1970年代~東京に憧れた上京ソング
70年代の中頃、静岡の片田舎から大学進学のため上京してきました。 当時、受験会場となっている大学構内は、学園紛争の影響によりロックアウト状態になっている大学もありました。機動隊の列が校門から校内にかけて一直線に伸び、その列の中を通って受験会場(教室)に向かった記憶があります。又、受験している時も教室の外からハンドマイクのシュプレヒコールの声も聞こえてきました。 70年安保も下火になる中、マスコミから「三無主義」と揶揄される世代でした。
先日、BSTVで「あの年この歌~時代が刻んだ名曲たち~」というタイトルの番組がありテーマは、1976年「夢と憧れの上京ソング」でした。 番組では、この時代大学進学率も高まり、又、専門学校の充実もあり、学業を口実に憧れの東京に出て行く若者が増えてきた、と指摘していました。 当時私もそうでしたが、地方から見る東京は若者にとってバラ色のような魅力を持っていたことは事実だったと思います。進学して更に自分自身を高める志はあったとしても、一方では、「東京に行ける」という不純な動機も少なからずあったと思います。
地方から上京してくる受験生のために、当時、代々木の東京オリンピック選手村がその宿泊所として開放されました。各地方から来た学生が、数日間から数週間格安で泊まり、そこを基点に各大学の受験会場に足を運びました。一室四人部屋で同じ志を持つ者同士ということもあり、すぐに親しくなり、受験のこと以外にこれから「憧れの東京で暮らす」胸の高ぶりやその思いを熱く語り合ったものでした。
当時の私たちにとっては「上京ソング」なんて言葉自体思いもつきませんでした。 そしてあの時代に流れていた曲を聴けば、あの懐かしい頃を思い出すといったものです。 番組としては、この時代を振り返って総括してみれば「上京ソング」という言葉があてはまると強調したかったのではないかと思います。 ともあれ、当時のその曲を聞けば「憧れの東京への想い」が蘇ってきます。
その① 自分を鼓舞する歌 チューリップの「心の旅」 1973年に発表された曲ですが、当時としてはやはり強烈に残っている歌のひとつです。
その② 東京に出た者を想う歌 大田裕美 「木綿のハンカチーフ」 「♪都会の絵の具に染まらないで帰って」という歌詞は、田舎に残る彼女の想いが伝わってきます。
その③ 東京から田舎へ帰る歌 イルカ 「なごり雪」 私は、この曲を聴くと大学卒業の頃の当時通った駅の風景が蘇ってきます。
どういうわけか青春時代のソングというものは、しっかり頭に刻み込まれているように思えます。卒業後、仕事、結婚、子育てという月日を重ねる中でのソングは、あまり残っていません。それだけがむしゃらに過ごしてきたのかなと思ったりします。 誰にでもそういう時代があり、その曲を聴くとその時の場面や情景が浮かび上がってくるのではないでしょうか。
そして、その憧れだった東京(首都圏)で過ごすこと40年。憧れではなくなったものの18歳で上京した時の「憧れの東京」は今でも新鮮な想いで残っています。
「懐メロ」という言葉があります。何か古くさいイメージとして、あまり使いたくない思いがありましたが、こうしたソングはまさに懐かしのメロデイーなんですね。