”イマジン”(想像して)

ジョン・レノン&オノ・ヨーコ

歌詞に込められたメッセージ

 

年の瀬になる頃、街角やショップなどからクリスマスソングが聞こえてきます。
ああ~もうそんな時期なのか、と思いつつ曲に合わせて口ずさんだりします。
今年はコロナ禍の中、さらに第三波として感染が拡大してきています。こうした中でもクリスマス商戦は活発化してきていている様子がうかがえます。

クリスマスソングには外国や日本においてたくさんの歌があります。
中でも世界中で親しまれている曲の一つにジョン・レノンの「ハッピークリスマス」(1971年)があります。
ジョン・レノンのことをあまりよく知らない人でも多くの人が聴いている曲ではないでしょうか。
半世紀も経った今でも必ずといっていいほどこの曲が街角に流れています。

この「ハッピークリスマス」のサブタイトルは、「War Is Over」(戦争は終わった、争いは終わるよ)です。

♬ So this is Christmas  クリスマスがやってきたね
 And what have you done 今年はどんなことしたんだい?
・・・・・
 And so this  is Christmas (war is over)  クルスマスがやってきたね(争いは終わるよ)
 For weak and for strong (if you want it) 弱い人にも強い人にも(君たちがそれを望めば)
For rich and poor ones (war is over)   裕福な人にも貧しいにも(争いはおわるよ)
The wori
d is so wrong (if you want it)  世界はひどい過ちを犯しているけど(君たちがそれを望めば)
・・・・・

 

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歌というものはまずメロディが耳から入り、その心地よさから口ずさんだりします。
日本の歌であればその歌詞の意味がわかって歌いますが、外国の歌の場合、あまり意味の分からない英単語をそのままストレートになぞって歌ったりします。

1970年代、私は中学・高校・大学生として学生生活を過ごしてきた時期でした。
ちょうどその頃、フォークソングが流行っていました。
元祖アメリカのフォークソングのピート・シンガーやボブ・デュラン、ピーター・ポール&マリーなどの曲を兄のギターを借りて友人たちとよく歌ったことを思い出します。
歌の歌詞の意味さえわからず心地よいメロディに浸りながらでした・・・。

これらのソングには、”社会的なメッセージが託されていた歌” だったことを社会人になってから知りました。
それは公民権運動や反戦運動から生まれたいわゆるプロテストソングの歌だったことを。

 

日本の歌でも数多くのプロテストソングがあります。
例えば、よく歌われる曲として ”さとうきび畑” がそうですね。

この歌は、太平洋戦争末期、沖縄で地上戦になった時に米軍の攻撃で亡くなった父をさとうきび畑で探す少女の姿を描いたものです。
戦争と平和を考える強いメッセージが込められていました。

♬ ざわわ ざわわ ざわわ 広いさとうきび畑は ざわわ ざわわ ざわわ 風が通りぬけるだけ
  むかし海の向こうから いくさがやってきた ・・・
  あの日鉄の雨にうたれ 父は死んでいった ・・・
  そして私の生まれた日に いくさの終わりがきた・・・

 

以前、テレビの歌番組で司会者と歌手(シンガソングライター)との対談シーンがありました。
この時、司会者が歌手の方に、歌を作る時には歌詞が先か、曲が先か?という問いをしていました。
その歌手は「詞が先です」と応えていました。
やはり歌というものは、その歌手の一番訴えたいメッセージを込めるものですから、詩が一番大切なものなんでしょう。

 

先日、BSTVで「”イマジン” は生きている」という番組が放映されていました。

イマジンといえば、ジョン・レノンの代表的な歌ですよね。
このイマジンは1971年に発表された作品で、前述した「ハッピークリスマス」と同じ年に当たります。
50年経った今でも色あせることなく世界中で歌い継がれています。

今回の番組では、「今なぜ ”イマジン” なのか?」という提起がされていました。

振り返れば、世界で起きた大きな出来事の時には必ずといっていいほどこの曲が歌われてきました。
ベトナム戦争はじめ、湾岸戦争、イラク戦争、同時多発テロ、そして最近では香港問題などの戦争や紛争、宗教、民権運動に関わる問題が発生した時にです。

 

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「今香港周辺では、200か所以上のレノン・ウォールが出現しています」 TV番組放送から

”イマジン” (歌詞和訳)

♬ 想像してごらん 天国なんてないって ・・・・・
  想像してごらん 今日を生きるすべての人たちを ・・・・
  想像してごらん 国なんか存在しないって難しくはないよ 殺したり死んだりする理由は一つもなく
  宗教なんて無論ないんだ
  想像してごらん 平和に暮らしている人たちを ・・欲張ったり飢えたりする必要もない ・・

 

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ジョン・レノンの「イマジン」に込めたメッセージ

「言いたいことは変わっていない。宗教も国も政治対立もない世界 と歌っている」
「世界中のどんな立場の人にも 受け入れてもらえるんだ」

 

そして今年、コロナ感染のパンデミック。
世界中で多くの感染者。死者が発生し、医療体制や関連施設などの危機、経済の低迷などによって多くの人が犠牲になり苦しめられています。
そして同時に、このコロナ禍が炙り出したものは新自由主義社会による格差と貧困を浮き彫りにし、社会的弱者にしわ寄せが向かった実態でした。

 

この番組では、ジョン・レノンとオノ・ヨーコの「ダブルファンタジー展」の紹介がありました。

ジョン・レノン生誕80周年を迎える2020年10月9日より2021年1月11日まで、東京・ソニーミュージック六本木ミュージアムにて開催。
ジョンとヨーコという最もクリエイティブなカップルの物語を、彼ら自身の言葉や作品で辿る画期的なエキシビション、リバプールから東京に!!
「ダブルファンタジー展」サイト

今都内で開催されているんですね。
ぜひ行ってみたいのですが、コロナ感染が拡大してきているため出かけるのは自粛します。

 

OIP   ダウンロード

 

世界や日本の名曲・ヒット曲といわれる歌は数多くあります。
それらの歌はその時代ごとに流行り廃りがあり、歌われなくなった曲もたくさんあります。
そんなミュージック界の中でも50年の歳月を経ても歌われ続けている曲は、それなりの理由があると思います。

 

今、街角に流れている「ハッピークリスマス」、そして、時々聞こえてくる「イマジン」。
歌詞に込められたメッセージがわかれば、今までと違った想いで口ずさむのではないでしょうか。

6 thoughts on “”イマジン”(想像して)

  1. すーさん ご無沙汰しています。
    三重のあらちゃんです。
    このBSTV、私も見ました。
    懐かしい気持ちと昔理解できなかったことが、なんとなく理解
    できたようで、新鮮に映りました。
    その夜、しまっていたCDを引っ張り出して、一人聞く夜を
    過ごしました。

    今週は、大親友の後輩(62歳)が肺炎(コロナかも?)で亡くなった
    訃報を聞き、また恒例の人間ドックに入ったり、歯医者で歯を抜くなど、
    忙しい日々を過ごすことになりました。
    色んな意味で、静かな平和を祈る気持ちになりますね。

    中学生の頃、ビートルズの映画(Let it be?)を田舎の映画館で
    見て、その後、色々と聞く中で、思い出深い曲になりましたね。

    今、コロナ過で普通の生活をすることも大変になってきてました。
    地元の総合病院で人間ドックに入るのも、「2週間以内に三重県
    以外へ行ったことがありますか、県外の方と接触したことが
    ありますか?」と書面の確認があり、誓約書を書かされました。
    まさに、地元隔離(分断)ですね。
    こんな時、ジョン・レノンの曲は、心に沁みます。
    早く、平和な時代になることを祈る次第です。

    1. あらちゃんさん

      お久しぶりですね。
      お元気そうでなによりです。

      あらちゃんさんもこの番組観ましたか!
      いや~本当に考えさせられる番組でしたね。単に音楽だけを聴いていた私たちにとっては驚きでした。一つの曲でも意味深いメッセージがあって、平和活動する中で様々な妨害や攻撃があったんですね。

      あらちゃんさんとは同世代ですから、中学生の頃にビートルズを聴いた世代ですよね。
      私は兄(団塊世代)が持っていたレコードをよく聴きました。
      50年経った今でも新鮮ですよね。

      人間ドックで検査されたんですか。ご親友の方も若くしてお亡くなりになったんですね。
      日頃の定期的な健康診断はやっぱり大事なことですね。

      コメントありがとうございました。

  2. すーさん こんにちは。

    最近、ピアノの弾き語りに挑戦しています。
    「イマジン」です。
    ピアノを弾いているうちに弾き語りもしたくなりました。
    同時に英語の勉強にもなるんじゃないかなんて考えまして。
    何度となく聞いた事はありましたが、歌詞は普遍的な内容ですね。

    しか~し、元々歌が下手な者がやっても・・・・
    音程がズレズレですが、歌っていますよ。
    家の周りが田んぼなんで、いくら大声を出しても問題ありません。

    他には「イエスタデイ」と「涙そうそう」などを毎日歌っています。
    ピアノ伴奏の方はコード弾きですが・・・

    1. 後輩さん

      お久しぶりですね。

      ピアノを弾いているんですか!それはすごいですね。
      それも弾き語りもできるのであれば楽しいでしょうね。羨ましいです!

      私たち夫婦は、NHKBS放送の「駅・空港・街角ピアノ」番組をよく観ます。
      世界各地で何気なく弾き語りしている人たちの姿っていいな~と眺めています。
      これはプロのピアニストでないところがいいんですよね。身近に感じリアルがあって素晴らしいな~と耳を傾けます。
      この時よく弾かれる曲がなんと”イマジン”なんですよね。ああ~やっぱり時代は変わっても世界中で歌い継がれているんだな~と思います。
      又、このイマジンが歌われると、周りの人たちが足をとめて聴き入っている姿が最も多いです。
      ジョン・レノンが歌わなくても一般の人が歌った方が似合っているように感じます。
      「普通の庶民がメッセージする」方がインパクトある詩でありメロディなんだと思います。

      駅・空港・街角ピアノで弾く機会がありましたら、ぜひイマジンを弾き語りしてください。
      多分行きかう人たちが足をとめて聴き入ってくれると思います。又、同時に周りの人たちが口ずさんでくれると思います。

      コメントありがとうございました。

      1. 今晩は~、朝、晩と寒くなりました。

        >NHKBS放送の「駅・空港・街角ピアノ」

        この文字に反応しました。私も大好きな番組の一つです。
        日本にもあるんですね。広島と一宮(?)のものを見ました。
        最近は沖縄にも。(12月5日に見ることができるかな)

        この夏でしたか?印象深かったピアノを弾いた方は御年91歳の男性でした。
        どの曲だったか覚えていませんが、確かにイマジンの曲は多いですね。

        きっとこれからも弾き続ける人が多いと思います。それだけ中身のある曲ですね。

        1. Roseさん

          こんにちは

          広島と一宮にもあるんですか~。
          以前、番組で日本の駅ピアノを観たことがありましたが、こうした場所が増えればいいですね。
          御年91歳の男性ですか!?、それはすごいですね~。年をとってもピアノが弾けるというのは羨ましいです。

          やはりイマジンの曲は多いですよね。
          「それだけ中身のある曲」ですね。世界中様々な問題が多発していますが、こうした曲が歌い継がれているだけでも何か救いがあるように思えます。

          コメントありがとうございました。

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