国民1人当たり10万円給付

給付の本来の趣旨

「生活苦」の国民の想い

 

4/16日、コロナウィルス感染拡大に伴い、その対応策として政府から二つの事柄が出されました。
それは、「緊急事態宣言」が全国に拡大されたこと、「国民一人10万円を給付」する考えが表明されたことです。

緊急事態宣言は、GWを見据えて特に都心部から地方への移動を極力抑えて感染拡大を防ぐためのものでした。

10万円給付については、今まで野党から何度も国会で提起されてきたものでした。
政府はこうした国会での提起や議論を軽視し、「一部世帯への30万円給付」に固執して閣議決定してきた経緯があります。
しかし、疲弊する国民世論の強い要望で、”線引き” から ”全国民への給付” に舵がとられました。

 

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私はこうした対応になった経緯を改めて考えてみました。
それは、私たち国民の声がしっかり反映するための国会審議です。

今回の給付(10万円)提案は、各野党から様々なかたちで全国民対象案として提起されていましたが、政府はそのことに耳を貸さず政府内で独自に決めた給付案(線引き30万円)を強引に決めました(閣議決定)

このような例は、過去の国会審議でも、野党議員の意見や質問に対し全く耳を傾けないことが何度となくあり、繰り返されてきました。そして最後は多数議席の下に強行採決してきた経緯があります。

今回の件では与党内からも異論や疑問視する声が上がっていました。
国政選挙で議席を獲得したとはいえ、あくまでも死票の多い小選挙区制度においてです。
実際に獲得した得票は野党票の方が多いんです。
政府支持票よりも過半数を超えている国民の声にしっかり耳を傾ける必要があるのではないでしょうか。

 

「電子マネー給付」発言???

 

10万円の現金給付は、「一律給付」で決まりました。
自己申告による給付のようですが、各種税金や社会保険料納付データ、年金給付データ、住民基本台帳やマイナンバーなどのデータから自動的に支給されれば早いと思います。

こうした中、TV・ネットニュースや関連番組では、給付方法に関していろいろな案が出されていました。
中でも経済同友会の桜田代表幹事から「電子マネーの給付が望ましい」という発言がありました。

現金給付ならば、貯蓄に回る可能性もあるが、電子マネーなら ”消費力を維持するのにつながる” 

と強調されていました。

「電子マネーの給付」?
いったい何を考えた発言なのでしょうか!?、それって本気で言ってるの? とカミサンと顔を合わせ呆れてしまいました。

まずは限度額ってあるんじゃないの?、高齢者や利用していない人には分からないんじゃないの?、使うことができる場所(商店)が限られているんじゃないの?・・・。
こうした疑問は多くの人が感じるものでしょう。

この発言に関して、藤田孝典氏は、(NPO法人「ほっとプラス」理事、「下流老人」筆者)

私はこの意見に賛成・反対する以前に脱力感を持った。
また、よくこのような自己中心的な考えを国難の時期にも、恥ずかしげもなく表明できるものだと呆れてしまった。
そもそも消費力を維持するための現金給付なのか、政策導入の主旨、生活苦の市民の想いも考えられないのだろうか。

私も藤田氏の指摘のように、今回の給付は「消費力の維持」ではないと思います。
困っている人はすぐにでも消費するでしょう。又、先の見えない事態の中で生活に不安を感じる想いに応える意味もあるでしょう。

 

「手を上げた人に10万円」??(麻生大臣)

 

17日のTVニュースで、麻生財務大臣が記者会見の場で今回の10万円給付についてこのような発言をしていました。

「手を上げた方に1人10万円ということになる」
「富裕層の方々、こういった非常時に受け取らない人もいるんじゃないか」

又、リーマンショック後の2009年に実施した「定額給付金」に触れて、

「あの時はこちらから決めて一方的に1人1万2千円を支給した。今回は、それを要望される方々ということになるので、前回とは違う」

えっ!、国民全員に給付されるんじゃないの?、首相が「一律給付」だと述べているのに、一律ではなく「手を上げた方」という限定給付???
この発言を聞いて、またまたカミサンと顔を合わせ呆れかえってしまいました。

手を上げた人というのは、申請を自分で行った人を意味し、いわゆる自己申告制を取るということなのでしょうか。
”なんとも言えない上から目線” という感じで不快感を抱きました。

先にも述べましたが、各自治体が有するデータに基づき自動的な給付が適切・迅速ではないかと思いますが。

この発言に対しても、藤田孝典氏は、

要望される方々が勝手に申告すればよいという態度だ。
市民に対して積極的な給付への意欲は一切感じられない。市民に支給することが本当に嫌なのだろう。
富裕層は暗に「受け取るなよ」という意図を強く感じるものである。
一律給付なんだから当然もらっていいし、もらうべきである。
むしろ私は、日本にこれを機会にした富裕層や高額所得者の寄付文化を醸成したいと思っている。
彼らは10万円を受け取り、自分の判断で寄付する先を決めてほしいのである。
10万円なんて配布されても何とも思わないのではなく、何か社会のことを考えて行動してほしい。

まったく同感です。

一国の財務大臣たる人が、国民の痛みが分からず安易な不公平発言をするなどとんでもないことだと思います。
寄付活動というのも社会のためになる方法のひとつだと思います

 

又、財務省幹部が、当初の30万円給付(一部世帯の線引き)から全国民一律給付に変更されたことを受け、

「本当に困っている人への支援を手厚くするという当初の趣旨は完全に覆った」と発言。

この発言を聞いて、またまた呆れかえりました。

当初の30万円給付案は、世帯主が対象、収入が半減、住民税非課税水準などなど・・・、あれこれの条件付きです。
申請が複雑で対象が限られ、不公平をつくりだす内容でした。結果、受給対象となっていても受け取ることができないことも多分に予測されます。
「対応としてこれだけのことをやっている」という既成事実だけをつくり ”かたちだけ” のものになっています。

こうしたことは、30万円給付案に限らず「雇用調整助成金制度」においても言えることではないでしょうか。
申請手続きが複雑で時間がかかることから、受理件数が少ないと言われています。
これも本来受給できる制度であっても、実際は利用するに至らない企業も出てくるのではないかと思います。

>本当に困っている人への支援

であれば、いろいろな条件を付けずに、すべての人を対象にすることが、スピードという点でも不公平を生まないという点でも、有効な方法だと思います。
こうした対応や制度は、”かたち” ではなく ”中身” ではないでしょうか。

 

日々の生活費や借入金の返済以外にも、月々の家賃や住宅ローンの支払い、5月には固定資産税や自動車税の納付、その他社会保険料や任意保険の支払いもあるでしょう。
私たちの生活は待ったなしで動いているんです。

今回の給付は1回だけに終わらず継続的なものにすることも必要だと思います。
又、「休業補償」も同時に行うことが望まれます。

12 thoughts on “国民1人当たり10万円給付

  1. すーさん、お元気そうで何よりです。

    言い方とか、上からでも下からでもいいので困ってる人に早く配って欲しいです。

    世帯主に連絡がいくという事は、DV被害で隔離されてる親子や児童相談所に預けられてる子供
    など取りこぼしが出てきます。
    個人にいきわたるように工夫が必要です。

    自民党は支持率低下で世論の声をきいた10万でしょう。
    コロナが続く限り何回か配られると思います。

    嫌味ではなく、
    コロナ後、生き残った企業は内部留保を貯める事から始めるでしょうね。
    今まで惰性でやってきた会社は、休業補償という少額の援助では生き残れないです。
    内部留保せずに、株主や従業員に還元してきた会社(ホワイト?)は遣り繰り難しい。

    すーさんは、趣味が山歩きですし自家用車で麓まで行かれるので危険が少なくて羨ましい。

    1. ヒロさん

      お久しぶりですね。

      >DV被害で隔離されている親子や児童保育所に預けられている子どもなど取りこぼし

      まったく同感です。
      世帯主に申請書が郵送されるということは、こうした様々な事情を抱えた個人にしっかり届くかどうか分かりません。
      ヒロさんがおっしゃるように個人に行き渡るよう何らかの工夫が望まれます。

      >生き残った企業は内部留保を貯めることから始める

      こうしたことも十分考えられますね。
      法人税を払わないことや税逃れ、人件費抑制のために非正規雇用の拡大を更に進めていくでしょう。
      自由経済であっても企業の社会的責任はあります。
      お客様や従業員あってこその会社(組織)ですから、そのことを疎かにする企業は支持されなくなるでしょう。
      又、政治による規制(税制、労働基準法など)も進めていく必要があると思います。

      今は外出を自粛していますよ。登山もくるま旅も外出することで何らかの障害が出てくると思いますので、日常の買い物以外外出していません。
      時々は、近くの河川敷や土手沿いの遊歩道などでランニングやサイクリングする程度です。
      こうした運動も十分注意しないといけませんよね。

      コメントありがとうございました。

  2. 毎回ブログ記事を楽しく拝見させて頂いております。
    各位が対応している中でも、コロナの収束がなかなか見えない状況下、自粛
    要請は当面延長されるのかなと勝手に推測しています。
    今でも苦境に立たされている方が多い中で、更なる我慢を強いられるのは大
    変な事だとは思いますが、効果的な処方薬が確立するまでは全面的な自粛解
    除は難しいのだろうと思います。先が見通せない事は本当に辛いなと思いま
    す。買い物の回数を減らす事。早朝散歩で新鮮な空気を一杯に吸い込む事。
    苛々しないと自分に言い聞かせる事。等々でこの苦境を乗り越えられれば
    なぁと願っています。

    1. ムクさん

      コメントありがとうございます。

      これだけの感染拡大が起きるとは誰もが予想しなかったことではないでしょうか。
      多分、自粛要請は延長されると私も思っています。
      今は我慢の時ですよね。

      日々のTV放送などでは、遊び目的で遠方に出かける人が多いと連日報道されています。
      普段であればその土地の人たちも歓迎してくれますが、今は迷惑と思う気持ちがあるでしょう。
      個人個人が節度も持って行動したいものですね。

      まだまだ続くようですのでお身体には十分気を付けてください。
      またコメントくださいね!

  3. すーさん ブログ拝見しました。
    10万円支給ですが、「とりあえずこれで今を生きて下さい」と言えば、
    国民は、食費費くらいと思って、評価するでしょう。
    何故、リーダーは、きちんと伝えられないのか、疑問です。
    多分、リーダーをやったことのない頭の賢いスタッフが、裏で小賢しい
    策をめぐらせているのかなと思います。

    TVやネットで思いつくように様々な意見が出ていますが、あっさり
    自治体と民間に任せた方がよいと思います。
    もらったお金は、個人が寄付してもよいし、消費してもよいと
    割り切り、NPOやクラウドファンディングなど色々と支援する活動も
    あるので、任せるという方が、最も早いと思います。
    私も会社の後輩が、京都でクラウドファンディングを使って、ホステルを
    立ち上げましたが、今回の騒ぎで休業しました。
    早速、宿泊の前売りをクラウドファンディングを使って、生き残りに
    がんばっています。
    その皆でがんばろう、お客さんを守ろうという信条には、感心します。
    当然、立ち上げの時も、今も資金協力しています。

    もう少し、皆がこのような思いを持ってくれたら、世の中もうまく
    ゆくような気もしています。
    すーさんご夫妻も登山できないストレスがピークになっていると
    思いますが、頑張りましょう。

  4. すーさん、ちょっと追加まで。
    ブログにあった雇用調整助成金制度ですが、現役時代に使ったことが
    ありました。
    ものすごく申請が厳しく、結局、生産ラインで働く人を対象にしか
    できませんし、自宅待機させないといけないとか、現実的には大企業で
    専門スタッフがいないと申請ができないような制度です。
    おまけに、受理まで半年かかるようなものでした。
    なんとかしてほしいものです。
    ご参考までに。

    1. あらちゃんさん

      >多分、リーダーをやったことのない頭の賢いスタッフが・・・。

      政策立案や法案作成など官僚と言われる人たちが主にやっているようです。
      今回の緊急経済対策の108兆円財政投入やアベノマスク配布などがいい例ではないでしょうか。
      こうした立案に当たって様々な利害関係や忖度というものが発生してくると思います。
      政治家や財界人、官僚など、どういう立場に立って仕事をするのか?
      現状では自分たちの利害しか考えていないようですね。
      国民の命や国民生活を第一に考え、そのためにどうような対策が必要かを提起・実行してほしいものです。

      10万円の使い道は、それぞれ個人が判断すべきものだと思います。
      あらちゃんさんがおっしゃるように、個人消費はもちろん、寄付、NPOやクラウドファンディングなどに支援することもいいのではないでしょうか。
      そんな中、広島県知事の発言にはビックリしましたね。
      「殿、乱心か!」というコメントあったそうです。まさにそのとおりですね。

      雇用調整助成金を利用されたことがあるんですね。
      申請が複雑で難しいと言われていましたが、やっぱりそうなんですね。
      実際に使ったことがある人が言うんですから間違いないようです。
      今朝のニュースで東京都の協力金申請する個人事業主のインタビューがありました。
      申請が煩雑で時間がかかると話していました。
      こうしたことも簡単にスピーディにできることを望みますね。

      貴重な経験談とコメントありがとうございました。

  5. すーさん、こんな為政者を見てるとストレスが溜るだけで辛いですね。

    そもそも為政者は、「修身・斉家・治国・平天下」と言われるように
    「自らの徳を磨いて」「家庭をととのえ」「立派な政治を行い」「天下を
    平らかにする」からこそ、国民の支持や協力が得られるものだと四書五経に
    書かれています。
    首相は「令和」と言う元号を万葉集から採用したように、四書五経が嫌い
    なんでしょうね。

    ご存知だと思いますが昭和は「百姓昭明にして、万邦を協和す」であり、
    平成は「地平らかにして天成る」のように、国民の穏やかな暮らしを願って
    四書五経から採用したんですね。

    ところが近頃の政治家は○○ファーストばかりで、党利党略・私利私欲が顕
    著な政治屋ばかりの様な気がします。

    だから「給付の本来の趣旨」は、国民の想いに寄り添っていないと思いま
    す。と言うのも連立政党から、これでは次回の選挙で支持者の理解が得られ
    ないが、いいのかと釘を刺されたみたいですね。

    つまり先回の様に下野はしたくないが「本来の趣旨」なので、あんな発言が
    閣僚や官僚から出てくるのではないでしょうか。
    また家庭をととのえれない結果が花見や旅行であり、カミさん一人説得でき
    ない首相に国を任せるなんて言語道断な気がします。

    ところで、国は給付と言う手法が好きなようですが、本来は国民が納めた税
    金なのに、恵んでやるから感謝しろと言いたいのでしょうか?

    今回の窮状に公平に行き渡らせるなら、コロナが収束するまでは「消費税」
    を停止すればいいと思うのですがね・・・。

    1. 凡夫さん

      お久しぶりですね!
      今の政治・社会への鋭いご指摘、なるほどと勉強になります。

      >為政者は・・国民の支持や協力を得られるもの・・・、穏やかな暮らしを願って・・・。

      私は四書五経のことは全く分からず素人ですが、昔の人はその点をよく分かっていたんですね。
      時代は変われど昔も今も変わらないものがありますね。
      本当に国民の立場に立って行われる政治を願いたいものです。

      >国は給付という手法が好き・・・

      まさにそのとおりですね。
      私たち国民が納めた税金で国家運営されているわけですから、当然国民のためにその財源は使われなければなりません。
      そういうことが全く分からない政治家や官僚が、今の国政の実権を握っているわけですからどうしようもないと思います。
      国民の声がしっかり伝わり運営される政権を願いたいものです。

      「消費税」も確かにそうですね。
      私も減税するか停止するかは必要だと思います。
      国民生活がひっ迫している今、消費に10%も課税されていては更に困窮してしまいます。
      まずは、そうした税制を見直すことも大事なことですね。

      貴重なご意見、コメントありがとうございました。

  6. 今晩は~。10万円、早く出してほしいです。
    明日の食事に困っている人もいます。DVを受けている人たちにも大切な資金と
    なると思います。

    私は2016年から2018年まで知り合いのお手伝いで「フードバンク」に
    関わりました。
    最初は単純にフードロスをなくすためだったのですが、このものの豊かな
    国で、3食食べられない子たちがいるということを知り、ショックを受けました。

    コロナウィルスで「子供食堂」(フードバンクから一部の食料を提供していました)も閉じてい
    るところが多いのですが、私の住む市の一部では学校給食がないのでなんとか頑張って開いてい
    るグループもあります。

    10万円ありましたら、家庭で食料を買うことができます。

    大阪の知事さんの言う通り、給料が下がっていない人、余裕のある人は寄付をされればよいと思
    います。
    私の個人的な考えですがお金はため込むだけのものでなく回すものと思っています。

    1. Roseさん

      いつもコメントありがとうございます。

      本当に早く対応してもらいたいですよね。

      私は長年小売業(スーパー)で働いていました。
      この時、「フードバンク」に関わりを持つ機会がありました。
      スーパーなどでは、消費・賞味期限で食品ロスが膨大に出ます。そしてそれらは全て廃棄されてきました。
      ある時、会社を通じてそうした施設の担当者とお話する機会がありました。
      この時に「フードバンク」のことを知り、お店として全面的に協力してきました。
      食品業に関わる者としては、販売時点の消費・賞味期限は絶対ですが、実際に食す時点では全く問題ないことを一番理解していました。
      問題のない食品が廃棄されずに利用されることに喜びを感じた時でもありました。

      今回のコロナ危機でこうした施設や子供食堂などにも影響していることを思うといたたまれない気持ちになります。
      真っ先に弱者へのしわ寄せがくるのでしょう。
      そうならないための対策を切に望みます。

      >お金はため込むだけのものでなく回すもの

      同感です。
      貯め込まれていては経済は潤滑に回りませんよね。本当に必要な時にこそ使い、回さなければならないと思います。

      貴重なご意見、コメントありがとうございました。

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