制度を利用することになります。ましてや、特養やその他いろいろな老人養護施設に入所するのであれば直接介護士との関わりが深くなります。

私たちは将来、大なり小なり何らかのかたちで介護を直接受ける立場になります。     その時、介護士による質の高いサービス、家族同様親身になって介護してもらうことを望むと思います。                                ○○建設、○○銀行、○○商社、○○食品会社などの給与や労働環境には特に関心はありませんが、こうした介護施設で働く人たちの処遇には関心をもたずにはいられません。 給与は最低でも全産業平均並みに、又、十分な人材の採用でゆとりある手厚い介護を願うばかりです。                                  それは、自分の親のことでもあるし、自分自身や家族(配偶者、子ども)に直接関わってくる問題であるからです。                            このことは介護士だけでなく、保育士にも同じように言える問題だと思います。

病院の検査が終わり施設に戻ってきました。母を車の座席から車いすに移動させる時、施設の介護担当(30代男性)の方が手伝ってくれました。               母を抱きかかえ手慣れたように負担をかけずに車いすに移してくれました。私がやった時は「痛い痛い」と言ってましたが、さすがプロですね。               仕事とはいえ、母を大事に扱ってくれる姿に感謝しました。             彼は非正規雇用です。給与や処遇面においては正規の介護士に比べ更にその条件は低いものだと思います。

この間、母や義父、義母の介護に関わってきましたが、親のことはもちろん私たち自分自身の将来に直接関わる介護士や介護に携わる職業の方々の処遇改善を願うばかりです。

2 thoughts on “介護士

  1. 2015年度の介護報酬改定により、デイサービス(通所介護)は約10%単価が下げられました。介護職員の処遇改善加算は1.9%から4%に上げられましたが、事業所収入は差し引き約8%の減少です。その上,要支援1,2(介護予防)は介護保険から外され40%報酬削減です。要支援者の介護予防サービス(1か月包括払い)を主にしていたデイサービスは、例えば、1日(5時間から7時間)サービスから半日(3時間)サービスに切り替え午前と午後の入れ替えをするなど、人手を少なくするというように背に腹は代えられないと生き残りに必死です。私の勤務する法人では、介護職員以外の全職員にも処遇改善と同額の加算をし平等に賞与として支払っています。また毎年月1000円とわずかですが定期昇給も行っています。職員には長く働いてキャリアを積んでほしいと考え、研修参加や資格の取得などに報奨金や手当の加算などして積極的に応援していますが、長く働いてよい介護職に育ってもらうことと、人件費の高騰との間で、経営的には悩ましいばかりです。なぜなら、将来の介護報酬の削減は現政府の既定路線ですから、人件費を上げるなどは子供でも分かる引き算なのに滑り台を滑り落ちるばかりの事業に一生懸命取り組んでいることがばかばかしくなります。
    それでも、介護職の人件費は医療現場の看護師の半分と言いますから、私の職場の若いシングルマザーで意欲のある者には働きながら看護師の養成学校にいくよう勧めています。何人かがそれに応じて看護師免許を取得し、職場から「巣立って」行きました。介護職では子供を大学にまでやれません。
    私は、現状の処遇が続くなら、元気な高齢者が「年金+介護職(10万円)」で担っていくしかないのではないかと考えたりもします。
    政府も、「一億総活躍社会(高齢者と女性)」と「外国人研修制度(アジアの人の低賃金労働)」と「介護ロボット(新産業の創設)」で、介護の人手不足を埋めようとしているようです。私の職場の介護職員は、3日に一回夜勤をして(16時間を10回)やっと月給20万です。健康にも悪い働き方だとわかっていますが、介護保険の報酬がせめて看護師と同等の賃金が支払えるくらいになると働く人も増え、労働環境も改善されると思うのですが。

    1. mittyさん

      たいへん貴重な現場の声ありがとうございます。
      私は介護についてたいした知識や能力を持っていませんが、三人の親に関わり介護現場の実態を少なからず見てきました。
      大げさな話になるかもしれませんが、今日本は間違った方向に進んでいるように思えてなりません。
      ほんとうにこのまま進んでいいの?という疑問が深まるばかりです。
      今の生活や仕事の内容を考えた時、ほんとうにこれでいいの?一人ひとりが真剣に考えて、何らかの意思表示をしたいものです。

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