高度感溢れる東鎌尾根!
登山家樋口一郎氏は、
山岳展望の初心者のうちはどうしても槍の穂先だけに目を奪われ、全体が意識されてこない。が、年季を重ね、いろいろな山を見知ってくると、穂先以外にも目が向くようになる。鎌尾根や槍連峰などとの総合体として鑑賞できるようになる。それは雄大であると同時に繊細で粋な造形美である。
槍ヶ岳が単にマッターホルンのミニ版などではなく、オンリーワンの風情を備えた名峰であると気づいたときが、貴方の山の審美眼のステージが大いに上がったときといえるだろう。
樋口一郎著「新釈日本百名山」より
槍ヶ岳の穂先は、三つの鎌尾根(北、東、西)と南岳から連なる3千mの稜線に支えられ、深く切れ落ちた谷からそそり立つように天を突いています。
東鎌尾根を登りながら改めてそうした見方で展望してみると雄大で粋な造形美を成していることが分かります。
2014年8月 仲間たちと共に燕岳から槍ヶ岳を展望。
この時からいつか東鎌尾根を登って槍ヶ岳を目指そうと話していました。
東鎌尾根から槍ヶ岳へ
槍の穂先に向かって伸びる尾根といってもアップダウンの登山道が続きます。
登りずらい岩場では三点確保しながら高度を稼いでいきました。
小高い小ピークに出ると目指す槍ヶ岳が現れてきました。
右は北鎌尾根を従えた槍ヶ岳、左は穂高連峰から続く南岳、中岳の3千mの稜線が望めます。
眼下には深く切れ落ちた天上沢。
仮に槍沢を登っていたら、こんな絶景は見られませんでした。
長いはしごを降りた先は、両側が切れ落ちた痩せ尾根が! 慎重に渡っていきます。
こんな険しい尾根づたいに高山植物が咲いていました。ウサギギクとミヤマダイコンソウ。
可愛らしいシナノオトギリの群生。緊張が続く中、ホッとする瞬間です。
東鎌尾根に取り付いてから2時間半、ヒュッテ大槍に到着。ここで一息。
目指すは今日宿泊予定の槍ヶ岳山荘。槍の穂先の左側をトラバースしながら進んでいきます。
眼下に槍沢と殺生ヒュッテを見ながら慎重に登って行きます。
最後まで高度感溢れる険しい登山道が続きました。
眼下には槍沢が広がっています。
上高地から槍ヶ岳を目指す場合、この槍沢を登って行くのが一般的なコースです。
多くの登山者たちの姿が見えました。
11時50分、槍ヶ岳山荘に到着。
早朝、槍沢ロッヂを出発してから6時間20分の行程でした。
昼食休憩後、ヘルメットを被って3180mの槍ヶ岳の頂へ。
登山シーズンということで、山荘から頂上へは長い行列ができていました。
あいにくガスがかかっていたためほとんど視界がありません。
雲の切れ間から眼下に北鎌尾根の独標と山荘が見えました。
頂上から下山後、山荘のテラスでビールで乾杯。
ガスが切れると青空が見えてきました。山の天気は移り変わりが激しくこんなもんですね。
翌朝、日の出とともに槍沢を下山。
この日、9時間かかって上高地に無事到着。
今年もオヤジたちの熱い夏が終わりました。
下山中、来年はどの山に登ろうかという話題で話は尽きません。
登山仲間たちとの付き合いは長く、今では60歳前の現役はたった一人になりました。
60歳定年を迎え継続雇用で働き続けてきた仲間も、来年は65歳完全リタイアする人も何人かいます。
「それじゃもっと山に行こうぜ!」というオヤジ(私)が手ぐすね引いて待ってます(笑)
「槍ヶ岳登山」 おわり
こんばんは~。
先日、「ドローン」を使っての槍ヶ岳周辺の景色をテレビで見ました。
とても険しいですね。
スーさんの登山歴はどのくらいでしょう。
日々のトレーニングのおかげなのでしょうか。60歳過ぎてもフットワークがとても軽いです
ね。人生を大いに謳歌なさっているように感じます。
体を動かす。感動する。仲間と楽しい時間を共有する。とても大切なことと
思いました。
私は40年近く前、黒部からの帰りのルートの途中で槍ヶ岳に向かう登山者たちとお会いしまし
た。あんな高いところに!!!・・・と思いました。
100名山を目指している姉は山で出会う動植物に感動するようです。
教員をしながら50代初めのころから山仲間に入れてもらい、登り始めて嵌ったようです。
現在、68歳ですが私より元気です。
時々すーさんのブログものぞいているかもしれません。
Roseさん
おはようございます。
今回槍ヶ岳に行く前、登山仲間たちと新宿で最終打ち合わせ会(飲み会)がありました。
その時、幹事が「明日はTVで槍ヶ岳の放送があるから観よう」という声がかかり、私も録画してドローンを使った映像をみました。
そんなことから、槍ヶ岳に登る時からその話題で盛り上がりました(笑)
私は妻と一緒に45歳頃から山をやり始めました。登山歴は16年位になります。
キッカケは、立山黒部アルペンルートを使って室堂から見た立山の絶景でした。
全く素人の登り方から始まって今に至っています。
ただ好きだからということから始まり、何度も大変な思いや危険なことも経験しました。
そんな中で自分のスタイルが出来上がってきたような気がします。
多くの登山者の登り方、楽しみ方には、大きく分けて2つのパターンがあるように思います。
一つは、ピークを目指してひたすら登り、下山もできるだけ早く下りようとする登山者。
もう一つは、ゆっくり自分のペース(他者と比較しない)で周りの動植物を鑑賞しながら上り下りする登山で、天気が悪くなれば登頂を諦め下山するタイプです。
私は後者に当てはまる登山スタイルです。
せっかく登っているのだから「途中の行程」を楽しむスタイルだと思います。
はっきり言って、登山者の多くは60代後半(団塊世代)の方が圧倒的です。
なぜこの世代の方々が多いのかということを以前調べたことがありました。
この世代が若者だった頃、登山の第一次ピーク期(ブーム)を迎え、この世代の人たちが何らかのかたちで登山に関わってきたことがあげられるようです。
(当時レジャーとして人気が沸騰し、ハイキングから本格的な登山まで親しむ)
その世代が定年を迎え、自由な時間と多少余裕ある経済状況から健康志向も重なり、再び登山に触れる機会を得たのではないかと思います。
そんな先輩たち(団塊世代の人たち)の登山を見ると、この年齢になっても登っているんだ!と元気がもらえます。
「まだまだやれる」という気力が伝わってきますから、登山していても嬉しくなります。
お姉さんはまさに団塊世代の方ですね。そんな方々に励まされながらの登山は楽しいものです。