冒険塾

 10人いれば10人の冒険がある          6月12日

 

35年間のサラリーマン生活の中で「冒険」という言葉は全く無縁でした。そんな言葉すら忘れていました。                              「冒険」というと、子どもの頃に夢中になって読んだ未知の世界の探検物語だったり、近くの雑木林や空き地で秘密基地を作ってワクワクした体験を思い出します。
一般的には、自然と対峙して危険に身をさらしながら達成していく行動を指したりします。そういう意味では、想像を絶する過酷な試練にチャレンジしていく姿を思い浮かべたりもします。ごく一部の限られた人だけが持つ世界だろうと思うのは私だけではないでしょう。

 

冒険塾1 冒険塾2

私は、登山用品にモンベルをよく利用します。そのモンベル主催の6月開講の「冒険塾」に参加しました。
塾長は、モンベル会長の辰野勇さんです。ご存じの方もいると思いますが、辰野氏は21歳の時にアイガー北壁登頂やカヤックでの黒部源流部初下降した登山家、冒険家でもあります。この「冒険塾」は、モンベル品川店で6月から毎月1回のペースで6回開講され、グレートジャーニーで有名な関野吉晴さんや、元F1ドライバーであり登山家でもある片山右京さんなどが講師としてお話される座学講座です。
第1回目は、辰野さんとゲストで作家の夢枕獏さんの「夢と冒険」というテーマでした。
(講座90分 受講料モンベルクラブ会員1000円、一般2000円)

この歳になって冒険?って冷やかに思われる方もいるでしょう。又、そんな超人的なことはできっこないと思う方もいるでしょう。たしかに「冒険」というと前述したように自分たちとは違う世界のことだと考えると思います。                                 辰野さんは講演の中で「10人いれば10人の冒険がある」又、「他人と比べることのない自らの冒険を目指す」ということをおっしゃっていました。
つまり、個人個人がもつ夢や、やってみたかったことにチャレンジしていくものだと思いました。今の自分のレベルより届きそうで届かない目標に挑戦していくことや今までやったことのないことを実践してみることも「冒険」という範疇にとらえるとすれば、誰もが身近に感じる世界なのではないでしょうか。そう考えると「思い切ってトライしみよう」とか「今は無理だが準備してトレーニングを積めば来年にはチャレンジできそうだ」など、心おどる気持ちや張り合いもでてきたりします。                                                   ごく限られた一部の人がチャレンジする「冒険」は、私たちに大きな「夢」を与えてくれます。自分にはけっして出来ないが、実際の話を聞いたり見たりすることで感動を得られます。そしてそのことは「他人と比べることのない個人の冒険」に引き継がれていくのではないでしょうか。

「いつかあの山の頂に立ってみたい」「毎日のジョキングからマラソンに挑戦してみたい」「自転車で日本一周してみたい」などなど・・・。個人によっていろいろな冒険のあり方があると思います。                                                         又、辰野さんは講演の中で「やりたいことがあったらすぐにやるべきだ」ということもおっしゃっていました。これは前置きで退職したシニア向けでもありますが「やりたいことをやらずに後悔するよりも、結果失敗しても自らの意思でやったことは後悔しないもの。そして修正や改善ができ再チャレンジできるもの」と結んでいました。

私が考える冒険にもうひとつ付け加えたいものがあります。それは「打算ではない」ということです。冒険という言葉は、いろいろな意味で使われたりします。一攫千金、一か八かの勝負、などという損得において運を天にまかせるような意味合いのものです。 私にとっての冒険は、損得勘定のない純粋なものであってほしいと思います。結果的には自己満足かもしれませんが、得るものは気持ちの上での達成感と充実感です。

辰野さんは最後に「皆さんそれぞれ今が一番若い時ですよ!、だからこそ自らの冒険にチャレンジしようじゃないですか」と。たしかにどんな年齢の人でも明日になれば1日歳をとります。特に60歳を目の前にした年齢になれば健康寿命も考えるようになり、又、定年退職された方にとっては更に意識するものと思います。辰野さんの言葉を借りて言えば「だからこそ自らの冒険を悔いなく楽しみましょうよ」と伝えたい気持ちです。

 

山の専門誌「岳人」に想うこと

 

岳人1 岳人2

登山を愛好する方にとって「岳人」はよくご存じだと思います。書店に行けばアウトドアコーナーには必ず「山と渓谷」と一緒にこの月刊誌が並んでいます。最近では登山ブームもありいろいろな山歩きの雑誌が刊行されています。私も登山をはじめてから何度かこの山岳雑誌を購読してきました。

後で知ったことですが、この「岳人」は昭和22年に京都大学の山岳部によって創刊されたもので、その後昭和24年以降、中日新聞社によって発行され、今年2月には800号を超える伝統ある山岳誌だそうです。そして今年8月発売の9月号からモンベルが引き継ぐことになったようです。その誕生の経緯からして、現代でいう情報誌としての位置づけではなく、登攀の記録や報告などを扱った先鋭的な山の専門誌だったようです。私が購読するようになった最近では、他の雑誌と同じようにごく一般的な山の情報を扱った記事も多数ありました。しかし、「山と渓谷」に比べると私のような趣味としての山歩きをするオヤジにとっては、高いレベルの専門的登山雑誌というイメージがあったことは確かです。気軽に誰でもが登れる山情報、ちょっと背伸びして登ってみたい山情報となるとどうしても「山と渓谷」に手が伸びてしまいます。
言葉を変えれば硬派的な雑誌ということもあり、発行部数も伸び悩んだのではないかと思います。

辰野さんが編集長を務めるということにちょっと驚きでしたが、辰野さんいわく「岳人が育ててきた伝統を守り、山を文化として、文学として捉えられるような編集方針で、山の文芸春秋をめざす」とおっしゃっていました。                                   私個人としては、ハードからソフトへの転換は歓迎しますし、あの深田久弥の日本百名山のような「文学」として山を捉えていただけるのであれば面白いと思います。
読者の期待に応えていただけるよう見守っていきたいと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。