2015キャンピングカーショー

キャンピングカーとリタイア生活を考える

高級志向と軽キャン低価格の2極化に特化

年1回のキャンピングカーの祭典が幕張メッセにて開催されました。過去最大約300台のキャンピングカーが展示された「ジャパンキャンピングカーショー2015」に行ってきました。

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現在使用している車(バンコン)は、ちょうど2年前この祭典で購入したもので、私たち夫婦にとっては3回目のショーの見学になりました。わずか2年でこれほど変わるものかと思うほど進化してきています。いろいろな車内の機能や設備関連はデザインも良く使いやすいようになってきていました。                          しかし、そうした機能(電化、バッテリー、ソーラーなど)や設備(キッチン、トイレ、シャワー、素材の高級化など)の拡充は、当然価格に反映され高額化されてきています。  一方、車中泊をコンセプトにした車は、必要最低限の機能・設備を有するだけで就寝スペースを確保した軽自動車(軽キャン)やミニバンの改造車などがあり低価格で提案されています。前者は欧米の高級車(1千万円以上)を除き国産車で700万円以上、後者は200~300万円台に集中していました。

IMG_4684  IMG_4681IMG_4686  IMG_4692  外国、国産車も含め700万円~1000万円台のフル装備高級キャンピングカー

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IMG_4698  IMG_4697  低価格の軽キャンやミニバン。車内が狭いため、その解消策としてPOPUPルーフ型の車が多かったです。POPUPは就寝もできますが、どちらかというと荷物を置くスペースとして使われるようです。

より実践的な機能・設備の充実

現在の車(ハイエース)を利用してのくるま旅は1年半になります。実際に活用してみてこんな機能があればいいな、こんな設備が付加されていればいいな~、なんてよく思ったりします。そんな要望を満たしてくれる機能・設備が提案されていました。

IMG_4693  IMG_4694  フロント回転シート。バンコンでもベットや棚、冷蔵庫、水場、収納庫などの設備を設置するとリビングのスペース(空間)が狭くなります。こんな風にフロントシートが回転して利用できれば空間が広がり、一般的な後方座席の必要性がなくなります。

IMG_4691  IMG_4689  網戸。完全設置型の網戸です。マジックテープなどで簡易的に設置できますが、これは引き戸式で簡単に開け閉めできます。実際に車中泊してみてその必要性を痛感する設備ですね。特にハイエースなどのバンコンの場合、ドアが広く開き過ぎ車内が丸見えです。その点この網戸があれば目隠しになり一石二鳥です。まさに経験から生まれた逸品だと思います。

IMG_4703  2015キャンピングカーショーリチウム電池  家庭用エアコン。車中泊を快適に過ごせる季節はいつでしょうか?答えは春、秋、冬です。アウトドアやキャンプ、バーベキューと言えば夏ですが、その夏こそ車中泊には不向きです。 なぜなら寒さはFFヒーター、毛布、厚着などの対策でその対応は充分できますが、暑さだけは対応ができません。これはまさに私たち車中泊の経験からです。車のエアコンをかけっ放し(アイドリング状態)では周りに迷惑をかけるし、環境にもよくありません。以前よりエアコンがあればいいな~と思っていましたが、バッテリー問題でほぼ不可能でした。しかし、今回「キャンパー鹿児島」が提案した車載用リチウム蓄電池システムKULOSは、長時間のエアコン稼働でも対応できるものです。これさえあれば季節に関係なく快適な車中泊を楽しむことができます。その分価格に反映されますから、あとは使用される方の価値観の問題ですが・・・。                     ちなみにこのキャンパー鹿児島は、私たちがキャンピングカーを購入した販売会社で、リチウム蓄電池システム搭載車は同じ車種のremでした。2年間でこれほど進化しているとは!う~ん残念!

このように今回の祭典では、少なからず経験から基づいた実践的な機能や設備が充実してきた点では収穫がありました。

これからの実用的なキャンピングカーは?

キャンピングカーショーに関わらず定期的に行われる○○ショー、△△ショーなどは、未来や次世代型の憧れ、夢を追った提案がメインになってきます。それはそれで意味のあることだと思います。                                今回の祭典もそうした意味合いの提案もあり、観る側にとっては面白いものとして楽しませてくれます。しかし、実際に購入できる価格帯か?といえば現実性がないと思いました。又、これだけの機能や設備がほんとうにいるの?といえば、これもまた疑問が生まれてきます。更に、こんなでかい車体を運転できるの?旅先での駐車スペースは?といえば、今の日本の道路事情や公共駐車場からみて現実離れしたものになってきます。いくら   車好きといっても相当な運転ストレスがかかってくることは否めません。        そんなこと言ったらショーにならないといえばそうですが・・・。

もうひとつ忘れてならないことは維持費です。やっと手に入れた憧れのキャンピングカーは大事な大事なものです。当然車両保険にも加入するでしょう。その他駐車場やメンテナンス費用、税金などを含めれば乗らなくても年間40~50万円かかります。特に車両保険は本体価格に比例して上がっていくので、高額車になればなるほどその費用は膨大になります。                                      今回の祭典では冒頭で2極化の話をしましたが、フル装備の高級キャンピングカーが拡大してきたという点では、はっきり言って富裕層を対象としたショーという感はありました。一方で軽キャンやミニバンの展示車も多く見られ、増加してきた車中泊ユーザーにとっては嬉しい限りです。

では、これからのキャンピングカーはどうあるべきか。又、どのようなタイプの車が望まれてくるかを考えてみました。                           一般的にキャンピングカーと言えばフル装備の大型車をイメージします。これは広大な土地から生まれた欧米からの輸入車にはじまります。日本でいうキャンピングカーは、狭い土地と道路事情、又、商業施設環境(道の駅、コンビニ、高速SA、温泉など)を充分に考慮したものであってほしいと思います。フル装備=キャンピングカーという名称は残すものの、これからの日本においては「軽装備=車中泊カー」みたいな感じの名称で分けてもいいんじゃないかと思います。前者のキャンピングカーはなくならないけれど拡大はしないと思います。ほとんど使われない富裕層の贅沢品にとどまるのではないでしょうか。

2014年キャンピングカー白書では、ユーザーの年齢構成では60歳代を中心に50歳以上が71.4%を占めます。又、車種ではバンコンと8ナンバー以外(軽キャンなど)の2種類で72.3%を占めました。この車種はほとんどが軽装備=車中泊仕様です。そしてこれらの車は年々増え続けています。                             ユーザーの年齢層は60歳代が中心になっています。これは定年退職後のセカンドライフをくるま旅で楽しもうという世代のあらわれだと思います。しかし、経済的に勝ち組であった団塊世代はすでに60代後半にきています。今では定年退職でも経済的ゆとりがなく継続雇用が拡大してきている中、更に公的年金の削減や給付年齢の繰り上げなどによって将来への不安が増えてきています。経済的、時間的な余裕のあった時代ではなくなってきているのが現実です。                              毎日の生活に使用する乗用車の他にキャンピングカーを持つゆとりや時間的な余裕もなくなってくるのではないでしょうか。そうした中であまり経費のかからない国内旅行、くるま旅をしてみたいという要望は強く、普通乗用車での車中泊が増えてきている要因ではないかと思います。                                 とすれば、毎日の生活にも使用でき、車中泊にも快適に使える車が必然と求められてくるのかなと思ったりします。                             くるま旅は、ガソリン代が気になる。トイレや水は全国に道の駅、コンビニ、SA、公園があるので必要なし。シャワーはこれもまた全国に日帰り温泉や銭湯があるので必要なし。食事も全国に郷土料理やB級グルメ、更にコンビニ・地元スーパーで安くて美味しい惣菜物が手に入るのでキッチン設備やレンジは不要ということになります。           それじゃキャンピンカーの車内で楽しむことができないんじゃないの?ということになりますが、ユーザーの圧倒的なくるま旅の目的は、温泉や観光地巡り、又、その土地の美味しい料理を楽しむことです(2014年キャンピングカー白書)                   更に、狭い道路では運転に気を使うし、どこでも駐車しやすい車がいいということになります。価格だけでみれば軽キャンは魅力で一人旅にはいいかもしれませんが、夫婦二人では狭すぎます。

以上のようなキーワードからみた時、これからのキャンピングカー(車中泊カー)は、最低条件でハイブリッド車、ミニバン(又は普通バンタイプ)のハイルーフ型、ベット完全設置型、冷蔵庫と収納設備付きが理想です。欲をいえば家庭用エアコン、フロント回転シートがあればより快適に過ごせます。価格は500万円以下ということであれば車両保険もそれほど高くなく、維持費も抑えられるのではないかな~なんて勝手に思ってます。

これから働きながら、又、退職後のセカンドライフを経済的に且つ楽しくくるま旅ができるようにするためには、こうした仕様のキャンピングカーがあればいいのではないかなと今回の祭典を観て感じるものがありました。