原発の闇

原発マネー、福島事故裁判、核のゴミ処理・・・

原発に関わる一連の問題が露呈

 

関西電力の「原発マネー」還流疑惑は世間に大きな衝撃を与えました。
こうした原発にかかわる不正、賄賂、不透明な資金の流れは今に始まったものではありません。
国民が納めた電気料金と原発交付金(税金)などが、様々な利権や利害関係によって不当に使われてきました。
まさに起こるべくして起きたものではないでしょうか。

 

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関西電力「原発マネー」疑惑を報じる大手新聞社の記事

関西電力は2011年以降、原発再稼働のために家庭向け電気料金を2度にわたって値上げしてきましたが、その一部が還流したのです。
関西電力だけでなく、原発を持つ11の電力会社は、原発再稼働のための追加工事費として5兆円を超える事業を発注しているようです。
まさにこうしたところにも原発再稼働利権が問われるのではないでしょうか。

 

こうした原発をめぐる疑惑が浮上してきた同時期に、
福島第一原発事故の刑事裁判において「無罪判決」が出されました。

 

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未曽有の被害をもたらした原発事故の刑事責任について、司法は「無罪」と判断した。
東京電力福島第一原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された勝俣恒久元会長ら東電の旧経営陣三人に対する刑事裁判。
本当に事故を防げなかったのか・・・。

約二時間四十分間続いた判決を読み上げ・・・、「三人の罪は認定できない」と締めくくった。
裁判長が閉廷を宣言すると、三人は遺族もいる傍聴席には目を向けず、立ち止まることなく、無表情のまま法廷を後にした。
「こんなの間違っている」。
傍聴人の悲鳴が、法廷にこだました。
東京新聞 2019年9月20日朝刊

告訴団の河合弘之弁護士は、この無罪判決について、
「原発についての肯定が判決のもとにある」と話されていました。
まさに核心をついたコメントだと思いました。

裁判の最大の争点は、敷地を超える大津波の襲来が予見できたかどうかでした。

国の地震本部は、福島県沖などでマグニチュード8クラスの津波地震が30年以内に20%程度の確率で発生すると予測する長期評価を発表していました。
東電の依頼を受けた子会社は08年3月、この長期評価に基づき、第一原発に「最大15.7mの津波」が到達すると算出し、その報告は経営陣3人に伝えられていたことが、公判で示されました。
ところが判決は、「大津波は予見できなかった」としました。

現在、原発被害者らが各地で提起した民事訴訟が行われています。
そして、東電に賠償を求めた判決が相次いでいます。
2017年の前橋地裁判決では、「東電は08年には実際に津波を予測していた」とし、予見可能性を認定しています。

また今回の判決は、「津波という自然現象は正確な予知や予測に限界ある」とのべ、「あらゆる可能性を考慮して必要な措置を講じることが義務付けられるとすれば、運転はおよそ不可能になるが、それは困難」と断定しました。
原発停止は、「ライフライン」にかかわるという理由を持ち出したものでした。

つまり前述した河合弁護士の、”原発の肯定が判決のもとにある” ということに他ならないと思います。
この原発の肯定は、安倍政権の「エネルギー基本計画」(閣議決定)にあり、”原発を重要なベースロード電源” とし再稼働を推進する体制を支持しているものです。

 

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「裁判所は原子力行政に忖度」の見出し

判決後、指定弁護士は、
「万一でも原発事故が起ってはいけないという発想があれば、こんな判決にはならない。裁判所は国の原子力行政に忖度した」

 

一般にCEO、社長、取締役・・・という経営陣は、どのような責任を持っているのでしょうか。
地位、名誉、権限、高収入などがあり、それに見合う責任があります。もちろんそのポジションになるためには、それ相応の能力も必要なことでしょう。
公判では、東電経営陣の「権限は私にはなかった」「関心を持たなかった」という発言は、組織のトップの言葉として耳を疑うものがありました。

 

16万5000トンの核のゴミ!?

 

こうした原発再稼働の動きの中、核のゴミ(放射性廃棄物)処理問題がいまだ決まっていないことにも注視しなければならないと思います。

再稼働してもそこから発生する核のゴミはどうするんですか?
すでに廃炉が決まっている原発のゴミはどうするんですか?

 

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原子力発電所のの廃炉が相次ぎ、今後大量の放射性廃棄物が発生する。
廃炉予定の18基について集計すると16万トン超にのぼり、これら廃棄物の行き先はいまだに決まっていない。
地下に10万年埋めておく必要がある放射性レベルが比較的高い廃棄物の規制基準はまだない。

原子力規制庁はこれまで「事業者が処理の方針を示さないと規制基準は作れない」との立場だった。
一方の電力会社は「規制を決めてもらわないと場所も設計方針も決められない」として基準作りの議論が約1年にわたり、止まっていた。
10月12日付 日本経済新聞

核のゴミ処理についてはこの程度のレベルなんですね。呆れます。

何も決まっていない状況の中で本当に再稼働してもいいのですか?
ゴミ箱がないのに無作為にゴミを出すんですか?
だったらゴミを出さない方法を考えた方がいいのではないですか。

 

 

原発優先で起きたブラックアウト

 

昨年9月、北海道胆振東部地震が起きました。
この時、全道停電(ブラックアウト)が起きて、北海道主力の農水産物に大きな被害が発生したことはまだ記憶に新しいです。
ブログ「北海道地震と原発」

なぜブラックアウトが起きたか?
これは、北海道の ”泊原発再稼働に向けた北電のもくろみ” と大きな関係がありました。
北電は、”原発ありき” の方針により、コストのかかる分散電源よりも苫東厚真火力発電所(とまとうあつま)への高依存(全道使用電力の半分)を選んだためでした。
本来進めなくてはならないLNG火力発電の稼働を遅らせたことも、ブラックアウトの要因になったと指摘されています。

元北電社員によれば、
「泊の再稼働ありきで老朽火力(苫東厚真火力)への対応は怠られていた」

 

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現在停止中の泊原発

今年9月、北海道旅で岩内町の海岸から撮影した泊原発。

 

東海第二原発への支援3500億円!?

 

東京電力が日本原子力発電(原電)への資金支援を正式決定する方針を固めた。
支援対象となる東海第二原発(茨城県)の安全対策工事費が、半年前の見通しより2割近く増えて約3500億円となり、東電の支援は2200億円を超すことも新たに判明した。
原電は東海第二原発の再稼働を目指しているが、周辺自治体から同意を得られるめどは立っていない。
東電は原発の経済性を理由に資金支援の意向を示していたが、福島第一原発事故で実質国有化された会社が、再稼働が見通せない他社の原発を支援することに疑問の声が出ていた。正式決定すれば批判が強まりそうだ。
10月18日付 朝日新聞

 

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東海第二原発の再稼働に茨城県民の7割以上が反対しているにもかかわらず、再稼働を推し進めようとしています。
こうした中、”実質国有化されている東京電力が支援?” ”それも2200億円?” 何を考えているのでしょうか!

■福島第一原発事故はまだ終わっていません。事故による避難者数はまだ5万人近くいます。
■事故の賠償や除染費用は国費が使われ、更に電気料金への上乗せがされています。
■放射能汚染水問題(トリチウム)はまだ続いています。
■原発事故を起こして刑事裁判は「無罪」?
■原発事故前も事故後も続けている政治献金やパーティー券購入問題

そして他社への支援?(2200億円)
もっとやるべきことはあるのではないでしょうか。

ブログ「東海第二原発」

 

原発にかかわるこうした一連の問題が、ここ最近露呈してきています。
こうした問題は今に始まったことではなく、原発が稼働してきた背景の中で起き続けてきたものだと思います。
原発マネーの不透明な流れ、事故責任、核のゴミ処理、汚染水問題、原発関連料金の電気料金明細書非表示など・・・。
あまりにも闇の部分が多いです。

これから再稼働にかかる莫大な費用や廃炉処理にかかる費用(放射性廃棄物)は膨大になるでしょう。
それらは全て国民が負担(国費と電気料金)することになります。
そして、その廃棄物は10万年埋設しなければならない?
一部企業の利益と利権のためだけに国民に負担を強いり、更には後世に莫大なゴミ(放射性廃棄物)を残すことになります。
私たちは原発そのものを真剣に考える時がきていると思います。

私たちが今やるべきことは、原発ゼロへの取り組みと自然エネルギーへの転換を早期に進めることが大事なことではないでしょうか。

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