信州の友人を訪ねて

無農薬栽培のぶどう農園

長野でぶどう栽培を生業としている友人に会いに行ってきました。            20年前、東京から長野の東御市(当時は東部町)に移住して、ぶどう栽培をはじめました。毎年のように訪れて収穫や配送のお手伝いなどして親交を深めてきました。       当初から無農薬栽培の志を持ってはじめたことから、安定した収穫までには数年かかったようです。                                     先祖代々ぶどう農園を受け継いできた地元の農家からは、当然のごとく「白い目」で見られ、「そんなことしてたら収穫できない」などと陰口をたたかれきたそうです。      それでも、従来のぶどうの木自体の育成方法を変え、除草剤を使わない草生栽培に徹して土壌改良を図ったり、果実本来の甘味と旨みを保持するために化学調整のジベ処理を行わない栽培などを続けてきました。                           ※ジベ処理:植物ホルモン剤のジベレリン(植物成長調整剤)             種なし、大粒化、収穫量の安定化を目的に一房一房をこの溶液に浸していく処理のこと。

こうした苦労を重ねてきた結果、今では他の農家も育成方法を変更したり、草生栽培を真似るようになり、農協も推奨するまでに至ってきているようです。            しかしながら、生産者の収益を大きく左右するジベ処理は、大半の農園で継続されています。消費者の要望や売れる商品化(種なし、大粒、見栄えなど)と生産者にとっての収穫量の安定化にはかかせないためです。                         この処理は、人体に特に影響がないとのことで全国的に普及されている栽培方法のようです。

巨峰6  安芸クィーン

巨峰4  シャインマスカット2   昨年9月、友人のぶどう農園を訪れた時のお手伝い

友人は自信を持って消費者(お客様)に提供するために、「生産者の顔」がはっきり伝わる販売方法として、農協にはほとんど出荷しないで全て直接顧客への配送に徹しています。農園を拡大することなく、一房一房丹精込めて作られるぶどうは絶品です。      私たちは、スーパーや果実店などで大量に販売されている「種なしぶどう」に今では慣らされてしまっています。                                 逆に今では「種あり?」と言って敬遠されるのではないでしょうか。ぶどう本来の旨みと甘味は、食べ比べたら一目瞭然です。                          (種なしぶどうの場合、甘味料のような不自然な甘味があり、コクがない薄い味)

TPPで合意した関税の扱いが公表されました。農水省の発表では、果実ではぶどうの関税が即時撤廃です。友人の話では、地域の農協や生産者の会合などでは、特に話題になっていないようです。                                  今年の収穫状況は、天候不順によりほぼ壊滅状態だったようです。昔からこのエリアはぶどうの栽培に適した土地でしたが、地球の温暖化や農薬による土壌の変化などによって収穫が厳しくなってきていると語っていました。それに追い打ちをかけるTPP問題ですからいっそう厳しい状況になってきているようです。

それでも、美味しく安全な商品を待っているお客さんにぜひ食べてもらいたいと言って目を輝かせていました。                                 別れ際、「来年は自信を持って届けられるぶどうを作ってみせる」と言っていた笑顔が素敵でした。

2 thoughts on “信州の友人を訪ねて

  1. 一房一房愛情を込めて育てられたことが美味しさに出ていることでしょう。
    こちらアメリカでは大量生産のため美味しいと思った果物に出会ったことがありません。ぶどうの収穫を見ても地球の温暖化が進んでいることは明らかですよね。
    日本ではこのことは定着した見解となっていると思いますが、アメリカではまだ大半の国民は地球温暖化はリベラルとサイアンティストの陰謀だと信じているそうなのです。
    アメリカの傲りが環境破壊に拍車をかけているのを国民は全く否定している現状です。

    1. ジュリーさん

      コメントありがとうございます。
      今朝NHK放送でフランスのワインづくりのぶどう農園を紹介する番組がありました。地球温暖化の影響で今までと大きく自然環境が変わり、納得のいくぶどうの栽培と収穫ができない状況になってきたというものでした。
      まさに地球規模で環境の変化が起こっていると思います。
      特に自然を相手にする農業に携わっている方々は、その状況を敏感につかんでいます。
      私たちも何ができるか、何をしなければいけないか真剣に考えていかなければならないことを今回の友人の話から痛切に感じました。

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