核のゴミ処分場

国の文献調査に20億円!?

問われるべきは原発そのもの

 

東日本大震災で福島第一原発事故で発生した放射能汚染水の処分について、海洋放出などの案が話題になっています。
すでに10年近く経った今でも深刻な問題として続いています。

現在、放射性物質を低減できるとうたう「多核種除去設備」(アルプス)で汚染水を処理し、タンクに貯めているのが現状のようです。
しかし、この除去設備(アルプス)を使って高濃度の放射性物質トリチウムを取り除くことはできないとされています。

敷地内の991基のタンクに約118万立方メートル(処理が未完了のものも含む)の汚染水がたまっており、現在のタンク計画では2022年夏ごろに満杯になる。
東電の説明

このような汚染水処理問題が切迫する中、9/16日、この高濃度トリチウム汚染水を薄めて海に放出する方針を政府が固めたという報道がありました。

東京電力福島第一原発の敷地内に貯まっている処理済み汚染水の処分方法について、政府が海に放出する方向で最終調整していることがわかった。
早ければ月内にも関係閣僚会議を開き、正式に決める方針だ。
朝日新聞

 

又、汚染水処分の先行きが見えない中、先日(9/30)福島県で暮らす住民などが訴えた集団訴訟で、仙台高等裁判所は国と東京電力に総額10億円余りの賠償を命じました。
しかし、この判決を不服として国と東電は最高裁に上告(10/13)しました。

原発稼働で発生する核のゴミ処理や冷却汚染水問題などが何ら解決されないまま各地で再稼働が進められています。
そして、事故が発生した時には地元住民の生活すべてに影響を及ぼし、国と東電はその責任逃れに躍起になっているのが実態です。

 

今回のコロナ禍の中、その対策と救済に多額の財源(税金)が投入されました。
こうした緊急事態では優先的に使われることは当然のことですが、”その使われ方” に多くの国民が疑問視した無駄なモノもありましたね。

これと同じように、原発関連においても多額の税金が毎年のように使われています。
それは、稼働していない原発の維持費をはじめ核のゴミ処理関連などにも使われています。各電力会社の電気料金への上乗せはもちろん、こうしたところにも私たちの税金が使われていることからダブル負担しているのが現状です。

 

先日、原発の核のゴミ最終処分場選定をめぐり、第一段階の文献調査に北海道の寿都町長が応募した報道がありました。

 

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朝のNHK放送(9/14)

寿都町長が「私の判断として文献調査の応募を本日決意させていただいた」という報道。
こうした事態にたいして、地域住民の間では反対する運動が広がっているようです。

 

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「文献調査?」、聞きなれない言葉です。

核のゴミ処分場設置を前提に、第一段階として関連する様々な資料による調査だそうです。
この調査だけで町に最大20億円が交付されるようです。

町長は応募の理由について「町の財政の将来に危機感がある」と述べ、国からの最大20億円の交付金の活用を挙げた。
ただ、北海道には「(核のゴミを)受け入れがたい」とする条例があるほか、町民からの反発も予想され、町長の方針通りになるかはわからない。
朝日新聞

今まで文献調査に至った自治体はないようです。
立地選定がすすまないため、政府は国内の3分の2の地域が最終処分場に適しているとする「科学的特性マップ」(上記画像)を作成し、全国各地の自治体への働きかけを始めたと報道されていました。
この働きかけでの交付金は、第一段階の文献調査が最大20億円、第二段階の概要調査が最大70億円とされています。

 

寿都(すっつ)町?
アレッ!、どこかで聞いたような名前だな~。そういえば、昨年北海道くるま旅に出かけた時に立ち寄った町でした。
ちょっと珍しい町名だったので覚えていました。

 

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日本海に面した寿都町美谷漁港
海を眺めながらのドライブで普段であれば通り過ぎてしまう光景でしたが、あまりにも美しい海と漁港だったことからくるまを停めてしばらく漁村を散策しました。
この時に漁村の一角で目にしたイカ干し。日本の原風景を見つけたような気がしました。

 

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同じ日本海に面して寿都町からも近い泊原発(現在停止中)も遠くから望むことができました。

 

こうした美しい自然の光景はいつまでも後世に残しておきたいものです。

しかし、自然エネルギーの活用が進む中、ほんとうに原発が必要なのか?という大きな疑問があります。
日本は世界に比べ地震などの自然災害が多い国です。
そう考えると、今まで起きた歴史的災害事実からみても東日本大震災は偶然とは言い切れませんし必然だったかもしれません。
であるなら、科学が発達する今、その対策は十分にできるはずではないでしょうか。

原発の稼働・非稼働含めて現在約50基の原子力発電所がすべて海洋に面しています。
自然災害がいつ起きてもおかしくない日本において原発事故の危険性があり、又、核のゴミ処分場への影響も懸念されます。
今すぐ原発稼働を停止し廃炉にする必要があると思います。

放射能汚染水問題は、その処理方法について海に流せば海洋汚染、同時に風評被害も考えられることから福島の水産業への打撃も目に見えています。
安易な海洋放出を止めて、大型タンクの設置や長期保管する案(モルタル固化案)など代替案を検討する必要があるのではないでしょうか。

 

核のゴミ処分場問題

地方自治体の財政難につけ入り、巨額の交付金で最終処分場に応じさせるようなやり方はやめるべきです。
核のゴミの処分方法が決まらないまま原発を進めてきた矛盾を、自治体に押し付ける行為はおかしな話です。
原発を稼働することで半永久的にこの問題は解決できません。
そして、処分に関わる文献・概要・精密調査費用などを含めた多額のお金は私たちの税金が使われ続けることになります。
ほんとうにそれでいいのでしょうか。

すでに起きている核のゴミ処分をどうするのか?
今まで原発稼働を進めてきた政府が、責任を持って使用済み核燃料の処分についての研究・開発を進める必要があると思います。結論がでるまで厳重な管理をすべきです。

問われるべきは原発そのものではないでしょうか!

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