電力自由化

一般家庭向け小売りの全面自由化

戦時中、電力会社は国の管理下に置かれていました。
戦後の電力体制は民営化され、その際9つの電力会社がそれぞれのエリアで独占して電力を供給する体制になりました。(その後、沖縄電力も含め10の電力会社になる)
これらの電力会社は、発電・送配電・小売りを全て行ってきました。
そのため、安定して電力を供給してきたものの、一方で競争がないため電気代が高止まりするという問題もありました。

又、これらの発電において、政府主導による国策としての原子力発電が推進され、これに関わる費用に税金も投入され、電気料金にも反映されてきました。
そういう意味では、本当の電気料金っていったいいくらなの?という思いもありました。

 

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TV番組「ガイアの夜明け」

4月から電力の小売りは、一般家庭向けに開放され全面自由化になりました。
多くの企業が参入して競争が激化しています。特に通信、ガス、鉄道会社などの参入が目立ち、割引きなどの特典があります。
我が家にも先日地元のガス会社のチラシが配られ、一年間の電気使用量と料金の調査に協力しましたが、まだ手続きについては検討中です。
毎月かかる固定費用ですから、少しでも安く利用できた方が助かります。
小売り会社を選択する基準は、利用料金やその他特典もありますが、その企業の姿勢や体質も考慮に入れています。                              皆さんのご家庭はいかがでしょうか。

 

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最近、三菱自動車の燃費不正問題で次々と新事実が明らかになっています。
以前にも大規模なリコール隠しなどがあり、その時の謝罪会見でも企業風土を一新すると語っていました。                                  しかし、またこうした不正事実が明らかにされたことで、企業の信頼は地に落ちたのではないでしょうか。                                    企業は、社会的な責任をないがしろにして存続することはできないと思います。

先日、電力自由化をテーマにしたTV番組(ガイアの夜明け)がありました。
4月以降、電力の小売り事業として多くの企業や自治体も加わり熾烈な競争が続いているという内容のものでした。                               この中で東京電力の小売り実態について紹介されていました。
今まで発電、送配電、小売り全て一括で独占してきたわけですが、これからは激しい競争の中で生き残りをかけた戦いになるという内容のものでした。

 

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東電が今まで契約していた集合住宅の500世帯。すでに他企業による電力小売り説明会がある中、東電の担当者からも管理組合への勧誘説明があり、「一括受電」の導入を提案していました。この一括受電は、全戸の同意が必要とされるものだそうです。
住民の中には東電は嫌だと、そういう人もいるそうです。

東京電力は、4月1日から東京電力ホールディングス株式会社に社名変更し、持ち株会社体制に移行しました。看板をTEPCOという名に変え、「発電」「送配電」「小売り」の3社に分けられました。

 

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東京電力ホールディングスのサイトの中に「福島への責任」という項目があります。
巨大な津波を予想するのが困難であったという理由で、福島原子力事故の原因を天災として片づけてはならず、人智を尽くした事前の備えによって防ぐべき事故を防げなかった。

「福島の復興なくして東京電力の改革、再生はありえない」との決意の下、事故の責任を全うすると共に、福島の生活環境と産業の復興を全力で進めてまいります。 

福島原発事故が起きる数年前、この福島原発は国会において地震による津波の影響から、その対策が指摘されていました。しかし、東電はそれを無視するかのように何ら対策を打ってきませんでした。                                      そして、事故発生後の責任問題、被災者へのフォロー、損害賠償、放射能汚染問題においても何ら進展していないのが実態です

2002年、原子力安全・保安院は、東京電力の原子力発電所に関する29件のトラブル隠し、またデータを改ざんしていたことを公表しました。
2007年、電気事業連合会の調査報告では、電力会社の事故隠しの発覚の際に最も多くの不正を重ねていたのが東京電力だったと公表しています。
東京電力の原子力の事故は233件、報告された件数はたったの20件だそうです。
福島原発事故と企業責任      
     

東京電力の隠蔽体質は組織風土になっている。
永年にわたるこれだけのトラブル隠しや記録改ざんが現場の人間や中間管理職だけで行われていたことは信じがたい。経営トップによるトラブル隠しの本当の目的や指導責任の所在、責任者の自己批判は行われていない。
足立辰雄著「原発・環境問題と企業責任」

こうした今までのずさんな経営体質で運営してきた電力会社が、4月1日をもって新たな株式会社に社名変更してスタートするわけですが、その中身ははたしてどうなのでしょうか。                                        先ほどの集合住宅に住む方の中に、「東電は嫌だ、そういう人もいる」。私も同じです。
東京電力ホールディングスのサイトに書かれている「福島への責任」コメントも信じる気持ちにはなれません。                                 それは、今まで起こしてきた事故の隠蔽、改ざんはもとより、事故後の対応を見ても明らかです。そして何よりも放射能廃棄物処理問題も解決できないまま原発再稼働(柏崎刈羽原発)を進める企業政策は変わっていません。

番組の中で東電HDスタートに当たっての小売り事業責任者の表明がありました。
東京電力グループの「販売収益」に責任を持つ。
どうしたらお客さまに選んでいただけるのでしょうか。
それは新しい価値を創造し続けることに他ならない。
 

この発言をどう受け止めるかは、人それぞれだと思います。
私は、小売業の最も大切なことは「お客さまからの信頼」にあると思います。
それは「常に安心、安全」であることがまず最初にはっきり示されなくれはならないと思います。                                      事業として成り立たせるためには「販売収益」が必要ですが、それを支えているのが「信頼」であり、信頼なくして販売収益はもちろん企業の存続はないと思います。
発言にある「新しい価値」とはどのようなことか分かりません。
仮に私が新しい価値という表現を使うとすれば、原発に頼らない自然エネルギーへの転換です。                                        目先の利益にとらわれず、原発を廃止して新たなエネルギー獲得にチャレンジする企業姿勢こそが「お客さまからの信頼」を勝ち取ることにつながるのではないでしょうか

今回のTV番組内での東電HD事業責任者の表明は一部分でしたので、全てを把握することはできませんでしたが、「販売収益」に固執することをみても今までと変わらない体質を引きずっているように思われました。

電力自由化がスタートしました。
電力の小売りをする多くの企業が参入してきています。使用料金の安さ、割引き、付加価値を付けた特典など魅力的な商品(電力小売り)がたくさんあります。
こうした商品の魅力だけにとらわれず、それを販売する企業姿勢にも目を向けていきたいと思います。

 

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