北アルプス9日間縦走の山旅 (5)焼岳と乗鞍岳 最終回

北アルプス最南部の山岳地帯へ

上高地周辺の賑わいある観光登山

 

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焼岳2455m(日本百名山)

 

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乗鞍岳3026m(日本百名山)

 

黒部源流を訪ねて

 

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鷲羽乗越のハイ松で覆われた緑の中にたたずむ「三俣山荘」
この三俣山荘は、「黒部の山賊」の著者として有名な伊藤正一氏が経営する山荘です
黒部の山賊は、この黒部源流域で生きた山男たちの物語です。

 

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三俣山荘の玄関              「黒部の山賊」の本が置かれています。

 

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5年前、黒部の山賊の本のことを知り書店などで探しましたが見つかりませんでした。
そこで直接三俣山荘に問い合わせをして入手しました。その時、三俣山荘で発行されている山荘便り「ななかまど」も定期的(有料)に送ってもらいました。
実は、水晶小屋に泊まった時、早朝山頂を目指して登り始めた時、70代後半と思われるオジサンと一緒になりました。ピッケルだけ持ってヒョイヒョイと登っていきます。
あの歳で大丈夫かな~、なんて思いながら後に続きました。頂上ではそのオジサンと二人だけで、記念写真を撮ってもらいました。いろいろ話をすると、このオジサンとんでもない方でした。なんと、三俣山荘・水晶小屋・雲ノ平山荘の小屋番(管理人)を10年以上もされていた人でした(現在は引退)。そして、話の中であの「黒部の山賊」に登場している鬼窪善一郎氏のことを聞かせてくれました。なんとラッキーな出会いでした!

 

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せっかくここまで来たのだから黒部の源流に行ってみようと思っていました。
三俣山荘から鷲羽岳の谷に向かって約20分ほど下っていきます。

 

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黒部源流の碑。エッ!これがそうなの? 近くに沢が流れています。これが日本海に大河となって流れる黒部の源流ですね。雪解けのため水量が多く急流です。雲ノ平から来る登山者は、この沢を渡らなければいけません。

 

黒部五郎岳へ

 

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三俣山荘から残雪を登り雲行きがあやしくなる中、三俣蓮華岳を目指します。

 

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三俣峠(双六岳方面への分岐)       三俣蓮華岳頂上2841m

 

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残念ながら天気が悪くなり、黒部五郎岳は雲の中に隠れてしまいました。三俣山荘から2時間半、ようやく黒部五郎小舎の赤い屋根が見えてきました。

 

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小雨の降る中、14時40分黒部五郎小舎に到着。この時間、多くの登山者で賑わっていました。宿泊する登山者の多くは、太郎平(折立口)から北ノ俣岳を越えて黒部五郎岳を登頂して下りてきた方々でした。皆さんの関心事は天気予報です。すでに外は大雨、翌日の予報も一日中雨ということで、この先の鷲羽岳・水晶岳を断念して戻られる登山者が多かったです。

私も黒部五郎岳登頂は諦め、翌朝、下山する登山者(名古屋の3人パーティ)の方々と一緒に鏡平まで下りました。風雨の中の登頂では面白くありません。次回また来ればいいと思い黒部五郎小舎を後にしました。

 

西穂山荘から焼岳へ

 

黒部五郎小舎から風雨の中、7時間かけて鏡平山荘に下りて宿泊。翌朝、これもまた小雨の降る中、新穂高温泉まで4時間下ってきました。この後、天気が回復しなければ帰ろうと思っていましたが、なんと新穂高温泉に着く頃、日差しが出てきて、明日・明後日は晴天の見込み。ということで、計画通り焼岳と乗鞍岳に向かいました。

 

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北アルプス入山後6泊目の鏡平山荘。晴れていれば槍・穂高連峰の絶景が展望できます。

 

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下山途中のわさび平小屋で休憩。その先に笠新道の登山口があります。4年前にカミサンと笠ケ岳に行った帰り下山に利用した登山道です。北アルプス三大急登の一つとして有名な登山道です。この急登を下ってきた時は、さすがにまいってしまいました。足首と膝がガクガク状態で倒れ込むようにこの場所へたどりついたことを思い出しました。

 

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新穂高温泉。早速日帰り入浴です。一週間風呂に入って身体を洗っていない状態でしたから。汗臭~いオヤジなんて言われたくないです。ついでにびしょ濡れの雨具も乾かしちゃいました。これからまだ登山は続きますから。

 

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新穂高ロープウェイに乗っていっきに西穂高口まで。西穂高岳が見えてきました。

 

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西穂山荘で宿泊。ここは以前、名物のラーメンを食べに来たことがあります。TVの山岳番組でも紹介されたほどラーメンで有名な山荘です。

 

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金曜日ということもあって混雑していました。山奥の雲ノ平周辺の山小屋と違って賑わいがありますね。ロープウェイを使えば西穂高岳や西穂独標まで1泊2日で行けますから。

若い登山者もいましたが、やはりシニア(主に60代後半)の方々が大半を占めています。

 

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翌朝8日目、西穂山荘から稜線沿いに焼岳を目指します。途中、穂高岳が見えます。

 

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向かい側にある霞沢岳2645m        焼岳が見えてきました。

 

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中尾峠(焼岳小屋)から登る途中、仰ぎ見る焼岳。

焼岳は微妙な色彩のニュアンスを持っている。濃緑の樹林と、鮮やかな緑の笹原と、茶褐色の泥流の押出しと、そういう色が混ざり合って美しいモザイクをなしている・・・。
収穫の第一等は、中尾峠まで登って、そこからの展望である。今まで見えなかった錫杖、笠、抜戸の連峰がすぐ眼前に展(ひろ)がる。特に笠ケ岳の金字塔がこんなに立派に見える所はない。
深田久弥著「日本百名山 焼岳」

 

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中尾峠付近より 左:錫杖岳(しゃくじょう) 中央:笠ケ岳  右:抜戸岳

 

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焼岳頂上(北峰)             焼岳南峰(立ち入り禁止)

 

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火山ガスが噴出しています。        目の前に槍・穂高連峰が眺望

 

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眼下は上高地。

 

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上高地に向け下山

 

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途中、目もくらむようなほぼ垂直のハシゴ!ここを下りていきます。

 

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上高地の穂高橋              梓川を散策

 

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上高地バスターミナル。ここから平湯に向かいます。平湯観光案内所に問い合わせして今夜宿泊する旅館を紹介してもらいました。土曜日ということもあってほとんどの旅館・ホテルは満室状態。しかし、一軒だけ空きがありラッキー!
私の場合、登山に行った帰り必ず食べたくなるのがお蕎麦です。バスターミナルのレストランで大盛りの山菜そばをいただきました。

 

北アルプス山旅最終日、乗鞍岳へ

  

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畳平バスターミナル            富士見岳から見下ろす畳平と鶴ケ池

 

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乗鞍岳と不消ケ池(きえずがいけ)     最高峰剣ヶ峰

 

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肩の小屋に向かう登山者。         登山客で賑わう

乗鞍岳が損をしているのは、「最楽の3000m峰」であること。高所まで車で上がって、あとはひと登り。コースタイムにして1時間20分、単純標高差にして320m。高尾山口駅から高尾山に登るよりも楽なのである。この「お気軽さ」、観光客には人気かもしれないが、こと登山者の間では評判はよろしくないはず。あまりに簡単に登れてしまうのは山ヤの沽券にかかわる。本音では楽であるに越したことはないと思っていても、岳人のプライド故に言わない。「乗鞍?観光客の登る山だね」なんてうそぶいている。登山者の間で人気投票をやったら、上位に入ることはないだろう。乗鞍岳に影の薄さを感じてしまうのは、登山者目線に立つ故であるかもしれない。
樋口一郎著「新釈日本百名山」

う~ん、まさに乗鞍の印象って感じですね。富士山を思い出しました。

 

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乗鞍岳剣ヶ峰頂上3026m

 

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昨年噴火した御嶽山3067m(百名山)    加賀の名峰 白山2702m(百名山)

 

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槍ヶ岳3180m(百名山)          穂高岳3190m(百名山)

 

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観光バスで乗鞍岳を後にします。      信州側北アルプス玄関口、新島々駅。

 

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松本から特急あずさに乗って帰宅。日曜日なのにガラガラ状態でした。時間的にお昼過ぎだったから空いていたのかな? 電車のトイレで、ザックの一番底にしまっておいた洗濯済みのTシャツに着替えました。汗臭~いオヤジと言われないように!これも登山者のマナーですね。

北アルプス9日間縦走のロングトレイルが終わりました。
登頂した日本百名山は5つ。北アルプスの百名山の中で、未踏は風雨のため登れなかった黒部五郎岳だけです。またいつか北アルプス縦走の時に目指したいと思います。
百名山以外でもワリモ岳、三俣蓮華岳、双六岳などの数多くの名峰に登り、登山はやはりピークハントより縦走のほうが面白く、アクティブな体験ができますね。

 

「北アルプス9日間縦走の山旅」 おわり

2 thoughts on “北アルプス9日間縦走の山旅 (5)焼岳と乗鞍岳 最終回

  1. お疲れ様でした~
    なつかしい山々が、見られて楽しかったです。
    きれいな写真、ありがとうございました。

  2. 家犬さん

    毎回コメントありがとうございました。
    今回の山旅記録は一応これで終わりですが、編集後記として裏話などを含めて引き続きアップしていこうと思ってます。
    またぜひお立ち寄りください。

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